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23話

巡洋艦北京(艦魂)

中国海軍所属の巡洋艦

誇り高い性格をしている。

自身の誇りが傷付くのが嫌いな性格。

定期的に彼女を冷かしてくる事もあった姉妹艦で、撃沈された重慶とは最後の最後まで犬猿の仲だった。

中国海軍・フィリピン艦隊旗艦巡洋艦北京CIC(戦闘指揮所)

(7発は依然として接近を続けているか・・・・・・)

巡洋艦北京(この船)の砲雷長であり副長である俺、江明征中佐は依然としてCIC(戦闘指揮所)の前面にあるディスプレーを睨み続けていた。

「副長・・・・・・何か手が震えていませんか・・・・・・」

そう言ったのは俺の副官にして砲術長を務める昌来福大尉だった。

そう言われて見ると俺の手は確かに震えていた。

人間怯えたりすると確かに手が震えるが、多分それであろう。

俺自身、今、想像している事は、皆が想像したくない事である航空攻撃の直後に、敵艦隊からミサイルが飛来し、我が艦隊が阿鼻叫喚の地獄に陥っている光景で、こちらのミサイルが尽き、僚艦が盾になる光景を想像していた。

そんな想像すれば、誰とて震えが起きて止まらなくなるだろう。

ぶっちゃけ俺自身の考えを言ってしまえばこの国の上層部(政治家や党)が自分の利益ばかり考え、後先考えずに戦争に突っ走ったと考えている。

そんなアイツら(政府の馬鹿共)の為に死ぬなんて俺はゴメンだ。

そう思ってても口に出す事はしていない。理由は簡単、俺が軍人だからだ。

まぁ、実際言ってしまえば政治将校が俺を射殺するだろうからな。

流石に政府が信用出来なくても、そこはわきまえているのさ。

そして俺がディスプレーに目を再び移すと7つの赤い点(敵勢飛翔物体)と7つの黄色い点(友軍誘導弾)が重なり、その内3つが消えたのである。

(3発は撃墜できたか・・・・・・上出来だな・・・・・・)

俺は心中でそう呟くと次のミサイルに関する情報のインプットを始めた。

と次の瞬間だった、敵のミサイルが突如モニターから消えたのである。

「シースキームタイプか・・・・・・」

俺がそう言うと政治将校(あのバカ)がすぐさまミサイルを撃つ様に命じる。

「低空警戒レーダーに反応あり!!

「目標との距離を主砲射撃指揮装置(GFCS)近接対空砲(730型CIWS)へ入力!射撃準備に備えろ!!」

「主砲、対空戦闘用意!!」「CIWS、いつでも射撃できます!」

電波妨害用金属片(チャフ)発射班、いつでも射撃命令を!」

ECM(電子戦)班、命令が出ればいつでもジャミングできます!」

様々な武装班から戦闘態勢が整った事が報告される。

俺は短SAMに対して目標諸言を入力し、発射命令を下した。

やがてこの船の船体前部に装備された計16セルのVLSから2発の短SAMが高圧ガスで打ち上げられ、一定の高度まで辿り着くと目標に飛翔する。

同艦艦橋天蓋

「不吉な予感がするわ・・・・・・・」

私は突き抜けるように澄み渡ったフィリピン沖の夏空を見てそう呟いた。

「えっ!?北京さん、どうかされましたか?」

そう聞くのは成都さん、昆明級DDGの1隻だ。

「こんなに空が青いと逆に不吉な予感がするの・・・・・・」

成都さんにその理由を述べると彼女は楽天的な笑みを浮かべて話し始めた。

「まぁこんなに空が青く突き抜けるくらいに奇麗なら嫌な予感するわよね、でもさ考えてみたら、戦いの終わりが近いから空が青いんじゃない?」

「そう言う考え方もあるわね・・・・・・成都さんの言う通りかもね」

私がそう言うと彼女はまた無邪気な笑みを浮かべる。

そして私は会って見たいと思っている。私と最後まで口論を続けた重慶を撃沈した扶桑と言う日本の巡洋艦に、そして話をしてみたいと思う。

敵とは言え、どんな奴なのか興味がある。

私が考え事を終わった次の瞬間、ロシア製の駆逐艦福州に敵の対艦ミサイルが命中し、一瞬にして航行不能いや戦闘不能に陥ったのである。

「熱いよぉー!!誰かぁー助けてぇー!!」

福州がそう言うと私はすぐに彼女を助けようと試みる為にエンジンを切ろうとするが、エンジンが言う事を聞かない。

(何でこんな時にエンジンが言う事聞かないのよ!!)

