20話
今回の語り手は中国軍サイドの主人公、宋兵進中佐です。
因みに今回の戦闘シーンの推奨BGMは某ブラウザゲーム、夜間戦闘E2
(と言うより私があの曲が大好きなだけですw)
政治将校が相変わらずウザいですw
大波とマスティンが戦線離脱した後に鳥海とモントレーが3隻の護衛の元、離脱した日米艦隊には代わりに国防海軍からはイージス巡洋艦霧島、衣笠と防空巡洋艦照月、対潜巡洋艦初霜、雪風の5隻が、米海軍からはイージス巡洋艦レイク・エリーと同駆逐艦キッドが加わり、イージス艦4隻と防空及び対潜駆逐艦が合わせて3隻の計8隻が加わり戦力は飛躍的に向上した。
扶桑CIC
「SSM発射用意!!各艦任意の目標に対してミサイル目標緒言を入力し、入力完了次第ミサイルを各自発射しろ!」
渋川雄二中将がそう命じると広域戦況表示用モニターに表示されている中国艦隊を示す輝点に照準がセットされる。
「霧島、衣笠、秋月、ミサイル発射準備完了!」
「イノウエ、J・P・J、C・ウィルバー、J・S・マケイン、フィッツジェラルド、暁、初霜、雪風ミサイル発射準備完了!」
通信士官や砲術士官がそう報告した所で渋川中将は攻撃命令を下した。
「・・・・・・よーし!!第1次攻撃開始!!」
渋川がそう言うと20隻近い艦の4連装発射機やVLSから2種類の対艦誘導弾もしくは巡航ミサイルが次々と発射され、その光景は丸で戦艦ミズーリが宇宙人の巨大兵器を迎え撃つ映画での某イージス艦が大暴れするシーンのようであった。
中国海軍巡洋艦重慶CIC
「敵艦隊より複数のミサイル接近中!数12・・・・・・いえまだまだ増えます14・・・・・・16・・・・・・22!!」
電測員がそう報告すると政治将校(大佐)が攻撃命令を下す。
「全て撃ち落とせよ!!良いな?被害を出すなよ!そしてこっちが攻撃のチャンスを得たら相手に二度と反撃出来ない様に全て沈めてやれ!」
政治将校がそう言うと司令が頷き、命令を下す。
(政府の出店チキンヤロウが、政府の威厳で威張ってんじゃねーよ・・・・・・こっちは命張ってんだぞ)
この重慶の砲雷長であり副長でもある俺、宋兵進中佐がため息交じりでそう呟くと政治将校はギロりと俺のほうを睨む。
「命令に従わないものは銃殺刑だから・・・・・・あと敵艦生存者が出ない様に確実に轟沈させろ!特に小日本の武蔵級と米帝のズムウォルト級の2タイプの巡洋艦は絶対に沈めて我々の栄光を示せ!!」
(んな無理な言うなよ・・・・・・経済も傾いてから世界から見向きもされない斜陽の国だぞ・・・・・・我が国は・・・・・・)
宋中佐は自国の政治腐敗を嘆いており、遼寧省の大学に在籍していた時に留学した事のある日本やアメリカとの戦争に勝ち目が無いと理解していた。
だが軍人である彼は命令には従わなければならず、政治将校に対し頷く。
「対空戦闘!目標、日本軍超音速ミサイル!!」
砲雷長として宋中佐がそう言うとVLSからミサイルが放たれる。
前後のVLSから続けざまに放たれた6発のHQ-9は目標に向けて順調に飛翔する。
無論、発射したのは上海だけではなく、中華神盾艦である成都、銀川、西安と言った052型DDGの面々もミサイルを各4発放っていた。
俺自身、コイツや蘭州級の特性は南京の海軍技術学校でイヤと言う程に習ったが、命中精度と生存率が凄い高い事で有名な日米のミサイルをどこまで防げるかなんてたかが知れているだろう。
「ミサイル命中まであと・・・・・・」
砲術員の1人がそう報告するとHQ-9と敵ミサイルを示す黄色と赤の輝点が交差し、いくつかの輝点が消えたものの、落とし損ねたのか、多数の黄色の輝点がこちらへと接近を続ける。
「敵ミサイルは第1次迎撃線を通過!各艦第2次迎撃用意!!」
司令がそう言うとフィリピン占領艦隊の旗艦である広東が護衛用に残っていた最後のJ-15を上げるべく速度を上げる。
しかし次の瞬間だった。その広東の船体の中心部に水柱が立ったのである。
「水中測定装置に反応!二十秒ほど前に日本軍もしくはアメリカ軍所属と思しき謎の潜水艦から魚雷が発射された模様!!」
ソナー担当の士官がそう報告すると政治士官はソナー員を始めとしたCICの職員を怒り狂った表情で怒鳴りつける。
「”対空だけに集中するな”と程言ったのに!しかも我が国の最新鋭空母である広東を傷つけられてしまうとは何をやっているんだ!大馬鹿者が!」
政治士官の逆鱗に触れたみたいだが、正直またこうやってアイツがキレていると思うと俺はもうウンザリだ。
