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すっかり通い慣れた、ギルドマスターの部屋。
今日の紅茶は紫と黒のグラデーションだ。
見た目に反して、まろやかで美味しい。
カリナがギルドマスターに報告してるのを聞きながら、俺は紅茶を堪能。
ちなみに、ワープとかフライとか、ギルドマスターにものすごく質問された。
答える気はありませんって事で、笑って誤魔化しといた。すまんね。
「はぁ…まあ、君だしね」
うん?どういう意味でしょう。
「これもヨシトや先生のおかげです」
「王位継承者としての面子も保てるし、良かったね」
俺とハクもひと安心だ。
ロザリアは混乱を避けるため、人化したまま。
出された紅茶に砂糖を次々入れていく。
………角砂糖6つ目だよな?それ。あ、7つ目…
「へえ、人化出来るんだ」
「うん、とーちゃんから教わった!」
帝国にいるっていう父親か。
「君はまだ独り立ちには早くないかい?」
「そんなことないぞ!もう大人だ!」
そんな激甘紅茶飲みながら言われても。
ふむ…父親が帝国にいるということは、ロザリアも元々は帝国にいたのかな?
「私たちは明日この町を発つわ」
「うん、早いほうがいいだろう」
俺もそろそろ次の町に行こうかな?
ハクとのんびり旅をしながら、自由気ままに過ごしたい。
せっかくの異世界なんだ、色々見て回りたいじゃないか。
「じゃあ、俺たちの臨時パーティはこれで無事に解散だな」
「本当にありがとう、ヨシト」
「少しは認めてやるのです!」
「はは、そりゃどうも」
それじゃあ宿でゆっくり休むかな。
ハクは俺の頭上で器用に寝こけている。
ヨダレたらすなよ?
◇◇◇◇
翌朝、門までカリナたちをお見送り。
餞別代わりに、ビスケットやキャンディーをプレゼント。
昨夜寝る前に、通販スキルで購入しといたんだ。
甘党の竜は大喜びなようで、何より。
「一気に食うなよ、サマンサに預けとくから」
「わかった!」
カリナはハクを抱っこして、名残惜しそうにしている。
やっぱり、聖獣への思いは特別なんだろう。
「ヨシトとハク様、いつフリントを発つの?」
「明日か明後日には発つよ」
カリナたちは、ドラゴン形態のロザリア乗って国へ帰るらしい。
ドラゴンに乗って凱旋する姫君。
きっと、国中が熱狂的に迎えてくれるだろうな。
「そっか…また会えるといいね、獣王国にも遊びに来て」
「うん、そのうちな」
「きっとよ」
差し出された手を握り返す。
いつかまた、会えることを願って。
出会いがあれば別れは付き物だ。
立ち去り難く、飛び立った姿が見えなくなるまで見送った。
「さ、俺たちも旅の用意しないとな」
(ますた♪)
◇◇◇◇
そして、翌々日の朝。フリントを離れる日。
町の門へ向かえば、何故かギルドマスターの姿があった。
「ギルドマスター、わざわざ見送りなんて良かったのに」
「ふふん、ただ見送りに来たわけじゃないよ」
そう言って差し出された一通の手紙。
「君たち、港町のベイラーシュに行くんだろう?」
「ええ、そこから王都に足を伸ばそうかと」
「これをベイラーシュのギルドマスターに届けてくれないか?」
まあ、それぐらいならいいけど。
「君は実に興味深い、今度会ったらじっくり話を聞かせてほしいね」
「あはは…」
「道中気をつけて。それと…」
ふわり、鼻腔を擽る甘い香り。
頬に触れたのは、もしかして唇?
そのまま、少しハスキーな声で耳元に囁かれる。
「私の事はマリーレイン…って、名前で呼んで?」
今、息吹きかけたよね?!
刺激が強すぎます、ギルドマスター!
…じゃなくて、マリーレインさん!
「またね〜」
ヒラヒラと手を振るマリーレインさんに見送られながら、ドッと疲れが。
でも、これでフリントの町ともお別れか。
冒険者登録、カリナたちとの出会い、ドラゴンとの出会い…
思えば、トラブルにばかり見舞われた町だった。
「さあハク、次は海で美味しいお魚食べような」
(おさかな!)
ま、のんびり行こうや。
読んでくださって、ありがとうございます。
これでこの章は終わりです。
閑話を挟んで次章スタートします。