私が心中でそう叫ぶと航海長が艦橋で燃え盛る福州を見て叫んだ。

「くそっ!!味方の乗員を見殺しにする気か!!」

彼はそう言うと機関を停止させるべく彼の部下が機関操縦レバーを停止に持ってこうとしたが、政治士官によってその部下が撃たれ、政治士官がその操縦舵輪を握ったのである。

私は悔し涙を流して福州ちゃんに敬礼をして見送ったのである。

「ごめん、私は何も出来なかった・・・・・・・」

私がそう言うと福州ちゃんはニッコリと笑いつつも静かに消えていった。

この後、福州の生存者がどうなったのかはわからない。


中国艦隊から南西に数百㎞に位置する巡洋艦扶桑打撃艦隊(日米豪3か国連合艦隊)は扶桑を中心に、中国艦隊と戦闘すべく北東へ進軍していた。

旗艦・扶桑FIC(司令部指揮所)では・・・・・・・

空軍の攻撃隊(F-2搭載のASM)から上がった報告によりますと対艦攻撃部隊は中国軍は駆逐艦1隻を撃沈した以外に目立った戦果は無く、ダバオ基地に配備された新型対艦ミサイル(ASM-3)の在庫が尽きたと言う状況で、次の対艦攻撃では在来型対艦ミサイル(ASM-1か2)を使わざるを得ないと言う状況で、とても敵艦の撃沈は望めません・・・・・・」

通信士官がそう報告すると西田司令がそれに続く。

「撃沈しなくても良い。無力化さえ出来れば完全にこっちの勝利だ」

西田司令の言葉に猪口砲雷長が加える。

「確かに司令の言う通り、マニラ奪還の最大の障害はラゴノイ湾の中国艦隊だな・・・・・・あそこを拠点としている強襲揚陸艦が越露共同のハノイ奪還作戦を失敗させた様なモノだからな・・・・・・・」

猪口が言ったハノイ奪還作戦は確かに中国軍の4隻の揚陸艦から揚陸された多数の兵や戦車の数が越露両国がベトナム南部より進軍させた兵や戦車の数を凌駕し、揚陸艦の護衛のフリゲートがロシアのミストラル級揚陸艦カリーニングラードを撃沈し、両国の歩兵が多数戦死している。

「私は司令や猪口君の言う通りだと思います・・・・・・」

艦長の西村がそう言うと幕僚たちも頷く。

そして4月17日午前9時54分、作戦開始となったのである。

現在のまま行くと誘導砲弾発射予想時刻は午後2時以降と推測されている。

何たって誘導砲弾を用いるとは言え対水上砲撃戦とはまるでユトランド沖海戦だと言う意見もあったが、日米の巡洋艦扶桑とマイケル・モンサーはまさにこの為に建造された様な装甲や、誘導砲弾に対応した新型砲を持つ。

そして金剛型CGや高波型CMはボルケーノ誘導砲弾を持ち、愛宕型CGやアーレイ・バーク級フライトⅡAや秋月型CGに初霜型CMはERGMと呼ばれる誘導砲弾を備えている。準備は万端だ。

会議が終わると各艦は戦闘海域へと向かって増速する。


午後1時45分、扶桑艦橋

「それにしても敵がどんな奴か会ってみたいものだな・・・・・・」

私がそう言うと金剛さんが私の言った事に続く。

「私も会ってみたいわ、どんな信念を持って、どんな気持ちで私と刃を交えたか、それを聞いてみたいわ・・・・・・もちろん、戦乙女としてね」

「お前もそう思っているのか、話せるその時が来ると信じて戦う事にしよう・・・・・・さぁ、お前ら準備は良いな!!」

「出来ていますよ、姐さん!!」

そう言ったのはあの時(トラック沖海戦)以来、私を慕っている時雨だ。

『主砲、誘導砲弾発射用意』

CIC(戦闘指揮所)からその様な号令が飛ぶと、艦首に装備された12㎝速射砲が仰角を上げて敵艦隊への砲撃に備える。

主砲(51番砲)!!射撃(オープン)開始(ファイアリング)!』

猪口砲術長と思しき男の声がすると、主砲が力強く火を噴く。

64口径12㎝速射砲、54口径12㎝速射砲(金剛型の主砲)と比べて製造元はイタリアである事は変わりないが、通常弾での射程なども延伸されており、誘導砲弾に対する適合性も高い。


いや、本当の事を言えば国防海軍が武蔵級巡洋艦(私と武蔵姉さん)を建造した理由はあの46㎝砲による強大な地上打撃力を有していた2隻の大和型戦艦”大和、武蔵”が除籍されて以来、近距離上陸援護能力のある船を求めており、更には高い防空能力を持つ管制能力の優れた船を求めていた。

そして国防海軍は2009年に米国のズムウォルト級を母体に武蔵型CG(私と姉さん)を建造する事を決定、2015年に武蔵姉さんが竣工し、翌年には私が竣工したのである。

まぁ、閑話はここまでにして、私はここで自分の本来の役目である砲戦が、更には戦艦時代の記憶が蘇り、アドレナリンが煮えたぎってきたわ!!

さぁーて、彼らはどう出てくるのかしらねぇー・・・・・・

江明征中佐(37歳)

巡洋艦北京砲雷長兼副長、福建省厦門出身

海軍士官学校始まって以来の好成績を納めて卒業したエリート

気の合う宋とはすぐに打ち解けて、以来親友の関係である。

宋と同様、政治将校に対して並々ならぬ嫌悪感を抱いている。

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