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130.『支配の首輪』を破壊

 悪魔により『支配の首輪』をはめられた四体の幹部『ハーピー』たちを拘束した。

 だが、『支配の首輪』を外す方法がない。


 そんな困った状態で立ち尽くしているところに、クラウディアさんたちが走って来た。


 どうやら、熊魔物たちの殲滅が終わったらしい。

 ここは『魔境台地』から少し離れ、東側の山の裾野の奥に入った場所だが、『天船(あまふね)』で駆けつけたようだ。


 それとほぼ同時に、正気を取り戻した『ハーピー』たちが、空中で戸惑っているのが分かった。

 だが、幹部四体を傷つけて拘束している俺を見て、敵認定したようで集団で、急降下して来た。


 これにクラウディアさんたちが反応し、攻撃を仕掛けようとしたのだが……


「やめて! この人たちは、敵じゃない!」


「みんな、攻撃しないで!」


『ハーピー』の少女が降りてきた『ハーピー』たちに、俺がクラウディアさんたちに叫んだ。


 『ハーピー』の少女は、すぐに翼を広げながら仲間たちに近づき、必死で事情を説明している。


 そして俺は、クラウディアさんたちに今の状況をざっくり説明した。

 まぁクラウディアさん達は、ある程度の事情は把握していたんだが。


 『大剣者』が、『小剣者』を通じて皆に連絡をしていたのである。


 そして、最初に『ノッカー』たちが撃ち落としていた『ハーピー』たちに、トドメを刺さないように指示をしてくれていたのだ。


 『大剣者』のナイス判断である。


 撃ち落とされた『ハーピー』たちは、瀕死の者もいるが皆生きているらしい。


 『ノッカー』たちや『河童』たちも、意思疎通ができることを知っていて、事情を聞くためにも、トドメを刺さなかったようだ。


 ここの『ハーピー』たちも、少女の説明を聞いて、状況を理解したらしい。

 少し離れた位置で、待機している。


 そして、少女と一体の『ハーピー』が、ゆっくり俺に近づいて来た。


「この子を助けていただき、ありがとうございます。我々の魅了状態も解除していただき、感謝します」


 魔物とは思えないほど、丁寧に挨拶をしてくれた。


 魔物と言っても、『オリジン』と言うのは、人族や妖精族などと近いのかもしれない。

 普通に言葉でコミニケーションができるという時点で、魔物という感じはしないんだよね。


 それは良いのだが、問題はこの幹部四体をどうするかだ。

 『支配の首輪』を外す方法がない。


「俺はヤマト、君たちのリーダーや仲間を拘束したけど、『支配の首輪』を無理矢理外そうとすると、命を失うみたいなんだ……」


 俺の言葉に、少女とともに現れた『ハーピー』は、悲痛な表情になり、何かを逡巡しているようだった。


 おそらく、リーダーが言い残したという自分たちを殺せという指示について、思いを巡らせているのだろう。


 いくらリーダー自身の指示とは言え、そして『支配の首輪』を外す方法がないとは言え、簡単に仲間を殺すことなどできないのだろう。


「ヤマト様、それは『支配の首輪』と言っておりましたが?」


 最後にゆっくり歩いてきた『トブシマー』の族長シーアさんが、思案気な表情をしつつ尋ねてきた。


「ええ、そのようです」


 実際、『アナライズ』でもそう表示されている。


「前に一度、『支配の首輪』についての記録を読んだことがあります。

 『支配の首輪』は、恐ろしいアイテムで、それをはめられてしまえば、事実上外すことは不可能。

 はめた者が死んだとしても、外れないとされています。

 無理矢理外そうとすれば死ぬ。

 ただ外さなければ危険ということで、ほとんどの場合は命をあきらめ殺してしまうことになります。

 殺して、解放してやるしかないのです」


 やはり方法は無いのか……


「ただ、聖なる力を持った者が触れると、砕け散って破壊される場合があるとも記載されておりました」


「え! じゃぁ外せる可能性もあるんですね!?」


 絶望しかけていたが、思わず声に力が入ってしまった。


「はい。ただ外すというよりは、聖なる力で装着したまま破壊するという方が正しいでしょう。

 ヤマト様は、『光の聖者』であられます。

 聖なる力をお持ちではないかと存じます。

 それに『光魔法——光の洗礼』がありますから、『光魔法——光の洗礼』を十分に使った後に、ヤマト様が手で触れみてはいかがですかな?

 破壊できるかもしれません。

 この装着者たちを生かせる可能性があるとすれば、ヤマト様だけだと思いますじゃ」


 なるほど、それは試す価値がある。

 というか、それを試すしかない。


 俺は、四体のうちの一体に、『光魔法——光の洗礼』を発動した。


 できるだけ光の粒子を濃厚にするイメージで、光滴を首のあたりに落とした。


 光滴が弾けて、体全体を光の粒子が包む。


「グアァァァァ」


 すごく苦しそうだ。

 このままでは、まずいかもしれない。

 無理矢理首輪を外すのに近い状況になっている可能性もある。


 俺は、暴れる『ハーピー』の体を固定する意味も含め、『支配の首輪』を掴んだ。


 すると……


 『支配の首輪』に、ピリッとヒビが入った。


 俺は再度、『光魔法——光の洗礼』を発動し、首輪にかけた。

 そして、すぐに首輪を掴んだ。


 掴むやいなや、ヒビが一気に広がり、『支配の首輪』は一瞬で粉々に砕けちった。


 『支配の首輪』が外れた途端、今までのたうちまわっていた『ハーピー』は、動きを止めた。


 おそらく『支配の首輪』の楔から解き放たれ、気を失ったのだろう。

 命を失っていないことは、見た感じでわかる。


 俺は念のため、『アナライズ』でステータスを確認してみた。


 『状態』表示が、先程までは『被支配状態』と表示されていたが、その表示が消えている。

 うまくいったようだ。


 俺は、『光魔法——光の癒し手』を発動し、回復させる。


 斬り取ってしまった翼の修復は、『献身』スキルを発動すればいいが、ここには切断された翼があるので、接合しながら『光魔法——光の癒し手』を発動した。


 すると、見事にくっついた。

 部位欠損しても、欠損した部位があれば、『光魔法——光の癒し手』でも治せるようだ。

 実際は、いろんなケースがあるから、難しい場合もあるかもしれないが。


 まぁ接合できなかった場合でも、『献身』スキルを使えば治せる。


 ちなみに、『献身』スキルを発動することによって、『支配の首輪』を無効化することができないか『大剣者』とも検討してみたが、難しいだろうという結論になった。


 それはそうだろう。

 『支配の首輪』により、何らかの物理的なダメージを与えていれば、その半分を肩代わりできるが、『支配の首輪』自体をなかった状態に戻す事はできないはずだ。


 理論上は、『支配の首輪』とともに『ハーピー』を斬って、即座に『献身』スキルを発動すれば、元に戻せる可能性もあるが、俺のスキルの発動よりも早く即死状態になってしまうと生き返らせることはできない。

 そんな賭けには出れなかったのだ。



読んでいただき、誠にありがとうございます。


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次話の投稿は、明日の予定です。


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