第六章 誤解と告白
翌朝、私は瑠璃子の部屋をノックした。
「お嬢様、お話があります」
「翔太郎?どうぞ、入って」
部屋に入ると、瑠璃子は読書をしていた。彼女は本を閉じて私の方を向いた。
「最近の翔太郎、なんだか変よ?私のために色々してくれるけど、なぜか素直じゃないし……」
「それについてお話ししたくて」
私は深呼吸をして、翔太郎ではない自分の気持ちを伝えようとした。
「お嬢様、僕は……」
しかし、その時ドアが開いて咲良が入ってきた。
「失礼いたします。お茶をお持ちしました」
そして、私たちの様子を見て立ち止まった。
「あら、お邪魔でしたか?」
「いえ、そんなことは……」瑠璃子が慌てて答える。
私は迷った。このまま話を続けるべきか、それとも……
「お嬢様」私は意を決して続けた。「僕がお嬢様にしてきたことは、全て僕の独りよがりでした」
「そんな……」
「僕は、お嬢様を輝かせたいと思っていました。でも、それは本当はお嬢様のためじゃなくて、僕自身のためだったんです」
瑠璃子も咲良も、困惑した表情を見せた。
「翔太郎さん……」咲良が小さく呟いた。
「お嬢様、僕は執事として未熟です。でも、一つだけ確かなことがあります」
「何……?」
「お嬢様は、もう十分に輝いています。誰かに変えられる必要なんてない」
瑠璃子の目が潤んだ。
「翔太郎……」
「そして……」私は咲良の方を向いた。「咲良さんも同じです。完璧を演じ続ける必要なんてない。お嬢様は、ありのままの咲良さんを大切に思ってるはずです」
咲良の顔が赤くなった。
「私は……私は……」
瑠璃子が立ち上がって、咲良の手を取った。
「咲良、翔太郎の言う通りよ。私は貴女がいつも完璧でいなければならないなんて思ってない。貴女の優しさや努力を見ていたから、信頼してたの」
「お嬢様……」
その時、部屋に暖かい空気が流れた。三人とも、それぞれの仮面を脱ぎ始めたのだ。




