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通販スキルで、楽しい異世界生活  作者: 黒蜜きなこ
第4章 温泉郷の賢者様
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閑話:ベネフィアット・ゾールディー



儂の名は、ベネフィアット・ゾールディー。

キーリス魔王国の元宰相である。

王国広しと言えど、我が名を知らぬ者などおらぬ。


魔族は長命だ。

保有する魔力によって、その年齢は決まる。

何と、儂は8200才だ!はっはっは!


「代替わり、ですか」

「うむ…王国の新たな時代を、新たな世代で作りたいのだ」


今代の魔王様から、直々に隠居するよう打診を受けた。

要するに、肩叩き。厄介払いである。

若き王にとって、儂のような古株は目障りなのだろう。

王がまだ幼い頃より、教育係としてお支えしてきたのだが……


ふん!!!


そっちがその気なら、もう知らん。

勝手にするがいい、薄情者めが!

数十年前に妻を亡くして以来、儂は独り身。子もおらん。

幸い身軽であるから、好きにさせてもらおう。


行き先に選んだのは、人間や亜人の暮らす大陸。

魔族だと受け入れてはもらえんだろうと、人族に偽装。

名も、ベン・ゾールディーに変更。

ゾールディーという名は、さほど珍しいものではない。

目立つことはないだろう。

見た目は…年寄り過ぎても何なので、壮年くらいにしておく。

いや、年寄りの方が警戒されにくいか?

じゃあ、八十くらいにしておこう。

儂は戦闘より、知識で身を立ててきた。

魔王国の賢者と呼ばれた儂の知識は、きっと役に立つだろう。




◇◇◇◇




居着いたのは、ラフマー温泉郷。

小さな一軒家を借りて、従魔のトッケイと住んでおる。

毎日のんびりと湯に浸かり、仕事に追われることもない。

ああ、極楽だわい。


(主、だらけすぎじゃねぇのか?)


ふん、口喧しい従魔め。

人族の姿でいる時は、使えるスキルなどにも制限がかかっている。

魔族の姿でなければ使えないスキルがあるためだ。

人族の姿で使えるのは、錬金術と透視。

錬金術は、道具を揃えるのが面倒で使っとらん。

だが、透視スキルは良い!



「あら、ベンさんこんにちは」

「やあレーヌさん、後で風呂に入りに行きますよ」

「お待ちしております」


むほ〜〜〜!

爽やかな若草色のワンピースの下には、ナイスバデーな裸体が!!

お、あちらのご婦人はスレンダーで違った美しさがあるわい。

美しいものを愛でるのは堪らんわのう。

この温泉郷に来てから覚えた、密かな楽しみ。


(主、それって犯罪じゃねぇの?)


何を言うか、美しいものは皆で愛でるもの!

美しいご婦人は、存在そのものが芸術なのだ!


(またおかしな理屈を…主ってこういう性格だったっけ…)


日々のささやかな楽しみなのだ、ほっといてくれ。



「さ〜て、今日も芸術鑑賞するかな」


お、あちらからレーヌさんが!

どれどれ……


「ウギャアアア!!……ウォエェェェ………」


な、何だ今のおぞましい幻影は…

ミラージュの魔法か?

こしゃくな…ふむ、この魔力だな……

よし、トッケイよ!この魔力を辿っていくんじゃ!

そして、どんな奴か調べてこい!

誰か知らんが、この借りは返させてもらうぞ。

うっ、思い出したらまた吐き気が……オォエェェ〜……


読んでくださって、ありがとうございます。

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