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ラフマー温泉郷には、いくつかの温泉宿がある。
そして、その殆どが入浴のみの利用も可能だ。
というわけで、今日は雪兎亭以外の風呂に入ろうと思う。
カリナとランも一緒に、朝風呂だ。
マリーレインさんはまだ寝ていたいということでパス。
ハクも、意外と気の合うらしいロザリアと部屋で留守番。
頼むから、ロザリアにおかしな影響受けないでくれよ…
「あ、ヨシトあそこじゃない?」
宿に置いてあった、"ラフマー温泉マップ"を参考に選んだ露天風呂。
眺めが素晴らしくて、紅葉した山々が眼前に迫ってるんだとか。
「おっきいお風呂は気持ちいいのじゃ!」
「髪洗ってあげるわね、ランちゃん」
「うむ!」
仲が良くて何より。
ランはハクと並んで、すっかりうちのパーティのマスコットだな。
「大人2人と子供1人」
料金を払って、俺は男湯。
ランとカリナは女湯へ。
カリナのおかげで、ゆっくり入れるよ。
「ラン、カリナの言うこと聞くんだぞ」
「わかったのじゃ!」
「大丈夫よ、ランちゃんは良い子だもんね」
「うむ!」
そこへ、通りがかったご婦人たち。
「あらあら、仲の良いご家族ね」
「お若いパパとママだこと」
パパとママって、俺とカリナ?
カリナも言われた意味を理解した瞬間、顔が真っ赤になった。
「じゃ、じゃあまた後で!」
「うわぁ、引っ張らないで欲しいのじゃ〜!」
ランを引き摺るように女湯に入っていくカリナ。
何か照れるな、こういうの。
さて、俺も風呂入るか。
◇◇◇◇
露天風呂にはあまり人がいなくて、ラッキー。
時間帯のせいもあるのかな?
混み合ってなくて良かったよ。
「ふう」
掛け湯をして湯に浸かる。
どれどれ、眺めが良いのは奥の方かな?
「おぉ〜、すごいな!」
露天風呂から手を伸ばせば届く距離に、色づいた木々。
紅に黄色に、見渡す限りの紅葉。
いいねぇ、これぞ露天風呂の醍醐味。
「ランちゃん、待って泡を流してからよ!」
「泳ぐのじゃ〜!」
「ダメよ、ほら待って…待ちなさい!」
カリナとランの声が、壁を挟んで男湯にまで聞こえてくる。
他人のフリ…ごめんカリナ。
あとでアイスでも奢るよ……
ゆっくり景色と湯を堪能して男湯から出ると、2人は先に出ていた。
満面の笑顔のランと、グッタリした様子のカリナ。
「楽しかったのじゃ♪」
「カリナ、何かごめん…」
「いいのよ……」
「よ、よし!アイスでも食べて帰るか!」
近くにあった甘味屋で、ミルク味のソフトクリームを注文。
うん、濃厚で美味しい。
「ほら、ちゃんと口の周り拭けよ」
「うむ」
ああもう、どうやって食べたらそんなに汚せるんだ。
口の周りがベッタベタじゃないか。
アイテムボックスから、ランのミニタオルを取り出して拭ってやる。
「ヨシトって、本当に面倒見がいいよね」
え、そうかな?
「ハク様やランちゃんはもちろん、押しかけてきた私や先生まで面倒を見てくれて」
「まぁ、仲間だしね」
「…私ね、ヨシトに謝りたかったの」
謝る?
カリナに謝ってもらう覚えはないけど。
「ハク様の事よ…私、出会い頭に怒鳴りつけちゃったでしょう?」
「何だそんな事か、もう気にしてないよ」
あれは、全面的に女神様のせいだから。
「でも、ちゃんと謝りたかったの」
淡いピンクと紫のオッドアイが、思いつめたようにこっちを見てる。
ずっと気にしてたのかな、カリナは真面目な所があるから。
「許すよ、俺は気にしてない」
「ありがとう、ヨシト…」
思わず、ドキッとした。
涙で少し潤んだ瞳、心から嬉しそうな笑顔。
可愛い、よなぁ…やっぱり。
「少し、散歩して帰ろうか」
「うん!」
(青春ですね、マスター)
17歳、青春して何が悪い!
(中身は三十路のはずですが)
……ほっといてくれ。
「ソフトクリームおかわりなのじゃ!」
あ〜、ハイハイ。
すいません、ソフトクリームもう1つ下さい。
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