22話 前篇
スールー海上空9200m
白々とした雲海や南洋の青い海が広がり、青々とした突き抜ける様な青空を36機もの3つの国籍記章を描いた戦闘機が飛行していた。
それぞれ3つの国籍は日米豪のそれぞれの空軍所属を示していた。
機体の種類も豊富だ。最新のアビオニクスと高いステルス性を持つF-35Aに優れたアビオニクスと空戦性能を持ち、ある程度のステルス性を有するF-18E/F、幾多の実戦を勝ち抜き、その性能の高さを示したF-15に我が国の誇る技術を惜しみなく投入し、2000年に正式採用されたF-2に、その原型となったF-16の5種類だ。
そして俺、杉野直也が率いるのは6機のF-2で構成される第3中隊だ。
その俺は今、愛機、F-2Cのコックピットで操縦桿をただ握っていた。
と、その時だった。俺らの遥か彼方を護衛の戦闘機とともに飛行していたE-3早期警戒機から突如通信が入ったのである。
『こちらスカイコマンダー、迎撃隊に告ぐ!中国軍機が120㎞先にいる。射程に入り次第攻撃を開始せよ!』
ほぅ、つまり先制攻撃の許可が出たと言う事か・・・・・・
先手必勝は空中戦の鉄則だ。幸運にも敵機は俺達より下を飛んでいる。
これは勝ったも同然だ。俺はそう思いつつも火器管制装置の対空モードのキーを入れる。
キーを入れるとタッチ式のレーダーディスプレイに次々とミサイルの種類が出てくると俺はつかさず中距離モードを押す。
もともと対艦攻撃機として設計されたコイツのレーダーは国産名上にどれをとっても探知能力に優れているが、近代化改修で更に性能に磨きがかかった事もあってAAM-6とは相性も良い。
俺は操縦桿にあるAAM-6発射用のボタンの上に指をかけると早期警戒管制機からの指示を待った。
そして次の瞬間だった。早期警戒管制機からゴーサインが出たのである。
ボタンを押すと俺は自分の部隊名と自機数、そして発射コードを叫んだ。
「デーモン1!!フォックス1!!」
俺がそう叫ぶと翼下から放たれた1発のAAM-6が目標である中国軍の戦闘機部隊に向けて飛翔する。
無論、それは他の機体でもそうであり、1機から各1発のAAMが中国軍の戦闘機に向けて飛翔していく。
無論、すぐにこっちのレーダーにも敵戦闘機がミサイルを放ったと言う事を示す輝点が表示され、俺らもすぐに回避行動に移る。
ミサイルを放ってから90秒くらいたつと敵機1機がレーダー上から消失した事に俺は気付いた。つまり敵機を奇跡的に1機撃墜したと言う事だ。
いや、というよりは早期警戒管制機の送ってくれた情報を頼りにミサイルがちゃんと命中したという感じだ。
TACネームで空の司令部と言うだけあって本当に早期警戒管制機って本当に頼りになるなと俺はそう感じながら次の目標に対して中射程誘導弾の照準を合わせた。とその時だった敵のミサイルがこちらに接近している事を示すアラームが機内に鳴り響いた。
俺は即座に僚機5機にそれを伝え回避行動に移った。
正確には俺の中隊以外に5中隊計30機がいるから36機が一斉に散開したと言った方が正しいかもしれない。
そして俺は急激な螺旋を描くハイGバレルロールと呼ばれる機動で中国軍戦闘機の放ったミサイルを回避する事に成功し、その直後にAAM-6を中国軍戦闘機に向けて放ったのである。
だが、その直後だった俺は友軍機が1機撃墜された事に気付いた。
そしてすぐに友軍の第6中隊のF-16が中国軍のミサイルで撃墜されたと言う内容の通信が友軍機から入ってきたが、俺はそんなんじゃ怯まない。
F-16と言えば確かに俺の愛機であるコイツの兄貴分ではあるが、F-16と比べればF-2はフライトソースコードなどはより先進的なモノとなっており、機動性や運動性は遥かに優れている。
いや、格闘戦に持ち込めばF-15だって撃破出来る優秀な運動性を持っている。だからミサイルなんぞ簡単にかわしてこっちが逆にミサイルを撃って反撃出来ると俺は信じているし、操縦桿から機体に伝わる反応が迅速で、機体自体も実に素直な操縦特性を持つ。
実際、F-2の方がF-16よりやや運動特性に優れている事もあると言う事が日米共同演習でも実証されている。
そしてレーダースコープから敵機を示す輝点3つがこっちのミサイルを示す輝点3つと重なるとその6つの輝点が全て消失したのである。
つまりは”敵性航空機”を3機落としたと言う事になるのだ。
と言っても36発の空対空ミサイルを放って3発しか命中しなかったと言う事は命中率は僅か8%と言う事か・・・・・・
だが、この先制攻撃で敵編隊に混乱が生じ、俺らは再び中射程ミサイルを放ち、強敵であるJ-11を含む3機撃墜する事に成功した。
そして俺たちは遂に視程内戦闘に突入した。
敵戦闘機はJ-10が12機に、J-31が7機と相手としては上出来だ。
と次の瞬間、親友である周大尉の操縦するF-2がインメルマンターンと呼ばれる空戦機動で、敵のJ-10の攻撃を回避し、彼の乗機にミサイルを撃ったと思われるその機体に対して赤外線誘導弾を発射し、J-10はただの鉄塊に変わり果てて海上へ落下していった。
『こちらオリオン1、敵機撃墜!!』
周大尉がそう報告すると俺はJ-31の斜め上方、しかも太陽の方角から襲い掛かり、J-31に対してAAM-7を放つ。
そして俺はその直後に操縦桿を前に引いて機体を急上昇させ。
と次の瞬間だった、俺が放ったAAM-7がJ-31に命中し、そのJ-31は一瞬にして粉々になったのである。
「デーモン1!敵機撃墜!!」
俺がそう報告すると愛機を傾け、次なる目標に向けて翼を翻した。