と、政治将校がぶち切れている間にも戦況はますます悪くなっていた。
「敵潜水艦より魚雷発射音!目標、成都!!」
ソナー員の2等軍曹がそう報告すると情報共有装置で目標となった成都にそれを伝え、成都はすぐに之の字運動に移る。
無論、それに加えて我が国国産の対魚雷迎撃システムも放たれるが。
成都は間一髪魚雷を回避する事に成功したが、もう1発の魚雷が再び広東に命中。しかもさっきの被雷で速度が低下、運悪く若干の傾斜をきたしていた同艦は既に直援戦闘機や対潜ヘリなどを上げる余裕は無く、艦内も混乱状態に陥っていた。
そして魚雷が命中した場所がまさに機関室であった事もあり機関室に大量の水が流れ込み水蒸気爆発が発生し、広東は航行不能に陥ったのである。
俺はモニターに映る炎上する空母広東を見ながら、政府の上層部に対して激しい憎しみを覚えた。
だが、それを表立って表す事は軍人と言う職務上、あってはならない。それと同時にあんだけの優秀な水兵達を一気に失う意味を考え、俺は政治士官に対しても激しい怒りと憎しみを覚えつつも冷静さを保っていた。
さてと、艦隊の状況から我が艦隊と敵ミサイルとの話に話を戻そう。
「敵ミサイル22発中5割の撃破に成功!残りは11発です!」
5割も第2防衛線で撃破出来たとなれば上々だ。俺としても満足いくな。
政治士官は広東の生存者を見捨てるように進言したが、俺はそんな事を聞いていて怒りに震えた。はっきりあのクズを殴りたいと。
無論、政治士官は自分の出世や保身が第1で、人命なんてどうでも良いと思っている典型的な我が国の政府上層部の人間だ。
吉林省の北部出身の片田舎の農民出身の俺に対し、あの政治将校はパパとママのコネで出世した苦労を知らない世間知らずだ。
「玉林及び黄石、艦隊から離脱!広東へ向かいます!」
電測士がそう報告すると政治士官がまたキレていた。
いい加減にしようか、大佐。君ももう怒りつかれただろ?
俺はそう思いつつも対空戦闘状況が表示されたモニターを見る。
11発のミサイルの内、5発の撃破に成功したが、残り6発が最終防衛ラインに侵入する事に成功し、そのミサイルは相変わらずこっちへ迫ってきた。
(くそっ、しまった!!短SAMはもう間に合わない・・・・・・)
俺が胸中でそう呟くと俺は主砲とCIWSの射撃命令を下した。
射撃命令を俺が下してから数秒後、13㎝砲はミサイルの方角へと向いて射撃に備える。無論、それは他の船でも同じである。
そして低い射撃音が響くと13㎝速射砲から対空砲弾が放たれる。
だが、俺や部下達は6発全てが防げるとは思っていない上に1発はこちらの艦隊に命中して大なり小なりの被害が出ると推測していたが、1人だけ被害が出ないどころか全て撃墜する事が可能だと思っているバカがいる。わかっていると思うがあの政治士官だ。
暫くすると輝点の1つが消え、海面にミサイルが落下して撃破出来た事がわかると政治士官が久しぶりに笑みを浮かべる。
だが、一方で俺は不吉な予感に駆られていた。
やはり俺の不吉な予想はすぐに現実のものとなった。
そう艦隊の外縁を航行していた054型フリゲート舟山に日米艦隊から飛翔した反艦飛弾が命中し、航行不能に陥ったのだ。
(さっき舟山に命中したのは速度とレーダーの反射から推測して米軍のトマホークだな・・・・・・残りは新型1、ハープーン4だな多分だが・・・・・・)
俺がそう推測すると確かに1発は目標まで5㎞まで迫ると加速してきた。
だが連中には俺らの様な政治士官がいないのか、広東と2隻のフリゲートの方角にはミサイルは向かっていない。
そして俺が考え事をやめた、次の瞬間だった。この船の前を航行していた051型DDG武漢が火達磨に変わったのだ。
「何をもたついている、反撃しろ!!このゴミ野郎が!」
例の政治士官がそう言うと俺は残っていた対艦ミサイル4発全ての発射キーを入れて発射を命じた。
もうそろそろ政治士官もいい加減にして欲しい。だから俺は残った反艦飛弾全て発射し、アイツを満足させたのである。
俺は深い溜め息を付くと、政治士官は豪快に笑い出した。
もう俺はあのバカに付いて行けないわ・・・・・・
政治士官は馬鹿笑いを続けていたが、あのバカを除けば俺を含むCICの職員はもうすでに皆泣きたいような気持ちであった。
それから5分くらい経つと俺らと日米艦隊のちょうど中間地点まで鷹撃-82は辿り着いたが、その次の瞬間だった。我が艦隊から5分前に放たれた鷹撃-82は日米両軍の艦船から放たれたと思しき対空ミサイルによって撃破され、一斉に赤と黄色の輝点が消えたのである。
