125.巨大な熊魔物も雑魚扱いな仲間たち
『シューティングヒーラー』という攻撃も兼ね備えた特殊ポジションを体現するかのようにフランソワは、『魔刀 出刃包丁』を構える。
「出刃散斬! スラッシュ! スラッシュ! スラッシュ!」
発動真言と共に、三度連続で振り下ろされた刃先から、斬撃波が打ち出された!
三連撃となった斬撃波は、見事に熊魔物を捉えて、大ダメージとともに後方に吹き飛ばした。
扱いの難しい技コマンドだが、フランソワは既に自分のものにしていた。
そして、躊躇うことなく、吹き飛んだ熊魔物に走り寄り、一閃、首を切り落とした。
フランソワは、遠距離からの攻撃ではなく、接近戦までもこなすようになっていたのだ。
サッと魔物を切り裂くその姿は、まるで得意料理でもしているかのようであった。
『河童族』序列第二位の戦士サクラは、新たに手に入れた『種族固有スキル』を発動する。
「心身統一、河童魔鬼!」
発動真言を唱え、掌を胸の前で合わせると、体全身を赤黒いオーラが包む——
赤黒い鎧武者の装束が完成すると共に、手にした剣を赤黒いエネルギーが包み込む。
剣刃に放電現象を起こし、魔力の刃が完成した。
そのまま迫りくる熊魔物に斬り付け、一太刀で両断して見せた。
続けざまの横薙ぎで、もう一体を、横から真っ二つにする。
脅威の巨大熊魔物も、サクラにかかっては、雑魚魔物に過ぎない。
さらには、矢を放つ。
魔力刃で覆われた矢は、普段よりも破壊力が格段に上がり、熊魔物の体に大穴を開けた。
一瞬にして三体を葬ったのである。
『河童族』序列第二位は、伊達ではないのだ。
ミーアは、もはや相棒と言っていい獅子亜人のレオナとともに連携攻撃を狙う。
レオナが、『魔盾 リアスシールド』で、熊魔物の突撃を受け止める。
だが巨大な熊魔物の勢いは凄まじい。
勢いを弱める程度しかできず、そのまま後方に後ずさった。
だが、その隙をミーアは逃さない。
「はぁぁぁぁ!」
『聖槍 カントウローム槍』を使った三連撃で、熊魔物を穿ち絶命させた。
『勇者』の『称号』を持つミーアだけに、聖槍の攻撃力を十分に引き出せていた。
実は、ミーアは『称号』だけでなく、『職業」の欄にも『勇者』と表示されるようになっていた。
王都でのゾンビの殲滅戦において、多くの人々を救ったからか、彼女は『真の勇者』の状態になっていたのだ。
『職業』の欄に『勇者』と表示される状態が、『真の勇者』と言えるもので、それに伴い『職業固有スキル』が発現していたのである。
二つの『職業固有スキル』が、発現していた。
一つ目は、『無限収納』だ。
文字通り、無限に収納できるスキルであり、魂のあるもの以外ならば、なんでも、容量に関係なく収納できるのである。
二つ目は、『勇気』だ。
『怖さを知りながら、立ち向かうことができる』スキルである。
“怖さを知る”……つまり相手を知るために、技コマンドに『分析』を持っている。
『分析』は、『鑑定』と同じようなことができるスキルだが、それよりも性能は上だ。
『大剣者』が持つ『アナライズ』機能に近い能力のスキルであった。
スキルレベルが上がると、ステータスの確認だけでなく、戦闘経験がある魔物の弱点分析ができるようになるのである。
普通は、地道に戦闘を重ねることで体感で理解していく敵の情報……物理に強いとか、魔法に弱いとか、火に弱いとか、そんな情報が、早期に取得できるわけである。
“立ち向かう”為の、力を得る為の技コマンドも備わっていた。
技コマンド『勇者の気合い』である。
『勇者の気合い』は、自分とパーティメンバー全員の『基本ステータス』『サブステータス』を上昇させることができる。
『基本ステータス』の『身体力(HP)』『スタミナ力』『気力』『魔力(MP)』と、『サブステータス』の『攻撃力』『防御力』『魔法攻撃力』『魔法防御力』『知力』『器用』『速度』の全ての数値を高めることができるのだ。
上昇率は、スキルレベルによるがスキルレベル1でも、一割程度はアップさせることができるのである。
この『勇者の気合い』は、既に発動済みであり、ラッシュたちはこの恩恵を既に得ているのであった。
そんな『職業固有スキル』を得て、ミーアが『真の勇者』として覚醒したことを知ったヤマトは、聖槍を託したのである。
そしてミーアは、見事に使って見せている。
「聖なる火山灰」
ミーアは、発動真言と共に、聖槍の技コマンドも使って見せた。
もう一体の熊魔物に向けた穂先から、細かな粒子の灰が放出され、それが渦を巻きながら竜巻状に襲いかかる。
狂乱状態の熊魔物でさえ、視界も奪われ、呼吸もままならなくなり動きを止めた。
「はぁぁぁぁ!」
跳ね上がり宙を舞ったミーアは、巨大な熊魔物の脳天から聖槍を突き刺し、串刺しにした。
そして、すぐさま槍を引き抜くと、レオナが魔盾を使った体当たりで弾き飛ばした熊魔物に投擲した。
風切り音を上げながら加速した聖槍は、一瞬で熊魔物の体に穴を開けた。
そして、貫通した聖槍は、そのまま空中で反転して、ミーアに戻って来た。
なんとミーアは、ヤマトですら使えていなかった念による聖槍の操作、『念動回収』をあっさりやってのけたのである。
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