124.待ちわびた救援の到着
俺たちは、王城の転移門のところに急いでやって来た。
そして俺は、破壊してしまった転移門に、急いで『献身』スキルを発動する。
完全修復させるには五回程度『献身』スキルの発動を繰り返す必要があるが、もう慣れたもので問題は無い。
転移門の修復が終わり、『天船』を『大剣者』の『亜空間収納』に回収し、俺と仲間たちは、転移門に飛び込んだ。
『ショウナイの街』の転移門を出ると、守護と衛兵たちは縛られたままの状態になっていた。
人を呼んで縄を解くこともできたと思うが、俺の脅しが効いたようで、おとなしくしていたようだ。
守護が俺を見て何か言っているが、相手にしている暇は無い。無視だ。
守護屋敷の中庭に出て、『亜空間収納』から『天船』を取り出す。
すぐに乗船し、『魔境台地』に向け出航した。
『魔境台地』に近づくと、上空に鳥の魔物がいた。
「あれは……ハーピー?
魔物ですが、オリジンと言われる特別な魔物です。普通の魔物と違って、意思疎通も可能なはずです。なぜそれが襲ってきているのか?」
クラウディアさんが、そんな発言をした。
『オリジン』と言われる魔物ものについては、俺も講習で聞いたことがある。
普通の魔物とは違って、無闇に人を襲わないが、そもそもが珍しい存在で、遭遇すること自体が稀なのである。
『カントール王国』にある迷宮の中でも、かなり深いところで遭遇したという記録が残っているようだが、冒険者が普通に探索していて遭遇したという記録は無いのだ。
記録によれば、その時は問答無用で戦闘になったらしいから、意思の疎通ができるからといって、友好的というわけでは無いようだ。
現にこうして、襲ってきてるわけだし。
空から岩石を投下していて、危ない。
すぐに倒そうと思ったが、応援に来てくれている『ノッカー族』の人たちが、下から特殊な攻撃で反撃した。
棒状の武器を横薙ぎにスイングして、そこから魔力弾を打ち出しているのだ。
すごい攻撃だ。
何体ものハーピーを、撃ち落としている。
この攻撃に慌てたハーピーたちは、一旦、距離を取って後方に下がった。
だが、あのハーピーは危険だ。
倒してしまわないと。
おっと、危険なのは、ハーピーだけではなかった。
森の奥からは、更に魔物の群れが来ている。
しかも巨大な熊の魔物たちだ。
「ヤマトくん、あの熊の魔物たちは、私たちに任せて!」
クラウディアさんがそう言うと、ラッシュを始め他のみんなが大きく頷いた。
今の彼女たちなら、任せても大丈夫だと思うが、数が多い……。
……だが、『クマゴロウ』でフォローさせればいいか。
熊には、クマだ!
「わかった。『大剣者』に『クマゴロウ』を操作してフォローしてもらうけど、充分気をつけて。俺は、ハーピーたちを倒すよ」
俺はそう言って、『オートホース』を取り出し起動した。
『大剣者』は、俺の腰に挿したままだが、『クマゴロウ』を操作をしてもらう。
俺は、空から攻撃する厄介なハーピーたちの集団に向けて、『天船』から飛び立った。
◇
「なんじゃ!? 今度は、巨大な熊魔物か! しかも三十体以上もいるではないか!」
『ノッカー族』の族長ガガンが、吐き捨てる。
「おお、あれは! ガガンよ、もう大丈夫じゃ」
上空を見上げて、『河童族』の族長ドキアが安堵した雰囲気で、声をかける。
「ええ、そうですね。もう大丈夫だと思います」
守備隊隊長のラッカランも追従する。
それに釣られるようにガガン族長が顔を上げると、そこには高速で飛来する船があった。
「なんと、空飛ぶ船とは……」
「ガガンよ、あれはヤマト様たちの船じゃ。これで心配は無い」
驚くガガン族長に、ドキア族長がそう告げた。
そしてお互いに顔を見合わせ、「もう一踏ん張りするか」という暗黙の気合を入れ、再び戦場に視線を移したのであった。
船は瞬く間に近づくと、急降下して戦場に降りてきた。
そこから次々に、『河童族』の精鋭戦士たちが飛び降りる。
彼らは四方に散らばり、周囲にまだ残っている魔物たちの駆逐に向かった。
そして船から最後に降りてきた女性戦士たちが、迫りくる巨大熊の魔物に対して構えをとった。
それとともに、四体のクマ型ゴーレムとそれに内蔵されている五体の狼ユニットが、先陣を切るように熊魔物に突進していった。
「この数では、連携してのパーティー戦は難しいでしょう。各自で、各個撃破しましょう!」
クラウディアの指示に、それぞれが頷き、散開した。
ラッシュは、『小剣者』と『笹穂剣 トンボ』の二つの切れ味抜群の短剣を手に、果敢に巨大熊魔物に接近戦を挑む。
ただでさえ巨大で手強い熊魔物が、暴走状態で荒れ狂っているが、ラッシュに怯えは一切ない。
『インファイトアタッカー』という独自ポジション名通り、接近して、両腕から繰り出される攻撃を『軌道予測』スキルで避けつつ、懐に入った。
次の瞬間には、危険な両腕を切断していた。
その後は、恐るべき熊魔物も、ただの肉片でしかなかった。
クラウディアは、『魔法銃 火縄魔銃』での狙撃を即座に行った。
『通常モード』で魔力弾を熊魔物に連射し、見事命中させたが、荒れ狂う熊魔物は、それだけでは倒れない。
即座にモード切り替えレバーを操作し『火銃モード』に切り替え、火球を発射する。
二発、三発と命中した火球は、熊魔物を炎上させ、動きを止め炎の塊に変えた。
『マジックガンナー』という特殊ポジション名の面目躍如といった連続攻撃だった。
イリーナは、下級の火魔法『火魔法——火弾』で火の弾丸を打ち出し、熊魔物の動きを牽制し、中級の火魔法『火魔法——火球』を命中させた。
命中した腹の辺りから燃え出している熊魔物に対し、イリーナは思い切って近づき、彼女の特徴的な武器であるハンマー型の杖『ハンマーワンド——氷戦鎚』を叩きつけた。
『アイスロックハンマー』という発動真言と共に繰り出されたハンマーの一撃は、熊魔物の頭をかち割って絶命させた。
魔法攻撃で牽制し弱らせつつ、物理攻撃で止めを刺すという仕留め方は、まさに『マジックアタッカー』の名にふさわしいものであった。
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