そして敵の対艦誘導弾が再び接近していた。
弾が無い事を知っているにも関わらず対艦ミサイルで反撃する様にあの政治士官が発狂していたが、もうどうにもならない。
だが幸運にも対空誘導弾はまだ健在だし、CIWSも余裕で弾が残っている。おまけに電波妨害用金属片も余っている。
「良いな、お前ら最後の1隻まで戦え、そして敵を1隻でも多く沈めろ!」
政治士官がそう言うとまた俺は溜め息を吐く。
どうせ、敵に制空権も掌握されている。だから勝てる訳など無い。俺は政治士官の台詞を聞いて最後の戦いと言う名のただの悪足掻きと感じた。
無論、日米の対艦ミサイルがどこまで騙されるか、それも問題であった。
そして俺の予想は見事に的中し、次々と艦隊の外縁を航行していたフリゲート艦が大破航行不能に陥り離脱していく。
ようやく現実を理解したのか、政治士官が今度は後退を命じる。
しかし上海の率いる第1部隊を逃がすために第2部隊の旗艦であるこの船に乗る張准将はある決断を下した。それを聞いた政治士官は司令を射殺した。彼はこのゴミカス野郎と違って思慮深く、本当に信頼できる上官だと俺は思っている。その張准将が言う事のほうに俺は従う事にした。
内容は悲壮感あふれるものだったが・・・・・・
”我が艦と海口を囮に最終反撃時の主力と成り得る艦隊を逃がせ!”
無論、艦長は政治士官に媚びていたがあのチキン野郎が死んでから自分の意志としてそれを命じたのである。
第1次攻撃は少ない被害で凌いだが、第2次攻撃は簡単に凌げるとは思えない。既に広東も沈没し、マニラの空軍も防空戦で手一杯だ。
だからこの重慶が敵から友軍艦隊を逃がす囮になったのである。
我々も日米艦隊所属艦に大きなダメージを与えたんだからここで沈められても仕方無いと俺自身も思っている。だから囮として味方を逃がせれば良い。
俺がそう思考を巡らす内に巨大な衝撃が襲いかかったのである。
そして俺はその衝撃の反動で床に倒れこみ、電気も一時的に停電し、復旧するとそこには戦闘中枢と言える様な面影は無く、割れたディスプレーや倒れた机に、血塗れの乗員など惨憺たる光景が広がっていた。
さらに不運だったのは艦長は大量出血により死亡していた事だ。
俺はすぐに艦内無線電話を使い、総員退艦を命じた。
当然、俺は生き残った部下と共に配線からの火花が飛ぶ艦橋内通路を通って甲板を目指した。まるで世界が荒廃した後の様な通路を抜けて甲板に出るとそこにはフィリピンの常夏の海と空が広がっていた。
一方ではこの船から脱出する生存者たちで溢れかえっていた。
俺は部下と共にライフラフトに乗り込むと燃え盛る愛艦に対して涙を流して敬礼をしていた。無論、部下もそうであったと言う。
海口もその後を追う様に沈没した。
2021年4月16日、午前10時20分、中華人民共和国の誇る北京級巡洋艦重慶は日米両軍のミサイルによって撃沈されたのである。
1時間後、突如水平線の彼方から大型軍艦が出現した。
どうやら軍艦旗を見ると日本海軍の船のようだ。船体には123という番号が書かれており、如何にも戦闘艦らしいシルエットも持っていた。
俺はその敵艦だったと思われるに向けて手を振ると敵艦が近くに止まった。
と言うより多数の敵艦が俺らの近くに止まったのである。
そしてその船は救助用の縄梯子をこちらへ渡すと俺は必死にそれに登る。
そこで俺は力尽きて意識が途絶え、目が覚めると士官室にいた。
「君が副長だと救助した水兵から聞いた。私はこの船の主計長の宮原大尉だ。今から君の尋問を担当する日本海軍の士官だ」
俺は突然、やってきた尋問担当官と思しき中国語が堪能な日本軍士官に驚いたが、その男はあの政治士官と違って如何にも戦士の様な風格をしていたが、表情は非常に穏やかであった。
上海(北京級巡洋艦)スペック情報
同型艦 上海(2018年竣工)北京、重慶(2017年竣工)
全長181m、全幅24m、満載排水量1万6400t、速力29kt
ガスタービン4基+ディーゼル機関2基による2軸推進、乗員354名
武装
砲術 13式13㎝速射砲1基(前部甲板上)
近接 730型30㎜対空防衛機関砲(CIWS)4基
対空 HQ-9用VLS 64セル+短SAM用VLS16セル
対艦 鷹撃82(YJ-82)型4連装発射機2基8発
対潜 短魚雷発射管2基、対潜ロケット発射機2基
航空 Z-9orKa-27対潜ヘリ2~3機
防御 チャフ発射機2基、ジャミング装置1式




