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美味しい饅頭や白ワイン、ここでしか買えない物は買いまくった。
道中の食材や細々した物は、通販スキルがあるから問題なし。
爺さんたちとの出会いはともかく、ゆっくり過ごせたんじゃないかな。
荷物はアイテムボックスに入れてあるので、武器や最低限の荷物を持てば準備完了。
「忘れものはない?」
「私がチェックしたから大丈夫なのです!」
さすが姫様付きのメイドだ。
サマンサはこういう面では本当に頼りになる。
まあ、忘れ物があっても俺が転移魔法で取りに戻ればいいんだけどね。
(ますた、しゅっぱつ!)
ハクも、定位置の俺の頭上に、
……また少し重くなった気がする。
そろそろ定位置を変えてくれないだろうか。
「ロザリア、頼むな」
「任せとけ!」
行きと同じく、山越えは竜形態のロザリアに乗せてもらう。
そのあとは、またのんびり徒歩移動の予定だ。
急ぐ旅じゃないから、キャンプを楽しみながらゆっくりね。
宿泊料金の精算をして、チェックアウト。
部屋は綺麗で、料理も美味かった。
またラフマー温泉郷に来る機会があれば、この宿に泊まろう。
「おう、兄ちゃんたちか」
門番のドワーフさん。
俺たちのこと覚えてたのか。
「良い宿を教えていただいたので、おかげでゆっくり出来ました」
「また温泉入りに来てくれや」
「はい、どうもありがとうございました」
ラフマー温泉郷、良いところだったなぁ…
また来ような、ハク。
(うん!)
◇◇◇◇
その頃、神界のとある場所では…
「ない、ないわ…」
女神が、顔面蒼白で自分の荷物を引っ掻き回していた。
アイテムボックスの中も、部下に下賜した品も、すべて調べた。
それなのに、探し物は出てこない。
「まさか、失くした…?」
心当たりはないが、原因はそれしかない。
「お父様に知られたら…!」
父である創造神から賜った、神剣ラングシュバイト。
使う機会もないので、アイテムボックスに入れていたはずが…
『我が娘よ』
『はい、御前に』
『そなたに下賜した、神剣ラングシュバイトだが…』
『はい、いかがなさいましたでしょうか?』
『うむ、ある世界で負のエネルギーが増えすぎて浄化の必要があるのだ』
『お父様ならば、問題ないのでは…』
『うむ、だが今回はお前に任せようと思う』
『わ、私ですか…?』
『ラングシュバイトがあれば問題なかろう、準備を整えておけ』
そもそも、いつどこで失くしたのかすら定かではない。
あれほどの剣を失くしたとなれば、怒りを買うのは必至だ。
「可能性としては、やはり地上に落としたのでしょうか…」
ふと、女神の脳裏にある人物がよぎる。
自分のせいで、世界を超えて転生した人間
「そうだわ、あの人間なら…!」
問題は、どうやって連絡を取るか。
残された時間は少ない。
「まずは居場所の特定と…そうだわ、あのスキル…!」
ヨシトの知らないところで、また厄介ごとが増えようとしていた。
読んでくださって、ありがとうございます。
いくつか閑話を挟んで新しい章に入ります。




