120.伝来の武器が修復可能と知り、喜ぶシーア族長
お茶を飲んで、人心地ついたところで、さっき活躍してくれた獅子亜人のレオナさんを労いつつ、改めて魔盾を見せてもらった。
『アナライズ』で、情報を確認する。
『名称』は『魔盾 リアスシールド』、『究極級』階級の武具だった。
階級から考えて、かなり希少なものなのだろう。
盾の表面がデコボコしていて、岩がいくつも飛び出しているような形になっているの。
これなら、攻撃を受けると同時に相手の武器を破壊したり、盾を打ちつけて攻撃することができる。
攻防一体の盾だ。
そして相性が良い者が使えば、盾に秘められた技コマンドが発動できるらしい。
さっき『リアス開眼』という発動真言とともに、激流を放出していたが、それが秘められた技のようだ。
「これは、我らの祖先、古の海洋民族『シークレットマリナー』が、どこかの遺跡で見つけた古代の魔法道具なのです。
『リアス四器』と言って、四つの魔法道具がセットとなっています」
改めて、シーア族長が説明してくれた。
『シークレットマリナー』が作ったのかと思ったが、遺跡で見つけた古代の魔法道具だった。
「あと三つ、あるのですか?」
「あるにはあるのですが……残る三つは、破損していて使えない状態なのです。
我らの技術力では、修理することができず、ただ保存されている状態なのですじゃ」
お、族長の話からすれば、使えないだけで、物自体は現存しているということだ。
それはいい。
俺のスキルで、修復できる!
俺は改めて、シーア族長やここにいる人たちに、俺の『献身』スキルの性能について説明した。
ここには、ラッシュたち俺のパーティーメンバーの仲間たち以外にも、今後の主要メンバーとも言える人たちがいる。
デワサザーン伯爵、モーリス侯爵、ミトノ公爵、フィルミーヌ巫女長などだ。
この人たちにも、俺の『献身』スキルの新たな能力を知られたが、もはやこの人たちは、運命共同体のようなもので信用できるので、問題ないだろう。
「そんなことが可能なのですか? その物の稼働原理などを理解していなくても、修復できてしまうというのですね?」
シーア族長が、驚きの声を上げた。
そして、凄くニヤけている。
こんな顔、初めて見た。
「ヤマト様は、まさに我らの救世主なのですね。
我らには、先祖から伝わるものが、いくつかございます。
破損していて、修理不可能なものも結構あるのです。
それが、ヤマト様なら修復できる!
古の魔法道具や武器が復活するということになります!」
族長が声を弾ませる。
目も爛々と輝いている。
相当嬉しいようだ。
「多分大体のものは、修復できると思いますが、主要な部分がしっかり残っていないと、機能までは回復できない可能性もあります」
俺は期待を裏切らないように、懸念事項も伝えた。
前に、『大剣者』と意見交換をしたときに、なんでもかんでも修復できるかは、分からないという結論に至っていた。
その物の主要な部分が残っていなければ、完全修復ができない可能性があるのだ。
特に特別な機能のあるような物の場合には、その傾向が強くなる可能性がある。
『聖槍 カントウローム槍』は、手に入ったのが主要残骸だったから、修復できた可能性が高い。
これが末端の破片のような残骸だった場合、修理できたかどうかは不明なのだ。
『大剣者』の予想では、頑張れば何とか形だけは修復できる可能性があるが、持っている機能までは修復できないのではないかというのだ。
まぁ実際は、やってみないとわからないわけだが。
俺は、そんな話も伝えた。
これに伴い、『カントール王国』に伝わっていた聖なる武具の一つで、約三百年前に失われたとされている『聖槍 カントウローム槍』を、手に入れた話もした。
また、会話ができる特別な剣『大剣者』についても、簡単に説明した。
初めて聞く人は、みんな驚いていたわけだが、特に、修理不能のアイテムが使えるようになることは、にわかには信じられないといった雰囲気だった。
そこで俺は、論より証拠ということで、魔王ジャスティスとの戦いの時に叩き折った『魔剣 時置』を、『大剣者』の『亜空間収納』から取り出した。
これも、王家に伝わっていた伝家の宝刀の一つのようである。
ただその能力は、時間を一秒ほど止めるもので、あまり使い勝手が良くなくて、ほぼ使われた記録がないようだ。
俺は、聖剣を修復した時のように、折れた部分を合わせて一本に戻そうかとも思ったが、ここで一つの実験をすることにした。
それは、二つに割れた魔剣をそれぞれで修復して、二本にできないかという実験である。
『大剣者』の見解では、魔剣としての機能の中核は、おそらく鍔や柄を含めた手元のところにあるのではないかとの事だ。
だから、その部分からの修復は容易だが、剣先の部分だけからの修復は難しい可能性があるとのことだ。
できるかどうかは、実際やってみないとわからないのである。
ただ魔剣としての機能は、剣全体に及んでいたと考えるならば、修復できる可能性もあるわけだ。
『大剣者』の更なる推論では、魔法AIなど特殊なものが装備されている場合は、そこの部分が残っているパーツの方でないと完全修復はできず、残りのパーツでは形だけは修復になるのではないかとの事である。
この魔剣は、魔法AIは搭載していないようだ。
魔術式が組んであるだけなので、その魔術式が剣全体で及んでいるならば、剣先だけからでも修復できる可能性があるわけだ。
それから、『大剣者』の推論からすれば、魔法AIを搭載しているものでも、魔法AI毎半分になっていれば、二つに増やせる可能性があるとも言える。
例えば、『クマゴロウ』の魔法AIのある位置を特定し、魔法AI毎真っ二つに切断し、それぞれの部分に『献身』スキルを使えば、『クマゴロウ』を増殖させられる可能性があるのだ。
一度試してみたいが、万が一失敗して『クマゴロウ』を修復できなくなると損失が大きい。
魔法AIはかなり貴重なのだ。
それゆえに、今のところ無理に実験するつもりはないのだ。
そういう意味では、この魔剣の別々の修復は、全くリスクは無い。
少なくとも、片方は確実に成功するだろうし、剣先だけの方が失敗したとしても、特に問題はないのだ。
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