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AT『アベルとテツの』冒険譚 if 異世界転生したおっさんが普通に生きる  作者: カジキカジキ


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ラージダンジョンへの挑戦7

 四十一層に下りてから、騎士団の人たちは僕らに絡む事なくダンジョンを進んでいた。正確には絡む暇もないくらいに魔物の相手が忙しかった。


「くそっ!」


「ぐぁっ」


 ヒュッ!


「ランドルフ! 何とか止めろ!」


 ガァン! ガァン!


「ハァッ!」


 ザグッ!


 ・

 ・

 ・


 騎士団は四十三層のキングオーガに苦戦していた。攻撃を止める盾役がキングオーガの動きを止められず、剣持ちの二人が何とか踏ん張っているが、決定的な攻撃を加えられずにいる。


 俺たちは、もう一体現れていたキングオーガをロウさんの盾で止めて、アベルとアルの攻撃で倒すというパターンが出来上がっていた。


「アスラさんかゴドスさんが盾役で入ってあげたらどうですか?」


 因みに、アスラさんとゴドスさんも戦闘中にジャマになりそうな魔物が現れた際には積極的に倒してくれている。


「それは、彼らがそう判断し、願ってくればやらない事はないが……それか、テツ。お前がそれを指示すれば良い」


 俺は藪蛇だったと頭をかいて。


「いや、それは……あっ、何とか終わりそうですよ!」


 話している間に、騎士団の方もキングオーガに致命傷を与へ、黒いモヤに変えていた。


「今日はここ迄にします。この大岩の影を拠点にして、休めるようにしますので、交代で見張りながら休んで下さい」


 セーフエリアではないが、急に襲われる心配の無さそうな場所を選び休めるようにする。火は使えないが、アルの時間停止付きのマジックバックには温かい食事も入っている。それは騎士団も同じで、彼らも温かい食事が取れているようだ。


 それぞれのメンバーが半分ずつ休み、残りは警戒に当たり四時間で交代する。たった四時間と思うかも知れないが、こんな場所で四時間も休める事が奇跡なのだ。


 ふとジョーカーの事を思い出したが、あり得ない事だと首を振って忘れた。


◀▶︎ ◀︎▶︎ ◀︎▶︎ ◀︎▶


「ふーん? まあ、貴方たちには頑張って貰ったし少しだけ手助けしてあげる。弱い魔物なら寄って来ない魔除けよ」


 パチン!

 

◀▶︎ ◀︎▶︎ ◀︎▶︎ ◀︎▶


「どうぞ」


 見張り中でもずっと気を張っている訳ではないので、お茶を入れて騎士団の人にも振る舞った。アルの国で手に入れた香りの良いお茶だ。ちなみに、お茶の淹れ方は。父さんから教わった、水の魔石で熱いお湯を出す方法で淹れている。


「すまんな」


 もしかすると断られるかもと思っていたが、案外すんなりと受け取って貰えて驚いていると。


「何だ? 断られるとでも思ったか?」


「あっ、いや」


 ランドルフさんは騎士団で盾役、大柄でロウさんと同じく大楯を使っているけれど、正直ロウさんの様には使えていない気がする。まあロウさんも最初の頃は同じ様なものだったけどな。


「いい香りだな」


 ランドルフさんが、お茶を一口飲もうとカップを口元に運ぶと、その香りに驚いていた。


「アルの国、ドラコーン王国でも新しい種類の珍しいお茶なんですよ」


「お前達は、この間までドラコーン王国を旅していたんだってな。そこでダンジョンにも潜っていたのか?」


「そうです。何故か縁があってアルと一緒に国中を回って、ダンジョンに潜ってました」


「そうだったのか」


 ランドルフさんは、それっきり黙って下を向いたままだった。

 

 八時間の休憩が終わり場を片付ける。幸い休んでいる間に魔物が襲ってくる事もなく、皆の顔を見ても少しは疲れが取れたようだ。


 今日で五十層まで行けると良いが、騎士団の人たちがレベルアップでもしていれば少しは楽になるか?


 ガウッ! ガウッ!


「ハッ!」


 ザシュッ!


「うりょ」


 ドスッ!


「応!」


 シュッ! ザグッ!


 四十五層ではケルベロスが出てきた、ケルベロスは三ツ頭を持ち蛇の尾を持つ魔物だ。とても賢く獰猛で、最低でも三体の群れで襲ってくる。


 気がつくと、騎士団の方はケルベロスを一体も倒せず翻弄されている。


「クソッ! アスラさん! 騎士団のフォローお願いします!」


「仕方ないな」


 そう言うと、アスラさんは剣を振り回してケルベロスを散らせ、盾役として騎士団の前に立った。


「ほら! お前たち、剣を構えろ! 私が止めている間に攻撃するんだ!」


 アスラさんが盾役で入った事で落ち着きを取り戻し、騎士団の方も間も無くケルベロスを倒す事が出来た。


「おいアスラ! このままでは六十層どころか五十層にもたどり着けないぞ」


 ゴドスさんがアスラさんに対して叫ぶと、騎士団の人たちがギョッとしてゴドスさんを睨む。


「何だお前たちは! 自分の技量も分からん癖に、プライドだけは一人前か!」


「何を!」


 言われた騎士団の中の一人が前に出ようとして、仲間に止められていた。


「王は、騎士団の中で一人だけでも。と言っていたんだろ? だったら全員連れて行く必要も無いのだぞ。取り残されたく無ければ、プライドなんぞ捨てて、意地でも喰らい付いていく位の気合いを見せてみろ!」


 つまりは、俺たち冒険者に張り合うのではなく、俺たちと協力する気持ちを見せろと言っているのか? ゴドスさんは?


 四十六層の階段に向かって進む途中、騎士団で盾役をしているランドルフさんがロウさんに話しかけていた。何を話しているかまでは詳しく聞こえなかったが、どうやら盾の使い方を聞いていたようだ。


 その様子をリーダーのリンゲルさんと、大剣使いのグルドフさんは苦い顔をして見ていた。


「ヤコブさん。索敵ですが、進行方向に向けて出来るだけ遠くまでお願いします。俺とアベルで左右は見ますので、ヤコブさんは前に集中して下さい」


 騎士団の斥候担当のヤコブさん、索敵の精度はすごく高いのだけれど広く浅くになると苦手なようで、範囲を絞ってお願いすると、的確に魔物を見つけてくれた。


「前方、こいつは……コカトリス! すぐに来るぞ! 数は二だ!」


「「!!」」


「コケーッ!」


「ケーッ!」


 コカトリス! 足の速さと凶暴さでは群を抜く魔物だ、接近してくるのが早いから、どれだけ遠くで見つけるかがキモになる。


「セイッ!」


「ハァッ!」


 ザシュッ!


 ズバッ!


「ウリョ!」


 スパッ!


 例え足が速くても、来るのが分かっているのだったら容易い(たやすい)。待ち構えて、出てきた所を叩けば良いだけだ。


「さすがだな」


「ヤコブさんが早く見つけてくれるから、安心して対処出来ているだけですよ」


 少しずつ俺たちに気を許してくれる騎士団の人たちも出てきた、お互いに協力して進めれば、もっと簡単になるんだが。


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