197 Fight Day and Fright Night 17
私は肩慣らしで三木本と何球かキャッチボールをした。「投球練習はしなくていいのかよ?」と訊かれたが断った。私がやろうとしているのは野球の勝負じゃなく決闘だからな。手の内を見せるつもりはない。
一球目。私は振りかぶる動きから腕を車にして後ろ腰からボールを投げた。そしてフェイクに腕を前に振る。新倉は動けず見逃した。捕球した三木本がストライクを数える。
「今の何だよ! ボークじゃないのか!」
新倉が抗議するが何か問題でも?
「いや背面投げは問題ないはずだぞ。見たことないってだけで。タイミングを外すってことならチェンジアップになるのか。それでもストライクゾーンを通すのはさすがだな」
三木本がそう指摘すれば新倉も渋々引き下がる。
「さっさと投げろ! 次はもうそんな球に騙されん!」
新倉が自分を鎮めるように素振りをくり返す。抑え切れていないがな。それに同じ球を投げるわけがないだろう?
二球目。私は半身の構えからソフトボールのウインドミルとは逆向きに腕を旋回させ二周目の肩越しに手首のスナップでリリースして球を投げた。スピードもそれなりに出ているうえに山なりの軌道、しかもタイミングが読めない。2ストライクだな。
「なっ……何だ、今の……そんな投げ方知らないぞ!」
知らなくて当たり前だ。バスケットのシュートを応用したオリジナルだからな。スカイフック投法とでも名付けるか。
「くははっ、あんた面白ぇな! 魔球マニアなんてのに本当に出会えるなんてな! こりゃあ確かに頭カチコチのネオ倉には打てねーよ……交替だ。オレが打つ」
そう言って三木本がミットを新倉に押し付けてバットをもぎ取る。ピンチヒッターか。それも予想通りの展開だ。




