1A6 おれたちの夏(たたかい)はこれからだ 7
紅鷺学園に移動すると、そこには「サニーデイ・カンパニー」の面々が来ていた。それぞれが「升」問題のキットを手に四苦八苦している。今さらな感じもするが設定通り晴子や小枝ちゃんも私を「時彦」「時兄ちゃん」と呼んでくれる。しかし男連中が野太い声で「トキ……」と呼ぶのは明らかに違うだろ!
それで問題は解けたのかよと聞くと、小枝ちゃんが「はい!」と手をあげた。
問、酒樽から五合の升と三合の升で四合の酒を計り取るには何手必要か。ただし酒樽に戻す回数は数えない。
答、五合升に汲んだ酒を三合升に移してから樽に戻す(2手)。残った五合升の二合を再び三合升に移す(1手)。空になった五合升に酒を汲んで三合升に一合だけ移すと四合が残る(2手)。合計5手。
なるほど四合を量ることには成功したようだな。しかし不正解だ。もっと手数が減らせるからな。
「えっ、これ以上減らせるってこと? 分かんないよ!」
「ちょっと、泣かせてどうすんのよ! 何かヒントをちょうだいよ!」
そうだなここまで解けたならいいだろう。ヒントは発想の転換だ。これは加減乗除の代数問題じゃなく図形の幾何問題だ。量るのが茶碗とか丼じゃなく升だということにも意味があるということだ。
「発想の転換? うーん、じゃあもう少し考えてみる。あ、だけど頑張るご褒美が自転車じゃちょっと……」
ああ、それもそうだな……じゃあ遊園地にでもいくか?
「ほんとに? 絶対に解いてみせるんだから!」
「ちょっとその約束、アタシも有効なんでしょうね!」
30分後、二人が「「できたー!」」と校舎に飛び込んで来る。(実演)……ああ、正解だ。
「「やったー! これで一日思う存分独り占めね!」」
独り占め? どうせなら皆で行ったほうが「「なんでそうなるのよ! 絶対に嫌よ(なんだから)!」」……何が不満なんだ?
問、酒樽から五合の升と三合の升で四合の酒を量り取るには何手必要か。ただし酒樽に戻す回数は数えない。
答、五合升に半分だけ酒を汲む。肩口と一方の底を水平にすると三角柱を横にした形になる。これで2.5合。同様にして三合升にも半分汲むと1.5合。これを五合升に移せば四合になる。合計3手。




