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英雄の人生探訪旅行譚  作者: 信礼智義
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第5話 エピローグ

このお話は前作「英雄の冒険旅行譚」の続きとなります。これ単独でも楽しめるようになっていますが、前作をお読みいただけるとより面白くなると筆者は思っております。

どうぞお楽しみください。

第5話 エピローグ

王都についた英雄はすぐに病院に運ばれ、治療を受けた。何針か縫う怪我で、しばらく安静にするように言われた。

 宿を取ろうと思ったが、マーシャの両親、つまり国王夫婦から王宮に泊まるよう言われ、逆らえずに王宮にとどまることとなった。

 マーシャは両親からたっぷり叱られ、しばらくお忍びでの街歩きを禁止され、涙目になっていた。

 英雄自身も国王夫妻と謁見することとなった。

「マーシャを助けてくれてありがとう。君がいなければ、マーシャは命を落としていたかもしれない。本当にありがとう」国王は言った。

「私からもお礼を言わせてもらうわ。マーシャを助けてくれて本当にありがとう」王妃も続けていった。

「とんでもありません。お礼を言われるほどのことはしておりません」英雄としてはかなりの大冒険を経験させてもらい、逆にお礼を言いたいぐらいだった。

「マーシャを襲った犯人だが、王政反対派のうち暴力で王家を打倒しようと考える過激派の一員だったそうだ」国王は苦々しい顔をしながら言った。

「王政反対派の過激派ですか」

「ここはもともと社会主義国家だったからね。立憲君主制がこの国の体制となった後でも、共和制にしようと考えるものや社会主義体制へ戻そうとする考える者もいるのだよ。その中でも言論をもって目的を成しえるのではなく、ごく少数だが暴力をもって実現しようとするグループもいるわけだ。今背後関係を洗って、取り締まりを強化しているところだ」

国王の言葉を聞いて英雄は「そうなのですか。過激派の一員だったのですねそれで執拗にマーシャ姫を追っていたのですね」と言った。

「ところで君は日本で大学に通っているのだよね」国王は尋ねた。

「はい、そうです」

「大学を卒業したらこの国に来て働かないかい?」

「えっ私がですか?」

「私は一つ考えていることがあるのだよ。我が国はちゃんとした正史を編纂したものがない。さらに各地方の地誌をまとめた物も存在しない。これらをまとめたものを作成し、将来に残したいと考えているのだよ。君にはこの計画の一員となってもらいたいと思っている」王はニコニコしながら言った。「これは君が大学を卒業してからでかまわない。どうだろう、引き受けてくれるかい?」

とってもいい話だ、と英雄は思った。進路に悩んでいた英雄にとってユエ大族にかかわりながら就職口を見つけることができる最高の条件だし、このままここに永住することになるが、親もそういうところには理解があるし、立派な弟と妹がいるから家族の心配もない、英雄はそう考えた。

「一応家族に報告させていただきたいのですが、特に問題ないと思います。国王様どうぞよろしくお願いいたします」

「そうか、それは良かった」国王は言い、そのあとボソッと「これでマーシャの恋もかなうかな」と言った。


国王陛下と王妃殿下の前から退出すると、マーシャが待ち構えていた。「お父様から話を聞いた?」

 「ああ聞いたよ。大学を卒業したらこの国の大学で研究をしないかという話だろ」

「そう、それでどうするの?」マーシャは期待するように聞いてきた。

「話を受けるつもりだよ。一応両親には連絡を取るけど」

マーシャはすごくうれしそうに「そう、よかった!」と思わず英雄の手を取った。マーシャがこんなに喜んでくれるなんて、と英雄は大変うれしかった。

マーシャは、顔を赤らめると、「あのさ、ヒデオ」と言った。

「ん、なんだい」

「いろいろありがとうね。おかげで命拾いしたわ。それでね」

マーシャは口ごもった。

英雄は次の言葉を待った。

「部下になれと言ったけど、それ取り消しね。私あなたの友達になってあげる!」マーシャは叫ぶように言った。

「ああ、こちらこそよろしくマーシャ」ニコッとしながら英雄は答えた。

そんなことで緊張しなくていいのに、もう友達みたいなものだっただろ、と内心英雄は思った。

ふと、楽しくなっている自分に気が付いた。この国に来る前に感じていた不安がなくなっていた。

窓の外を見ると、雲一つない快晴が広がっていた。


これで本編は終わりです。後、余話と雑談が入ります。余話は本編にすこし関係がありますが、雑談は直接関係ない話となっております。

読んでいただいた方、評価やブックマークいただけると大変励みになります。よろしくお願いいたします。

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