09
「イヤじゃ!」
「そう言われても…」
ラングシュバイトを説得中なう。
人目につかないよう、宿屋に戻ってきたまでは良かったんだ。
ともかく、俺はもう寝るから剣に戻ってくれって言ったら…
「イヤじゃ、このままがいいのじゃ!」
どうやら、人化したままでいたいらしい。
俺としては、剣に戻ってもらってアイテムボックスに…と思ってたんだけど。
「ずっと、剣のままでひとりぼっちだったのじゃ…」
「ラングシュバイト」
「主やハクと、一緒がいい…」
小さな子に涙目でこんなこと言われたら、断れないよなぁ…
皆に何て説明しよう……
ああもう、どうにでもなあれ。
「…じゃあ、お前の名前は今日からランだ」
「ラン?」
「ラングシュバイトのラン、覚えやすいだろう?」
「うむ!妾の名は今日からランじゃ!」
(ランちゃ、いっしょ♪)
サッちゃん、明日皆に何て説明したらいい?
(………頑張って下さい)
サッちゃん、君は俺のお助け機能だよね?!
お願い、一緒に言い訳考えて!
◇◇◇◇
「……というわけで、ランちゃんです」
「宜しくなのじゃ!」
ピシッと元気よく片手を挙げてご挨拶。
はいはい、上手にご挨拶出来て偉かったよ。
ドヤ顔しないの。え、飴?ほら、あーん。
「つ、つまりこの子はインテリジェンス・ウエポンなのかい?」
硬直する面々。
いち早く正気に戻ったのは、やはりと言うかマリーレインさんだった。
「ええ、そうみたいです」
昨夜、サッちゃんと考えた言い訳はこうだ。
ラングシュバイトは、遥か昔女神の祝福を受けた剣である。
不測の事態が起こり、海の底へ沈んでいた。
長い年月の末意識を持つようになり、人化スキルもゲット。
ただ、人化したものの剣に戻れなくなった。
しばらくこの姿で同行する。
いや〜、神剣ですなんて言えないしね!
ちょっと苦しいが、これで通すしかない。
信じてもらうため、例の翼が生えた姿にもなって見せた。
さあ、ランちゃんのダメ押しどうぞ!
「……妾、邪魔かのう?」
「邪魔なんかじゃないわ!ランちゃん、大丈夫よ」
さすがカリナ、小さな子に優しい。
「身の回りの事は、このサマンサにお任せなのです!」
「一緒にお洋服も買いに行きましょうね」
ロザリアは…
「よろしくな!お菓子食うか?」
「食べるのじゃ!」
うん、問題なさそうだ。
精神年齢近そうだしね、この2人。
仲良くクッキーを食べる暗黒邪竜と神剣…カオスだ。
「ランちゃんか…」
「マリーレインさん?」
「いや…似たような名前の剣を、古い書籍で読んだことがあると思ってね」
イヤな予感。
「神剣ラングシュバイト…創世の女神が携えているという伝説の剣さ」
「そ、そうなんですか…初耳です」
物知りっすね…さすがマリーレインさん。
全力でシラを切りますが。
「まあ、そういう事にしておこう…ふふ、実に興味深い」
「あはは…」
「本当に、君を追いかけてきて良かったよ」
(マスター、そろそろギルドへ行く時間では?)
そうだった。
ポイズン・クラーケンの買い取りやら、色々やる事があるんだった。
ほら、皆でギルドに行くぞ〜
読んでくださって、ありがとうございます。




