115.帝国体制へ、『ヤマト超帝』の始まり
国王と、ヒトツバ公爵家の主要な者たちには、罪を問い、国民の前で謝罪をさせ、命で償わせるということになった。
まぁ当然だろう。
ちなみに国王は、王城内の個室に幽閉中だ。
不正役人も全て摘発し、罰を与えることになった。
これには文官も、武官である兵士も含まれる。
それから、厳密には国の組織ではないが、国と密接な関わりがある組織である『十神教会』についても、調査が入り粛清されることになった。
現時点で判明しているだけでも、ヒトツバ公爵家と密接に繋がっていて、不正蓄財や様々な不法行為があるとのことだ。
これにより、教会の幹部は、ほぼ全て逮捕されるだろう。
まぁこの辺は、テラス様の神託でも、わざわざ触れられていた。
教会自体は存続させるわけだが、フィルミーヌ巫女長が教皇に就任し、抜本的に改革をするということになった。
巫女長も、『神託の巫女』であり、適任だろう。
巫女長は、自分も教会の中枢にいた者として、自身の贖罪という意味でも、本来のあるべき教会の姿に戻したいと言っていた。
これらの摘発や処罰に伴って、その者たちの財産は没収されることになる。
その財産は、今後への備えや今回被災した人たちの救済の為に使うことになった。
王家及びヒトツバ公爵家の財産だけで、かなりの額になるそうだ。
王家に伝わる魔法道具や武具については、全て俺に献上するという話になった。
今度改めて、それらの道具を紹介してくれるとのことだ。
今後の戦いに役立つ武器や魔法道具があるだろうとの事なので、遠慮なく頂戴して、有効に使わせてもらおうと思っている。
あの時を止める魔剣も、王家に伝わっていた秘宝の一つらしい。
ミトノ公爵が言っていたが、今まであまり使われた記録は残っていないそうだ。
聖剣などに比べて、使い勝手が良くない武器という評価だったようだ。
確かに、時が止められると言っても、一秒とかだと使いこなすのは、なかなかに難しいかもしれない。
ただ、達人同士の斬り合いなどでは、決定的に有利だと思うが。
俺的には、聖剣や聖槍よりも、恐ろしい武器だった。
止められる一秒を有効に使いこなせれば、最強の武器になると思う。
もちろん、破壊した魔剣は回収してあるので、後で『献身』スキルで修復して使うつもりだ。
今から楽しみである。
『ヤマダイ国』の体制も、少しだけ整備した。
まず『カントール王国』を従えたことで、『ヤマダイ国』を中心にした帝国を築くこととし、俺は国王ではなく皇帝の地位に就くことになった。
帝国の中心となる『ヤマト魔境台地王国』略称『ヤマダイ国』の名称はそのまま残し、新たに帝国名を作ることになった。
これはクラウディアさんの発案によるもので、『ヤマト超帝国』約して『ヤマト超帝』と呼ぶことになった。
『光の聖者』である俺ヤマトが、様々な常識を超越した国の連なりを作るという意味らしい。
俺の本音から言えば、自分の名前が前面に出るのは、未だに少し抵抗がある。
これもテラス様から与えられた役割だと思うから、何とか自分を納得させられるが。
そして俺としては、名前が大げさすぎるような気がしたのだが、皆、今はまだ始まったばかりの国でも、目指す最終の姿をイメージできる名前がいいということで、大賛成だった。
“名は体を表す”ということなのだろう。
そして肝心の中心国『ヤマダイ国』だが、まず最低限の国の機関を置くことにした。
今までは名ばかりの国で、実態は村程度の人員規模だった。
だから俺が国王という以外、ほとんど何も決まっていなかったに等しい。
まぁ守備隊を組織したり、農作業部隊を組織したりはしたけど。
まぁ人員規模は、今は『河童族』の人たちが入ってくれたので、数百人規模にはなっているが。
そんなこともあるし、帝国となったことで、帝国全体の運営も考える必要がある。
そこで、宰相を置くことにした。
その地位には、クラウディアさんが就任することになった。
まぁ俺の仲間の中で、そんな手腕があるのは、今のところ彼女しかいないのだ。
ただ彼女も若く、本来なら宰相は荷が重いとも言えるが、モーリス侯爵も素養は間違いないと太鼓判を押してくれた。
足りないとしたら経験値くらいだが、実はこれを補ってくれる人材が現れたのである。
それは、ミトノ公爵である。
公爵家を廃するだけには留まらず、『カントール王国』からも去るべきだろうと思っているとの事だった。
そして公爵家一同を、『ヤマダイ国』に移住させてもらえないかとお願いされたのだ。
今日会ったばかりの人だが、その言動などから信用できる人と判断したので、俺は二つ返事で了承した。
そして、移住して、クラウディアさんの宰相としての仕事を陰ながら手助けしてくれると申し出てくれたのだ。
俺としてはありがたい申し出だし、クラウディアさんも、目を輝かせて喜んでいた。
ミトノ公爵に、国の要職をお願いしても良かったのだが、本人にそのつもりは全くないようだった。
なぜならば、クラウディアさんの手助けをすると申し出てくれた時に、あくまで表に立たず、陰ながらアドバイスをしたり協力するということを守ってもらえるならと、条件をつけられたからだ。
影からのサポートに徹するということなのだ。
そして貴族ではなく、あくまで一般の国民として移住するとも言っていた。
どこまでも、潔い人なのである。
なんとなくだが、代々続く王家の腐敗を止められなかったことと、国民を守れなかったことへの公爵なりの贖罪のようなものが、強くあるのだと思う。
ということで、ミトノ公爵家一同の移住が決まった。
ちなみにミトノ公爵家が抱えている全国を行脚して実態を調査する部隊『公爵家隠密』の『隠密道士』たちは、そのまま『ヤマト超帝』の機関として、任務を継続してもらうことにした。
機関の名称は、『隠密道士隊』とした。
宰相の直属の諜報機関という位置づけで、クラウディアさんが指揮をとることになる。
だが、当面はミトノ公爵に指揮してもらわざるを得ないだろう。
ミトノ公爵は、それも好ましくないと思っているようだったが、現時点ではやむを得ないと了承してくれた。
今後、地方の領主に広がるであろう混乱の情報を拾ってもらう。
場合によっては、反乱などの動きもあるかもしれないので、重要な役割である。
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