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1B5 ぎゃんぶらぁ放浪記 9

 そして後半戦。今のところ点数は566対478、薫子しおりとは88点差だ。そしてここからが本当の読み合い、言わば足を止めての殴り合いだ。「A」で親の絵札を狙い撃ちにしてなおかつ直撃を狙っていく。


     × × ○   15     24 ○ 21   3    計63点

薫(親) Q A 2 3 10 5 9 J 4 K 7 8 6


時(子) A Q 2 10 5 9 J 3 4 6 K 7 8

     × × 20 7   4 2   40   5   2  計80点


 この『13(サーティーン)』でおれは絵札から切るパターンを多く見せていた。初手に「A」を持って来たのはそれに合わせ打ちしようとする薫子しおりの読みを逆手に取ったトラップだ。これでおれが絵札を1枚得したことになる。

 そしておれがマネ碁作戦に出るのを読んで「A」を切った。ここまではいいがその後がまずかった。次の「2」をおれに読まれて直撃を受けた。

 

 おれがそれを読めたのは薫子しおりがそういう「流れ」を作っていたからだ。ランダムな配置を適当・・に作ろうとするとき、そこには逆に作為が生まれる。選択問題を作るときに正解を全部を(ア)にするなんてセンセイはいないように。

 あるいはそのせいで人知の及ばないものに法則性を見いだそうとしたりする。競馬で本命続いたから次のレースは荒れるとか、ルーレットで赤が続いたから次こそ黒だと考えるように。それが「流れ」のもとになる。キズと言ってもいい。薫子しおりは典型的なバランス型だった。


 それが「2」とはいえ、直撃を受けたことで薫子しおりはパニックに陥った。守備を言い訳に逃げのマネ碁作戦に走った。しかしそれが悪手だということを身を持って知ることになる。残り5枚となったところで再び「4」の直撃。薫子しおりの顔がぐにゃりと歪む。


 しっかりしろ馬鹿、溺れる前に息の仕方を思い出せ。うつむいて涙目になる薫子しおりに思わず声をかける。負けてやる道理はないが心まで折るつもりはない。まだまだおれも甘いな。

 そんなことじゃあおれを飼うどころじゃないな。逆に飼うにしてもおれは負け犬は趣味じゃ無いぞ。

「誰が負け犬よ! ……そうよ、ここから逆転して……絶対に飼ってもらうんだから!」

 何か趣旨が違っているような気がするんだが? まあ立ち直ったならいいか。

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