22話 中編
周のモデルはマルセイユです。
俺は新たな目標に対し翼を翻すとすぐさま敵機に照準を合わせた。
「もらっ・・・・・・何っ!?」
俺がそう言うと敵機が機体を横に滑らせ、俺の横を通り俺の後ろに付いた。
「・・・・・・ミスしたか!くそっ!!」
俺はそう言うと愛機を旋回させ、敵機を振り切ろうとする。
いや、相手はまたJ-31か。こっちは単発に対し、相手は双発。
推力の差が大きすぎる。俺自身、それはよく理解している。
(くそっ!!敵さんも中々しぶといな!!)
俺がそう思いつつも愛機を何度も旋回させ、敵機を振り切ろうとする。
いや、敵機がしぶといと言うより俺がしぶといのか?
様々な思考を巡らせつつ俺は愛機の操縦桿を操る。
愛機の操縦室では相変わらずロックオン警報が鳴り響く。
と次の瞬間だった、突如、ロックオン警報が鳴り止んだのである。
「・・・・・・んっ、何が起きた!?」
俺がそう思うと俺の後ろにピタリとついていたJ-31が今度は逆に2機のF-2に追い回されていた。
その内、1機のF-2は指揮官搭乗を示すマークを描いた機体だった。
(周の野郎・・・・・・・俺の窮地を見てこんな粋な事を・・・・・・)
俺がそう心中で呟くとすぐに通信が入った。
『デーモン1聞こえるか!こちらオリオン1、お前さんのケツについていた厄介な野郎は俺が処理した!』
「助かったぜ・・・・・・オリオン1、俺とした事が油断したぜ」
俺がそう言うと俺の斜め前方隣を飛んでいたオリオン1から通信が入った。
『そう言えばアレの借りは返したぜ!だから飯を奢ってくれよな!?』
俺は周がそう言うと模擬空戦の時、周の機に付いて回る教導隊のF-15を追い払った事を急に思い出した。あの野郎、記憶力だけは良いな。
俺はそう思いつつも笑って返し、飯を奢る約束をした。
「おい、オリオン1!今が戦闘空域だったて事を忘れていないか?」
俺がそう聞くと周はすぐにそれを思い出したかのように真剣な口調になる。
『了解!後で話がしたいからさっさと片付けちまおうぜ!』
周はそう言うと彼は愛機の翼を翻し、再び戦闘空域へ向かう。
奴は勇猛果敢に敵機の編隊の中に突入し、編隊の中央部にいたJ-10に対してAAM-7を放ち撃墜。そして機銃を放った次の瞬間には機銃でJ-31のエンジン出力を低下させた。
周は出力の低下したJ-31のコックピットに目掛けて機銃弾を浴びせる。
そして俺も俺の前にいる敵機に機銃を浴びせ、敵機はそれを回避しようと急激なハイGバレルロール運動に出る。そして俺もそれに続く。
俺はバレルロールの直後に敵機の後ろに付くと、ヘルメット装備型照準装置でAAM-7の照準を合わせる。
「デーモン1!!フォックス2!!」
俺はそう叫びながら発射ボタンを押す。
AAM-7は発射ボタンを押すとすぐに目標へ向かう。
俺はすぐに操縦桿を右に傾け、機体を右旋回させて回避行動に移る。
これは敵機の爆発で生じる残骸や破片に当たらない為にする事だ。
予想した通り敵機は砕け散り、海面へ燃え盛る”破片”が落下していく。
「敵機撃墜・・・・・・」
俺はそう言うとあの時、周が来てくれなかったら自身がああなっていたと言う事に気付いた。”後でアイツに飯を奢らないと”俺はそう思った。
そして燃え盛る敵機だった破片に対して俺は敬礼した。
敵とは言え、そいつも勇敢な空の戦士であった事は変わりない。
そして俺自身も誇り高き勇敢な空の戦士である事も事実だ。
俺は敵機が海面に落ちる直前まで敬礼を続け、次の目標に翼を翻す。
そう、ここは戦場だ。油断したら簡単に撃墜されると言う事だ。
俺は4月16日に発生したスールー海上空空戦で4機を撃墜、今までの記録である14機から18機にスコアを伸ばした。
そして俺の親友である周大尉も3機を撃墜していた。
空戦が終わり、各部隊が基地に帰還して搭乗員の点呼を取るとバロンとストーム中隊から各1機が、タイガー中隊の1機が、それに加えてクロス中隊が2機が喪失していた。
だが、奇跡的に俺と周の率いるデーモン・オリオン隊は被害を受けていなかった。
それは俺と周の部隊には選りすぐりのエリートが配属されていたからだ。
無論、だから周が危険を顧みず、俺を助ける事が出来た。
