07
湯上りには、よく冷えたジュース。
アイテムボックスに入れておいた、100%オレンジジュースが美味い。
「し、死ぬかと思った…」
ゼーハーと息を切らせながら、身体を起こす爺さん。
「何者だ、お主…この儂が手も足も出ないとは…」
ただの温泉客ですけど、何か?
それより、ちょっと質問があるんだけど答えてくれるか?
「だ、誰がお前なんかの…!」
「グラヴィ…「すいません!何でも聞いて下さい!」
いや、土下座しなくても。
え?もうグラヴィティは嫌だ?
泣きながら言われても困るんだけど…
とにかく、質問に答えてくれればいいから。
「爺さん、スキル使って覗きしてるよな?」
「うっ……いや、その…ほら、うむむ」
即答できない時点でアウト。
「だからと言って、あんな酷いものを見せる事はなかろう!」
自業自得です。
逆恨みで宿まで乗り込んでくるとか、恥ずかしくないのか。
どうせ、トッケイに普通の温泉客だって聞いたから仕返しに来たんだろ?
「ううう、うるさ〜い!」
「ちっとは反省しろよ、このスケベじじい!」
「年寄りのささやかな楽しみじゃろう!美しいものを愛でて何が悪い!!」
「開き直るな!!」
反省の色なし……あ、そうだ。
ベイラーシュの町で、魔道具作りの材料にと買ってたシルバーのブレスレット。
「エンチャント・ミラージュ」
発動条件は、透視の発動。
ミラージュの魔法で、マッチョなオネエのセクシーヌードが見えるように。
解除出来るのは俺だけって事で…
「小僧、何やっておる?」
「うん、ちょっと…爺さん、右手」
「儂の右手がどうかしたのか?」
はい、装着。
目一杯魔力を込めて…
これで、俺と同等に魔力のある奴にしか外せなくなった。
デザインも細身でシンプルだし、日常生活の邪魔にはならないだりう。
(マスターは甘すぎます、衛兵に突き出しましょう)
まぁまぁ、サッちゃん落ち着いて。
「何だこれは……む、むむ?!」
「外れないよ、それ」
「ほ?」
「爺さんが透視を発動させると、マッチョなヌードが見えるぞ」
まあ、日常生活に不便はないし?
衛兵に突き出されるよりマシだろうから、我慢するんだな。
………おい、爺さん?聞いてるのか??
「あ、ショックで気絶してる」
面倒くさい爺さんだ………
◇◇◇◇
気を取り直して、爺さんに魔族である事について質問。
「儂は、キーリス魔王国でそれなりの地位におったのだ」
へえ…そのお偉いさんが何で、こんなところで覗きなんてしてるんだ?
「権力争いに疲れたのだ…」
足の引っ張りあい、派閥の対立。
想像するだけでうんざりだ。
爺さんの気持ちは分からなくもない。
「まさか、こっちの大陸にいるとは誰も思わんだろうからな!」
ふうん、そんなものか。
最後に、本来の姿を見せて欲しいとお願い。
「これでいいか?」
青い肌に、銀髪。
頭上には角。
これが魔族か…鑑定。
名前:ベネフィアット・ゾールディー
年齢:8200
種族:魔族
8200才?!
いや、それより称号が!
称号:キーリス魔王国元宰相
元宰相?
思ったより大物だった…
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