131.ハーピーからの王認定
『トブシマー』の族長シーアさんの助言のおかげで、俺のスキルを使って、『支配の首輪』を破壊することができた。
俺は、残りの三体の幹部『ハーピー』も、同様の手順で『支配の首輪』を破壊してやった。
翼や足を切断していたが、それも全て治してあげた。
「うう、ここは……」
目を覚まし、困惑している四体の『ハーピー』に、少女や残りの『ハーピー』たちが、事情を説明してくれた。
「強き王よ、我らの危機を救っていただき、感謝いたします」
リーダーが俺の前に跪き、礼を言ってくれた。
いきなり“強き王よ”とか言われて、驚いた。
確かに俺は『ヤマダイ国』の王であり、正式に発足したわけではないが、これからできる『ヤマト超帝』の皇帝でもある。
だが、それ自体に慣れていないし、初めて会う者に突然、“強き王”と言われると戸惑ってしまう。
リーダーは、少女ハーピーと同じピンク髪で、ピンクの翼だ。
『ハーピー』たちは、上半身は、腕が翼になっている点を除けば、人間と変わらない感じだ。
胸のところは、サラシのようなものを巻いている。
下半身は、翼と同じピンクの羽毛で覆われているので、何かを履いているようには見えない。
ちなみに足は、鳥の足だ。
改めて、話を簡単に聞く。
やはり先程少女が説明してくれたように、突然悪魔が現れ、少女が人質にされたようだ。
実際には、里の少し離れたところにいた少女を捕まえてから、やって来たらしい。
抵抗することも考えたようだが、相手が中級悪魔であることに気づき、下手したら全滅するかもしれないと思い、また少女を救う為にも、言うことを聞くしかないと観念したとのことだ。
ちなみに、この少女は族長の娘のようだ。
そして改めて見ると、『ハーピー』たちは女性しかいない。
微妙に尋ねづらかったが、里のメンバーがここにいる者で全員なのかということも含めて、尋ねてみた。
「我ら『ハーピー』に、男はおりません。里の者全員でこちらに来ましたので、今ここにいない者はおそらく……皆様を襲った際に、倒されたかと思います……」
なるほど、男はいないのか。
どうやって子供ができたのかという疑問もあるが、そんな事は今は訊く雰囲気ではない。
他の者たちは、俺たちに倒されて死んだと思っているようだ。
悲しげに視線を落としている。
「最初に、俺の仲間が迎撃して撃ち落とした『ハーピー』たちは、怪我をしてるけど皆生きているよ」
俺がそう言うと、族長をはじめ『ハーピー』たち皆が安堵の表情を浮かべ、涙を流した。
「強き王よ、あなた様がいなければ、我らは全滅していたでしょう。
皆殺しにされても、仕方なかった状況でした。
本当に感謝いたします。
我らが恩人であるあなた様に、忠誠を誓います」
族長がそう言って跪くと、他の『ハーピー』たちも同様に跪いた。
どうやら仲間になってくれるというか、本人たちは俺の配下になるつもりでいるようなので、詳しい話をしたいところだが、俺にはもう一つやることがあった。
それは、悪魔への対処だ。
実は、既に『大剣者』が操作するウルフユニットが、探索しながら向かっている。
大体の方角がわかるので、『ハーピー』を追跡していたウルフたちを、そのまま悪魔の探索に当てたのだ。
「『ハーピー』のみんな、ありがとう。これからのことを、ゆっくり話したい気持ちもあるけど、まだ悪魔がいるかもしれない。いるなら倒してしまいたい。まずは『天船』で向かおう!」
俺は、そう声をかけ、ここにいるみんなと共に出発した。
先導してくれるのは、『ハーピー』たちだ。
『ハーピー』たちの里の近くに悪魔がいるはずなのだ。
もちろん『大剣者』の『アナライズ』による探索のしながらだ。
◇
ヤマトたちが『ハーピー』たちを解放する少し前——
「まったく、この悪魔、鬱陶しいわね。さっさと倒さないと」
私は、アリタリア・クレセント、『スライム聖女』なんて言われていたりもする。
もっとも、遠く離れたこの国では、そんな名前を知ってる人はいないと思うけど。
私の住んでいた国は、この『ジパン群島』の西にある大陸の小国の一つ『アルテミナ公国』。
そこでは、いつの頃からか“スライムを連れた聖女様”なんて呼ばれるようになり、『スライム聖女』として有名になってしまった。
仲良くなったらスライムたちと一緒に、人々を助けているうちにそう呼ばれるようになったのだ。
そのうち、ほんとに『スライム聖女』という『称号』を得ていた。
そして、お馬鹿貴族を倒したり、魔物の暴走を止めたりしているうちに、ステータスの『職業』にまで『聖女』と表示されるようになった。
どんな条件を満たしたのかわからないが、真の聖女になってしまったのだ。
その後も、いろいろなことがあった。
そして最近、『月霊神 アルテミス』様と『月曜神 ツクス』様から啓示を受けてしまった。
『月霊神 アルテミス』様は、私の住んでいた『アルテミナ公国』において守護神として崇められている女神様だ。
『月曜神 ツクス』様は、『日の神十神』と言われる有名な神様方の一柱だ。
二の日の神様で、闇魔法の守護神とも言われている。
まさか、一度に二柱の神様から同時に啓示を受けるなんて、驚きの体験だった。
正直、今までも普通の人ではありえないような数多くの驚きの体験をしてきたが、その中でも一番かもしれない。
ただ、その啓示の内容には更に驚かされた。
そのせいで私は、この東の島国にいるし、こうして単身悪魔と戦う羽目にもなっているのだ。
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