1B0 ぎゃんぶらぁ放浪記 4
勝負は進んでチップは私が80枚を越えた。ただしテキサスホールデムにはオールイン(全賭けの倍付け)があるから安全圏ではない。
瑠璃がチップを減らしたのは波に乗れないせいもあるだろうが、「動」の攻めのスタイルを変えなかったからでもある。必然的に私は「静」の受けとなる。場合によってはフォールドで降りるのも厭わない。
瑠璃が一息入れようと自分のグラスに冷茶を足す。ん? お茶請けのわらび餅が無くなったか。今度は芋羊羹にするか?
私はこの花札ポーカーというギャンブルに込められた瑠璃の意図を考えてみた。そこには勝算以外にも別の理由があるように感じたからだ。
ポーカーでも花札でもない紛れの多いギャンブルを考案したのは私をじっくり観察するためじゃないのか。表情や癖、押し引きのタイミング、選択肢とその思考パターン等々。攻撃的なスタイルに拘ったのもそうだろう。つまりこの後の薫子のための捨て駒になるつもりだった。さすが「お姉ちゃん」だな。
その後に瑠璃がオールインを宣言する。なら受けよう、コール。
そして開いた瑠璃の手は赤短。手札が「松に赤短」「桜に赤短」、それと場の「梅に赤短」。瑠璃が勝ったとばかりにドヤ顔を見せる。
瑠璃がたん札に印をつけていったのは知っていた。たんだけでなく赤短青短なら役の昇格も見込めるからな。
しかし私はそれを指摘せず、逆に利用することにした。目には目を、イカサマはイカサマで返される。その覚悟はできているよな?




