19E 炎の球宴? 紅鷺ヤンキーまつり 5
さて最終戦、グレテンジャーの番長ズが中に入る。人数合わせで5人の補佐も加わった。
しかしそこに周囲から木刀やバット、チェーンなどが投げ入れられる。ああ、不利になると持ち出してくるルール改訂というやつか。冬季のオリンピック種目かよ。
「おいおい、さすがにそれはマズいんじゃねーの?」
「センコーはすっこんでろ! 後で停学でも何でも好きにすればいいだろうが!」
私も標星先生を目で制す。ケンカ祭りに混ざりたいのは分かるが加減ができないなら自重してください。「何だよもー、まったく!」
「あんた、獲物どころかとんだ猛獣だな。すっかり騙されたぜ」
いつも安全なところから見ているからそう思うだけだろう。数もハンデもくれてやったのに何か不満でも?
「狩る方が狩られるとか、シャレになんねーよ!」
「それでもよ……本校のエリート様にゃ負けられねーんだよ!」
「せめて腕の一本も折ってやらねーとな。覚悟しろよ、コンチクショー!」
「勝てば何とやらだ。大人しく死んどけや! ギャハハハ!」
その何とやらをちゃんと言ってみろ。表現がテンプレすぎるのも減点だな。反省文を書くときは考慮するように。
そして私は懐かしの鉄格子を【現出】させる。使ったほうが手加減できるからな。骨折で戦線離脱すれば死ななくて済むぞ。
「なっ、お前それを今どこから……」
趣味と実益を兼ねた手品だよ。何か問題でも?
「いや待て! あの十字架トンファー……あのよ、オレ先輩に聞いたことあるんだけど」
「何だよ?」
「あいつ、鬼百じゃねーの?」
「鬼百? そんなわけねーよ。ありゃ都市伝説だろ?」
「違ぇーよ。オレの先輩の『人力麒麟児』は鬼百に潰されて解散したんだよ!」
「マジで実在したのかよ!」
途端に周りの不良が騒ぎ出す。
「自転車で暴走族を100キロで追いかけ回す鬼百?」
「あの『純然たる暴虐非道』の蛾眉丸と死闘を繰り広げた鬼百?」
「三なしと同じく絶対に関わるなと家訓で言われる鬼百?」
何でスッポンサプリのCMみたいになってんだよ? あと三なしって誰だ?
「じゃあ魔騎士魔武とか血紅師とかとマブダチってのも……」
「ああそうだ。だからお前らが勝てるわけねーだろ。猛獣どころか鬼なんだぜ?」
そう言って標星先生の隣に立ったのは水上のオッサンと赤井四葉だった。何でこんなところに? ガードの打ち合わせ? 小鴎祝子の幸運が発動したせいか。おかげで乱闘にならないで済んだのは助かるが。
だったらもう隠す必要も無いか。私は顔を一撫でして道化面を【現出】させる。カカシ顔の「へのへのもへじ」を見て不良どもが固まる。オッサンが悪ノリで「頭が高い!」なんて言ったせいで皆が地面に「ははーっ」と平伏する。私は天下の副将軍かよ。
はあ、ここまでする気はなかったのに……指さして笑ってる場合か、オッサン。それと妊婦を危ない場所にボロ車で連れて来るなよ。




