09
(ますた!)
「ハク、お待たせ」
それにしても…
グギャアアアアアア!!
「話を聞いて!」
「カリナ避けるのです!」
戻ってみれば、何故かドラゴン形態に戻っている少女とカリナたちが戦闘中。
「ハク、何があった?」
(わかんない!)
とりあえず、双方に話を聞くか。
まずは戦闘を止めないと…
とは言え、カリナたちは防戦一方で攻撃していない。
止めるならドラゴンだな。
大きさは、3メートルってとこか?
漆黒の鱗に覆われた巨体に、ちょっと感動。
すげぇ、本物のドラゴンだ…
「ホーリープリズン」
光魔法の応用。
でっかい鳥籠をイメージして、光魔法の檻に閉じ込めてみた。
これなら怪我させることもないし。
カリナたちから話を聞くまで入っててくれ、すまん。
「ヨシト、ありがと…」
「カリナ、何があった?」
暴れてるドラゴンが光魔法の檻から出られない事を確認。
カリナは安心して話し始めた。
「実は…」
『食後のお茶はいかがですか?』
『お茶?飲む!』
『少し苦いんだけど…』
『苦ぁぁいい〜〜〜!!』
グギャアアアアアア…!
あ、アホらし…
(ドラゴンさん、にがーいって?)
「ああ、そうらしい」
ワシワシとハクの頭を撫でながら、どうしたものかと考える。
「甘党のドラゴンか…」
「そうらしいわ…契約したい相手を攻撃するわけにはいかないし…」
しょうがない。
コーヒー用にと買っておいたグラニュー糖があったはず。
「サマンサ、お湯沸かしてくれ」
「はいなのです!」
カップ一杯のお湯に、溶け残るほど多めにグラニュー糖を入れる。
あとは、
「フライ」
ドラゴンの顔の前まで飛んでいき、念話を試みる。
『甘いのやるから、人型に戻れ』
『にがぁぁぁぁいいいいい〜〜〜!!…あ、甘い?』
『おう、早くしないとドラゴンスレイヤー目的の冒険者が寄ってくるぞ』
ピカっと光ったかと思うと、見る見る小さくなる身体。
「早く!甘いの!!!」
「………はぁ、ほら飲め」
そういやこいつ、幼体…お子様なんだっけ…
「あまぁぁい!おかわり!」
落ち着いたかな?
じゃあホーリープリズン解除っと。
「おかわり欲しいか?」
「うん!」
「じゃあさ、カリナと契約してやってくれよ」
「契約?」
「うん、そしたら、もっと甘くて美味しい物を食わせてやるぞ?」
うーんと考え込む姿に、カリナが恐る恐る声をかける。
「さ、さっきはごめんなさい…苦いのが嫌いって知らなかったの」
「甘いのくれる?」
「ええ、それに契約してもらえたら国全体であなたを大切にするわ」
神様レベルで崇められそうだな。
「じゃあいいぞ!契約してやる!」
「本当?!」
「甘いのおかわり!」
ほい、どうぞ。
「サマンサ、やったわ!」
「これでカリナはドラゴンテイマーなのです!!」
まあ、これで一件落着かな。
そういえば…
「なぁ、お前親は?」
「かーちゃんはいないけど、とーちゃんが帝国ってとこにいるぞ!」
帝国?
気のせいかな、面倒なフラグが立った気が…
いやいや、気にするまい。
「あたしはロザリア、立派な暗黒邪竜になるんだ!」
「私はカリナ、カリーナ・ダーワット・レンブラントよ」
カリナの右手の甲に浮かび上がる、小さな魔法陣。
鑑定。へえ、あれがドラゴンとの契約紋か。
そういや俺にはないけど…ないよね?
まさか、尻とかみえないところに浮かび上がってたりしないよね?
…あとで確認してみよう。
「じゃあ、早く街に帰りましょう!」
「あ、ちょい待ち」
出しっぱなしだったテーブルとかを片付けて、皆を俺の近くに集める。
一度使ってみたかったんだよ、この魔法。
「ワープ」
一瞬目の前景色がブレたかと思ったら、次の瞬間にはフリントの町の入り口に。
便利なもんだな、今後も活用させてもらおう。
「よし、じゃあギルドマスターに…おい、どうした?」
ぽかーんと立ち尽くす3人。
「嘘…ワープって、転移魔法?…遺失魔法だったはず…」
「それを言うならフライもなのです…」
遺失魔法?何だそれ??
「ほら、早く報告しようぜ」
「えっ?あ…うん、そうね…」
「きっと気にしたら負けなのですよ、カリナ」
「そうね…何だかドッと疲れたわ…」
失礼な。
ともかく、これでカリナも大手を振って国に帰れるだろう。
良かった良かった。
読んでくださって、ありがとうございます。
次話で第2章完結です。
そのあとは閑話を挟んで、次章に入ります。




