1BE さらば甘くやさしき日々よ 5
私は手に丸環杭を【現出】させると、それをハラキリのように自分に突き刺す。そして長く伸ばした鉄杭は後ろにいる隼をも同時に貫いた!
「がっ! まだそんな抵抗を……無駄だというのが」さてそれはどうかな?
私はその杭を通して雷勁を内蔵に直接ぶち込んでやる。存分に味わえよ。祝子の特別製だから白木の杭並みに効くだろう? ああ吸血鬼じゃなかったか。まあ似たようなもんだろう。
隼が猿吠から手を離して苦鳴をあげながら地面をのたうち回る。みっともない姿だな。鍛えた体を乗っ取っても中身は武人じゃないからな。
杭と同時に刺された猿吠を引き抜く。今度はこっちの番だ。
「やめろ、来るんじゃ……な、何だ? 体が……どうなって……那由多のしわざか!」
後ずさる隼の動きが止まる。寝起きのように首を振り、呆けた後に私を見る。
「……れ、い……零」「くそっ、今は出てくるな!」伸ばそうとする右手を左手が押さえつける。
これを見越していたかは知らないが、那由多の餞別がいいタイミングで仕事をしてくれたようだな。もう少し我慢してくれ。すまんがちょっとチクッとするぞ。
私は手にした猿吠の切っ先を隼の腹に刺した。
「な、何を……ぐああああ! そ、そんな」
ギルバートの意識が、猿吠を通じて私の中に流れ込んでくる。隼の中に居場所が無くなればそうなる道理だ。一緒にヘドロを思わせるような澱まで。残滓とはいえ神のものとは到底思えない汚物だな。やはり始末するしかないか……
まあそういうわけだ。ちょっとゴミ捨てに行ってくるわ。どこへ? 地球の外かな。




