1A7 おれたちの夏(たたかい)はこれからだ 8
和算スタンプラリーは一人また一人とクリアしていく。まあ教え合うのは黙認しよう。本番の宝探しはまだこれからだからな。
ヒントの「判じ文」もあらかた行き渡ったようだ。薫子も瑠璃も手に入れたな。じゃあ仕切り直しといこうか。精鋭でチームを組んでも構わないぞ。
「ええ確かに。でもこれに何の意味があるの? 出し抜いてしまえばよかったじゃない」
「そうだぜ。とっとと手に入れてオレたちを潰しにくればいいじゃねえか」
空き教室に3人が集まる。そうしたくないからだよ。殺し合いなんて望んでないからな。それに今なら分かる。本当は私に助けて欲しかったんじゃないのか?
「なっ、何言ってんだよ! そんなわけ……」
「もうやめよう、お姉ちゃん……そうよ、日妹くんなら何とかしてくれると思ったの」
当初の『E∴D∴N』の計画では白桃院高校と紅鷺学園を対立させ、そこから街ぐるみの抗争に発展させるつもりだったらしい。それは同時にファナティックや蚤に替わる新型兵器の人体実験の場でもあったのだと。
「私たちの洗脳が解けていくのと一緒に、この作戦がもう止められないところまで来ていることも分かったわ。それなら今のまま続けていくしかない……」
「状況はオレたちが失敗してギルバートに処分されても変わらない。次の幹部が来るだけだから。いっそ処分されるならアンタに倒されて心置きなく……そう思ったのさ」
それで私の心に爪痕のひとつも残せればとか言うんじゃあるまいな。ふざけるなよ! それで私を縛ったつもりか? そもそも私がいつまでも覚えている義理があるか? とっとと忘れて生きているやつらとキャッキャ言いながら、パフェでも食って面白おかしく暮らして行くに決まってるだろう。
「なっ、何よそれ!」「ひでぇ……嘘、だよな?」
だったら生きてみろよ。いい女になって言い寄る私を鼻であしらって悔しがらせてみろよ。それでこそ復讐だろう?
私がそう言うと二人は一瞬顔を見合わせてから笑った。
「「だったら覚悟してなさい(いろよ)、絶対に惚れさせて振ってやるわ(ぜ)!」」
ああ、ただし罵倒するときはオブラートに包んでな。




