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196 Fight Day and Fright Night 16

 マウンドの柳田武見にマネージャーの伊部里子が駆け寄る。

「ほら、立ちなよ武ピー。泣くならあたしの胸で好きなだけ泣いていいから、ねっ?」

「だっ、誰が! 触んなデブ! ブス!」

「せめてどっちかにしてよ、もう! はい立つはい立つ!」

「おいやめろ伊部イベリコ! 首締めながら引きずんじゃねー! だから背中に当たってるって……」

「嬉しいくせに照れちゃって(はぁと)。はいはい急患こじらせ通りま~す。お邪魔しました~」

 じたばたと退場する柳田と伊部に皆が生暖かい視線を送る。少しでも心配したおれが馬鹿だった。全然大丈夫そうじゃねーか!

 ……さて、気を取り直して新倉永一との決闘バトルだ。そこに野球部の2年、三木本陽が出て来て「じゃあオレがキャッチャーやるわ」と言ってミットを嵌めた。ようやく出て来たな、第3の部長候補が。


 実は決闘バトルの前におれが近藤さんから言われたことがある。「どちらも部をまとめていく器の人間じゃないから気にしないで好きにしてくれていい」と。

 柳田は人の面倒を見るタイプの人間ではない。職人気質というやつだ。それでいて近藤さんが親身になってくれたことで勝手に後継者のように思っていたのだろう。皆が文句を言うでもなく後をついてくると思い込んでいた。

 一方の新倉永一は教え魔だ。理論を取り入れるのに熱心でそれで伸びた後輩も多い。ただし押しつけが過ぎると持ち味を殺すことにもなる。さらに近藤さんが心配していたのは、理論にこだわり過ぎて新倉が前より打てなくなっていることだ。


 結局どちらも偏りすぎていて、部の舵を取るには向いていないということか。その点で三木本は人当たりもよく、映えるプレーで人気もあって神輿には適任だと近藤さんは言った。しかし奔放な性格もあって野球一筋というわけではないらしい。

 しょうがない、乗りかかった船だ。こっちも何とかしてやるか。もののついでというやつでな。


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