06
結局、ユウノさんはこの騒ぎの後始末があるとかで、港に居残り。
こっちも日を改める事にして、解散することになった。
「おい、そのクラーケンはどうするんだ?」
「そうですね、解体してもらいたいんですが…」
「買い取らせてくれよ、それだけ状態が良けりゃ高値で売れる」
何でも、全身余すところなく素材として利用できるらしい。
毒袋なんて、貴族や王族に大人気なんだそうだ。
さすがギルドマスター、しっかりしてらっしゃる。
サッちゃん、どう思う?
(身の一部と魔石のみ戻してもらい、残りは売却しましょう)
魔石か、たしか魔力の結晶だっけ?
この世界の万能エネルギー源。
確かに、手元に置いといて損はなさそうだな。
「ユウノさん、身の一部と魔石を戻してくれれば、残りは売りますよ」
「よっしゃ!詳しい事は明日な!」
(ますた、おわり?)
「ああ、もう用事は終わったぞ〜」
思いがけず時間が余ったな…どうしようか。
皆で後片付けを手伝おうとしたんだけど、ユウノさんから『クラーケンを倒してくれた上に、後片付けの手伝いまでさせられるか!』って断られたよ。
ガシッ!
「え?」
背後からもの凄い力で俺の両肩を掴むのは、
「ま、マリーレインさん…?」
「……ふっふっふ…遺失魔法に合成魔法、君には聞きたい事が山程あるよ!ヨシト!」
ダメだこの人、目が完全に逝っちゃってる?!
近い近い、抱きつかないで下さい!
「さあ、全部話してもらうよ!君の使える魔法について全部!!さあ今すぐ話し…っ」
ドゴン!
鈍い音とともに地面に倒れ伏すマリーレインさん。
「まったく、先生はすぐ暴走するのです」
ありがとう、サマンサ。
ところで、その手に持ってるフライパンはどこから持ってきた?
え?そこの金物屋から??今すぐ返してきなさい!
◇◇◇◇
宿に戻って、サマンサの淹れてくれた紅茶を飲みつつひと休み。
「いやぁ、取り乱してすまなかったね」
正気に戻ってくれて何よりです、マリーレインさん。
とりあえず、『俺の事はそのうち話すので、今は聞かないでほしい』と皆には納得してもらった。
「折を見て説明するよ」
「楽しみに待ってるよ、それにしても…外洋で何かあったのかも知れない」
「さっきのポイズン・クラーケンですか?」
ポイズン・クラーケンは通常、深海に生息しているらしい。
それが何で港なんかに入り込んだんだろう。
念のため海にも探索魔法かけてみるか、探索の範囲を広げて…
グギュウ…
(ますた、ごはん!)
「今のはハクのお腹が鳴ったのか、よしよし、昼飯にしような」
(ごは〜ん♪)
ハク優先。
調べるのは、後でいいや。
読んでくださって、ありがとうございます。




