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17話

取りあえず次回から主題の海戦に戻ります。

武原と栗本が率いる12機のF-18が一斉にAAM-6を放った直後、敵機からも多数の誘導弾が放たれ、”シャーク中隊”と”ブレイブ中隊に向けてマッハ3.2と言うほぼAAM-6と同じ速度で迫ってきたのである。


「敵さんも撃って来たか!各機(オール・エアクラフト)散開(ブレイク)!!」

俺は警報の鳴り響く中、操縦桿をキツく倒すことによって愛機を急激に旋回させ、敵機の放ったミサイルを振り切ろうとする。

いや、ミサイルと比較して戦闘機が耐えられるGは低いから振り切ろうにもミサイルの旋回性能のほうが遥かに優れているから振り切ると言うよりも、むしろ巻くと言ったほうが正しい。

(お前の力を見せてくれ・・・・・・!!)

俺はそう愛機(F-18EJ)に向けてそう念じると操縦桿を逆に倒す。

すると愛機は右から左に主翼を傾けてそちらへと旋回する。

「ん!?・・・・・・誘導弾(ロックオン)警報(アラーム)が消えた」

俺は一瞬、何かが起きたかわからなかったが、すぐにその真意がわかった。

「そうか・・・・・・そう言う事だったか・・・・・・」

すぐに俺は気付いた。そう、米豪陸軍と米海兵隊が奪還したダバオ市内の空港にフィリピン奪還作戦の兵站基地となっていた豪州のダーウィン空軍基地に展開していた友軍戦闘(空軍第6航空隊)機部隊(と第305飛行隊)が移動し。その途中に米軍のE-3(早期警戒管制機)の支援を受けて敵編隊に奇襲をかたのである。

その奇襲によって中国軍の早期警戒機である空警2000(雲鷹眼)を撃墜され、更にはAAM-6(19式空対空誘導弾)によってR-73まで撃墜される事態となり、数でみれば36対24と比較的優勢だったのが、36対48とアッと言うと劣勢になったのである。

『・・・・・・敵機撃墜!!』

杉野がそう言うと1機のJ-15が電探表示機から消え去ったのである。

「感謝する、だが一応、貴官の所属部隊を答えよ!」

武原がそう聞くと杉野がすぐに答えた。

『第6航空隊第1飛行中隊デーモン、そしてその隊長であるデーモン1だ』

杉野がそう言うと彼は6機の僚機を率いて太陽を背に斜め側面から中国軍戦闘機隊に襲い掛かったのである。

ダバオを燃料満タンにして出撃、戦闘が発生するであろう空域までは胴体中央部の増槽の燃料で飛行していた事もあり燃料には余裕がある。

それに対し中国軍のJ-15ハスキージャンプ式デッキから飛び立つ際に射出機や滑走路から発信する以上の燃料を使用する事もあってSu-27と比較して燃料の量に余裕がない。

そして日本側の放ったAAMを回避する機動で結構燃料を食った、すなわち無理な機動をとれば、それによって母艦(広東)まで帰る事が不能になると踏んでいた。

それ以前に結構低空を飛行した事で大きく燃料を食っていた問題もある。


杉野は基本的に格闘戦を好んでいるが、頭脳的な戦闘にも長け、長距離ではAAM-6の性能を生かした奇襲によって撃破し、近距離では斜め上方から一気に襲い掛かり敵操縦士の目を晦ませた隙に赤外線誘導弾を放つ方式による一撃離脱で敵機を撃墜する戦術を得意としていた

「・・・・・・照準良し!!・・・・・・デーモン1、フォックス2!」

杉野がそう叫ぶとAAM-7がJ-15に向けて飛翔する。

J-15の操縦士は杉野ら6人の操る6機のF-2(ゼロ・ファルコン)に気付いてプガチョフ・コブラによる急速回避とフレア発射を同時に行って回避を試みるが、一瞬だけ上方に向かい、それから落下するフレアには目もくれずにAAM-7(19式空対空誘導弾)はJ-15に直撃する。

「・・・・・・敵機撃墜!!」

杉野がそう言うと彼の搭乗機と僚機5機は次の飛行隊に襲いかかった。


ASMを搭載したJ-10は上空でJ-15が日米豪海空軍混成飛行師団のF-15やF-2にF-16、F-18等と死闘を交えている間に低空飛行をしつつ扶桑打撃軍にすこしづつ迫っていた。

だが、その対艦攻撃部隊を待っていたのはレッド・ニンジャと自らを自称する笹村純也少佐が隊長を務める6機のF-15JMで構成された第305飛行隊第1飛行中隊と、大林嘉彦大尉率いる同第2中隊で構成された杉野ら第6航空隊と同様にエースパイロットが所属する部隊であった。


