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港町ベイラーシュに到着!
フリントの町から、徒歩でおよそ3日。
空を飛べばすぐ着いたんだろうけど、急ぐ旅でもないしね。
「通ってよし」
いや〜、やっぱり身分証があると便利だね。
強面の門番さんにギルドカードを見せたら、すんなり通してもらえたよ。
まずは預かった手紙を届けて、宿探しだな。
風呂付きで飯の美味い、ハクと一緒に泊まれる宿。
金に糸目はつけないぜ!
(ますた、おさかな!)
「後で食べさせてやるからな」
ベイラーシュの冒険者ギルドは、大通り沿いの分かりやすい場所にあった。
キョロキョロと落ち着かない様子のハクを抱っこしたまま中へ入る。
お、ここでも受け付けはエルフのお姉さん!
「あの、すいません」
「はい?」
「フリントのギルドマスターから、手紙を預かって来ました」
「拝見出来ますか?…少々お待ちください」
待つ事しばらく。
さっきのエルフのお姉さんがギルドマスターの部屋に案内してくれた。
「おう、お前がヨシトか!」
「はい、えーと…」
「アタシはユウノ、ここのギルドマスターだ」
出迎えてくれたのは、長い緋色の髪をポニーテールにした女性。
日に焼けた肌に、笑うと白い歯が覗く。
マリーレインさんが知的な感じの美人なら、こっちは男勝りな美人って感じだ。
思わず『姐御』と呼びたくなるタイプ。
「適当に座ってくれ」
何とも殺風景な部屋だな。
家具はデスクとソファセットのみ。
手紙も渡したし、出来れば早いとこ宿を探しに行きたいんだけど…
「マリーレインからの手紙にお前の事が書いてあったんだけどさ」
「はあ…」
何て書かれてたんだろう。
「マリーレインに試合で勝ったって本当かよ、強いのなお前」
「いえいえ、たまたまですよ」
「なぁ、アタシとも試合しようぜ!いいだろ?」
あ…この人、拳でお話するタイプだ。
どうしよう、面倒くさいから断りたい。
「すいません、ベイラーシュに着いたばかりで疲れてて…」
「じゃあ日を改めようぜ!いつならいい?」
そんなワクワクした目で見ないでください。
誰か、この人を嗜める人はいないのか。
結局押しに負けて、試合の約束をさせられたよ…
何でも明日は都合が悪いそうで、明後日に。
どうせ美人と親交を深めるのなら、戦闘じゃなくお茶でもご一緒したいんだけどね。
「約束だぞ、忘れるなよ!」
念押しされながらもようやく解放されて、ギルドを後にした。
さあ、気をとり直して宿探しだ!
◇◇◇◇
「あのマリーレインがねぇ…」
ヨシトが帰った後。
ユウノはマリーレインからの手紙読み返していた。
ユウノへ
この手紙を届けてくれた少年を、数日でいいから引き留めておいて欲しい。
私はギルドマスターの職を辞めるつもりだ。
そして、出来れば彼とパーティを組みたいと思っている。
言っておくが、彼の実力は私以上だよ。
何せこの私が、ろくな攻撃も出来ないまま試合に負けたんだからね。
準備ができ次第、彼の後を追いかける。
なので、くれぐれもよろしく。
このことはヨシトには内密に頼むよ。
旧友の頼みだ、喜んで協力しよう。
ユウノの唇が弧を描く。
「炎舞のマリーレインを負かした男ね…ふん、面白いじゃねぇか」
骨のある相手がいなくて、体が鈍っていたところなのだ。
少しくらい遊んでもバチは当たるまい。
そう考えながら、ユウノは先ほど会ったヨシト思い浮かべる。
「久々に楽しめそうだ」
読んでくださって、ありがとうございます。




