閑話:ラングシュバイト
妾は神剣ラングシュバイト。
創造神様が創り上げた、至高の剣。
それが妾なのじゃ。
創造神様の愛し子、女神様が妾の主。
妾は女神様の元で、平穏な日々を送るはずだった。
あの日、女神様が妾を地上に落とすまではの。
しかも、妾を落っことした事に気づいてさえおらんかったのじゃ。
(きっと、女神様が迎えに来てくれるのじゃ)
落とされたのは、海の底。
妾は女神様に必死に呼びかけたのじゃ。
気づいてもらえんかったがの…
待てど暮らせど、女神様は妾を失くした事に気付かぬ。
ええい、このポンコツ女神め!
妾は創造神様から賜った神剣ぞ!
こうなったら作戦変更なのじゃ。
待つだけでは埒があかぬわ!
妾は、自分で女神様の元へ戻ってみせるのじゃ。
神剣ラングシュバイトに不可能などない!
(強き力を持つものよ、ここに来たれ!)
……いや、お主魚じゃろ?
剣を装備出来ぬであろう?
気持ちだけ受け取っておくのじゃ。
ううう、何故じゃ…
魚類に用はない!
せめて、人魚族はおらぬのか!!
海の底になど落とされたばかりに…
これも全て、あの女神が悪いのじゃ。
そうじゃ、全部女神のせいなのじゃ!
女神が憎い、
女神が作ったこの世界も憎い、
何より、女神なんぞに妾を下賜した創造神が憎い
何が神剣じゃ!
もう神など知らぬ!
よし、妾は今日から魔剣になるのじゃ。
魔剣らしく、悪いことをしてみるかのう?
手始めにそこのクラーケン、ちょっと暴れてくるのじゃ!
え?クラーケンじゃなくて、ポイズン・クラーケン?
えーっと、ごめんなさいなのじゃ。
ポイズン・クラーケンが帰って来ぬ。
妾はもう、ずっとひとりぼっちなのかも知れぬのじゃ…
この暗い海底で、女神にも気付かれぬまま。
(……寂しいのう)
こうなったら自爆でもしようかと思い始めた頃。
懐かしい魔力を感じたのじゃ。
これは、女神の魔力…いや、少し違うようじゃの?
そうか、女神の遣いが妾を迎えに来てくれたのじゃ…!
もうひとりぼっちはイヤじゃ!!
「呪いを解いてやるよ、ディスペル!」
頭に聖獣を乗っけた、女神の加護を持つ人間。
そなたが妾を浄化してくれたのか…
…よし、決めたのじゃ。
今日から妾の持ち主はそなたじゃ!
もう、女神などどうでも良いわ!!
「妾はラングシュバイト!そなたは恩人なのじゃ!」
「お、おう…」
「女神様はいくら呼んでも気付かぬし、寂しかったのじゃ〜」
うえぇぇぇ〜〜〜んっ!!
えぐえぐ、…え?鼻をかめ?…ちーん。
わぁい、飴もらったのじゃ♪
(ぼく、ハク!)
聖獣の子か、愛いのう。
聖獣を従えてるということは、女神の眷属かのう?
違う?……どうやら、妾と同じくあの女神の被害者であるらしい。
うむ、お主とは仲良く出来そうなのじゃ。
妾は神剣ラングシュバイト。
けれど、もう女神も創造神もどうでも良い。
新たな主は、童をひとりぼっちにせぬと約束してくれたからのう。
ヨシト、いつの日か一緒に女神をぶっ飛ばすのじゃ!
読んでくださって、ありがとうございます。