俺自身も危険を顧みず、米軍クロス中隊救援の際にクロス中隊隊長機を追い回す敵機を捕捉して危険な低空飛行でしつこく追い回して敵機の頭を押さえた所で海面に向かってAAM-6を近射程で放つ事でその巨大な炸薬を用いて水柱を形成、近づいていたとは言え予定位置から1㎞も離れていたので俺は敵機からすぐに急上昇で回避したのに対し、敵機は急上昇をしようにも俺と700mも離れていたので水柱に突っ込み、しかも低空だったので水柱によって機体を急失速させられたのである。
そして急失速した機体は海面に落下し撃墜されたのである。
失速したそのJ-31は海面に叩き付けられ、海中へと没した。
だが、その次の瞬間、俺は敵機にケツを取られていたのだ。
そして敵機を振り切ろうと俺が急激な機動を取っていると突如、周の野郎から無線で援護してくれていると言う通信が入った。
そんな感じの空戦だったなと思い起こすと周がやって来た。
「今日の晩飯はお前に基地のバーで奢って貰おうと思うが、不服じゃないよな?アレの借りも返したんだしさ!」
周がそう言うと俺は周にバーに行こうかと誘い、そっちへ向かう。
俺達は今日の空戦で5機の戦闘機と6名の操縦士を失ったが、中国軍はそれに比べて5機のJ-31と3機のJ-10を喪失。
俺達は今日の戦いで結構手痛い被害を受けたが、敵にも打撃を与えている。
明日には中国海軍が最後の作戦行動に出るだろう。
この作戦の為に中国海軍の最後の大艦隊が終結するであろうから俺たちは連中から戦闘機の傘を奪い去り、先生航空攻撃で敵艦隊の戦力を削ぐと言う最後の大仕事が残っている。
俺と周は後でそれの打ち合わせを僚隊指揮官とする事になっている。
まぁ、8時だから俺と周はその前に食事を採る事にした。
翌日、4月17日
「中国軍はどうやら海軍さんの艦隊を見てビビったんでしょうね」
俺の部下である田崎中尉がそう言うと俺は田崎を叱りつける。
「田崎、そう言う事は無いと思うからお前も気を引き締めろ!お前は対艦ミサイルを装備した対艦攻撃小隊の隊長だろ!」
「そうでしたね、隊長!では、敵艦は私が仕留めますので、隊長は敵機を俺らや、米豪空軍の攻撃部隊に近づけない様にお願いしますよ!」
「あぁ、わかってるさ!!おい、集合だ!」
俺がそう言うと皆が俺の愛機の前に集まる
「デーモン1よりデーモン・オリオン小隊、フォール・ホエール部隊の援護が第一だ!敵機をフォールトホエールに近付けない事が必須だ!わかったな!お前ら!」
俺がそう言うと副隊長の周も一言加える。
「良いな?フォールもホエールもオリオン・デーモン隊の仲間だ、1機も撃墜されないようにちゃんと護り切れよ!!」
周がそう言った次の瞬間、デーモン・オリオン小隊の皆が了解と答えた。
「各員、搭乗っ!!」
隊長である俺がそう言うとASM-3を搭載した複座型のF-2に田崎と彼の相棒となるレーダー士官が乗り込む。
今回の作戦では複座型が対艦攻撃指揮官機に割り当てられ、普段複座型に搭乗していない田崎は訓練生以来の複座型への搭乗であった。
「隊長!!お気を付けて!」
田崎がそうコックピットで叫ぶのを見て俺は敬礼する。
「あぁ・・・・・・田崎、お前も帰って来いよ!!」
俺がそう言うと田崎も敬礼する。
そしてその5分後、日米豪空軍合同戦闘機部隊はスールー海を航行する日米豪連合艦隊の為に中国海軍に先制攻撃をすべく飛び立ったのである。
決死の作戦とは言えASM-3の射程と破壊力は天下一品だ。
俺は操縦士の腕とASM-3の性能を信じて、対艦攻撃部隊の護衛に入る。
『こちらスカイ・コマンダー!!敵戦闘機が接近している制空戦闘機はすぐさま戦闘準備に入れ!!護衛戦闘機は対艦攻撃部隊の掩護を続けろ』
「デーモン1了解、戦闘準備完了!いつでもご命令を!」
俺はそう言うとレーダーを中距離・空対空戦闘モードへ変更した。
そしてAAM-6に敵情報を入力する。
そして暫くした所で俺は発射トリガーを引く。
「デーモン1!!フォックス1!!」
俺がそう叫ぶと次々に日米豪の僚機からもAAM-6やAIM-120Cが飛翔する。
さて、今後の戦局はどうなるかな?俺はそう思いつつもレーダーを睨見続ける。