「バロン1よりツバメ1、射程圏内に入り次第、発射を許可する!」

『・・・・・・ツバメ1了解!我、戦闘準備完了、いつでもご命令を!』

笹村と大林の会話が終わった次の瞬間、AAM-6(17式空対空誘導弾)が自分のレーダーだけで目標に向けて飛翔する事が可能な最低限の距離である40㎞に侵入した。

「・・・・・・・・・バロン1!!フォックス1!」

笹村がそう叫ぶと彼の愛機の胴体側面からAAM-6(17式空対空誘導弾)がターゲットであるJ-10S(海猛龍)に向けて飛翔する。


因みにバロンとは英語で男爵を意味し、彼が愛機の尾翼と主翼の端っこを赤く塗装して日米共同演習に参加した際に米空軍仮想敵機部隊(アグレッサー)所属F-15をほとんど追い払った実績を見た米空軍が彼の実力に敬意を表してレッドバロンを捩ったレッド・ニンジャと言う渾名を付けた事に由来している。

因みにその元ネタを知っていた彼はそれを甚く気に入り、部隊のコールサインをそれにする様に基地司令に交渉し、彼が率いる部隊の名となったのだ。

一方、ツバメ隊は大林隊長が帝国陸軍のエースの名前と2文字かぶっていたのでどうせなら飛燕に因んでツバメにしようとなったからである。


閑話休題、中国軍の対艦攻撃部隊は要撃戦闘部隊に36機中33機が撃墜される被害を蒙り、日米豪連合航空師団は5機の被害に留まったのである。

攻撃は失敗に終わり、搭載機を失った空母広東には最後の時が迫っていた。


だが、日米豪の要撃戦闘機隊の攻撃を潜り抜けて攻撃に成功したJ-10(海猛龍)戦闘機2機が放ったASMの内3発が日米艦艇に命中。

最初の1発はイージス駆逐艦マスティンの第2煙突に命中し、射撃管制装置などを破壊する被害を与え、もう2発は汎用巡洋艦大波に命中、同艦の格納庫を破壊し、航行不能に陥らせる被害を負わせたのである。

扶桑艦橋最上部

「大波さん、貴方は沈まないわ・・・・・・あなたも巡洋艦でしょ、大丈夫よ!!豪州まで頑張れば浮きドックを米軍の方々が用意してくれるって!」

私がそう言うと大波が頷き、漣が彼女を曳航すべく曳航綱を渡す。

そして妙高さんと秋月さんは空を睨みつつ2人の左右から離れようとしない。

「扶桑さん、私が彼女を責任持ってダーウィンへ連れてき、豪州で最も優秀なドックがあるシドニーまで浮きドックで行けるようにするわ」

漣ちゃんがそう言うと私は彼女が約束を果たせるようにと御守りを渡した。

「広東か・・・・・・私は貴様を許さない!!」

仲間思いな事で知られる時雨ちゃんがそう言うと彼女から殺意のオーラに溢れていた。

そう言えば彼女の先代は先々代の大波が撃沈された瞬間を見ていたんだよな。

私は色々な事を考えつつもモンサーさんと雑談を始めたのである。

「モンサーさんが乗ってる船って何代目なのかしら?」

私はふと気になった事を彼女に聞くと彼女は赤面面で初代と答えた。

「ふーん・・・・・・でも、国を護る船に代なんて関係ないわ、高い士気を有していると言う事のほうが伝統ある船名より大事だからね」

私がそう言うと彼女はホッとした表情をして、私と話を続けたのである。


いよいよ明日の暁前には敵艦隊とミサイルの報酬になるだろうと考えると気を引き締めなきゃいけないと私は自分に言い聞かせた。

戦争序盤で私の前で斃れた浜霧ちゃんの為にも生き残らなければならないとも言い聞かせ、汎用巡洋艦とした横須賀に凱旋すると言う約束も果たす為に。


中国艦隊・巡洋艦上海

本当は私だって戦う事を好んでいる訳では無い、だが仕方ない。

何故なら私は軍艦であり、軍艦は国の為に働き、奉公する船だからだ。


私は日本の扶桑さんの噂を聞いて彼女の様に振る舞いたいと敵ながら彼女に対して尊敬の念を抱いている。無論、明日には彼女と刃を向け合うのであろうが、私も武人として彼女の様に振る舞いたいと思っている。

「上海さん、何しているの?行きますよ!」

私にそういったのは駆逐艦の銀川だ。私の4年前に就役した改蘭州級駆逐艦の1隻で優れた防空能力を持つ中華(チャイニーズ)神盾艦(イージス)だ。

「すまんすまん、ちょっと考え事をしていた」

「もう上海さん、そう言う癖を何とかして下さいよ・・・・・・」

「はははは・・・・・その通りだな」

私がそう言うと艦隊はシブヤン海を抜けパラワン方面へ向かう。


翌日、私は自分の目の前で多数の敵味方の軍艦が沈む光景を目にし、初めて扶桑と合間見舞えると言う運命を知らずに・・・・・・

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