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第4話 神の真似事


 王子は医学を学び、身体を保つ方法を求めたが、いくら怪我を治そうと、失った身体を取り戻すことは不可能だと思ってきた。



失った身体を元に戻すなど、まさしく神の御業(みわざ)、人間ができる行為ではない。



そんな悩みが頭を駆け巡っていた。


何かないか、何か無いかと天井を見上げていると、国の意向を決める会議は終わった。





大臣たちは王子が政治に興味がないことに、すでに呆れており、王子の発言は求めなかった。



しかし、王子は()()()だとその場に分かってはいても、王は歳をめされ、次の王は王子になる事は必然であった。




今や王は息子の手を借りずに椅子から立ち上がるのは難しかった。



王は力を入れ椅子から立ちながら、震えた声で話した。

「お前は私の腕のようだな」





王子はその一言で、瞳孔が開いた。(いくさ)の話、書庫に記された神の存在、救えぬ現実。



全てが彼の頭に蘇ったのである。



「無ければ作れでは良いではないか!」






王子は、急いで三人の隊長たちを集めた。



集合したあと早々に隊長たちは、王子を囲んだ


「大臣たちがなんと言おうと、次の王は貴方様ですよ」

「我ら兵士にいつも優しくしてくださった貴方様こそ王に相応しいと皆 思っています。」


「違う、君たちに集まってもらったのは慰めてもらう為ではない。我が国の名高い技術者をここへ呼んで欲しいんだ」



「なぜ我らに?」


「悲しい事に、私の話を聞いてくれる人たちは君たち以外いないからだよ」



隊長たちは、少し照れくさそうにしながら、お互いに目を合わせた




隊長たちはすぐに技術者を集め、王子は知っている限りの身体の知識を活かし、()()()()を作った。



それらは、生まれつき身体が足りぬ者や、昔 隊長から聞いた兵士のように(いくさ)で身体を無くした者に与えられ、飾りだけの王子と思っていた大臣や民からも慕われた。




しかし、この国にも信仰されている()()()の教えを厳しく守っている大国(宗教国家)から手紙が届いた。



「そちらの国では偽の手や足を神の与えて下さった身体にはめ込み、神の元へ行こうしている不届き者が増えていると聞く。そのような事を国が知っても尚、それを許していることは、我らの条約への侮辱と神の真似事であり、卑劣な神の力への()()()()()ある。直ちにその愚劣な偽の手足の開発と提供を停止し、軍や民から回収せしめるべし。」




この大国(宗教国家)とは()()()のもと、両国の人間の身体を保つことを誓い、不可侵条約を組んでおり、歳を召した王はこの状況をどう対処すべきか悩んだ。



自分の息子が人のために学んだ知識を使い、昔から変わらず人を笑顔にしている義手や義足を民や兵から奪うべきだろうか。王は幼い王子を思い出した。



息子に王は何たるかを叱ろうとした時のこと、兵士を癒す少年の姿、それこそが王であると気付かされた記憶を。



(父上がお怪我をなさっても僕が治してあげますよ)






王は手紙を読み直した。沸々と怒りが込み上げてきた。



使われている紙、黒のインク、手紙が入っていた神を模した入れ物も全てが憎たらしく感じた。



「何が()()()()か、手足のない赤ん坊に対して再び神に身体を作って頂くと言いながら、名もなき赤子を処分させている国ではないか!卑劣はどちらであるか!」



静かな部屋に王の声が響きわたり、その振動はこの国すら揺らがした。


たちまち両国は(いくさ)へと発展し、神への冒涜と人の尊厳をかけた争いとなった。

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