表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Real~Beginning of the unreal〜  作者: 美味いもん食いてぇ
第3章 出発

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
327/1071

23話

 

「特区程じゃあねぇが、やっぱトレントだらけだな」


「……ん」


 ノエルはポーチからビデオカメラを取り出し、構えながら歩く。


 手当たり次第に生え散らかす緑は、人工物を突き破り空へと手を伸ばしている。見飽きた光景だ。


「……お、あれは」


 少し進むと、川を挟んで、白シャツを着た人間のデカい看板が見えてくる。有名なブリコの看板だ。


「撮って」


「あいよ」


 両手を上げたノエルを、記念に一枚パシャリ。旅フォルダに、また一枚思い出が残る。


「適当にそこら辺回って、新世界経由で南目指すか」


「り」



 ――ぶらぶら。


 デカい赤いカニが壁に張り付いている。

 その下には、かに道楽の文字。ここが緑化に巻き込まれていなければ、蟹の良い匂いが漂っていたに違いない。


「撮って」


「あいよ」


 ノエルが蟹の下に行き、指をわしゃわしゃする。何だそれは、蟹の真似か?似てるじゃねーの。


「ハイチーズ」


 ドンッッ‼︎


「……撮れた?」


「中々良いのが撮れたぞ」


 画面の中に映るのは、蟹の真似をするノエル、

 とその脳天に巨大な爪を振り下ろす蟹、

 とその爪を防ぐ土で出来た巨腕。


 あれが元々生きている事など、二人には分かっている。


 蟹は脚を器用に動かし、地面に着地。爪をカチカチと鳴らし威嚇を始めた。


「えーと、あのモンスターは、……あった。かに道楽、ってそのまんまじゃねーか」


 東条はアプリで検索をかけ、その生態を調べる。周囲の倒壊した店舗を、トレントごと破壊しながら振るわれる爪を躱しながら。


「あれ食べたい!」


「あー、ちょいまち。何かコイツ、あんま害ないから、壊れた模型の代わりに生かされてるっぽいわ。っと」


「えー」


 東条はスマホをノエルに投げ渡し、甲羅を蹴って距離を取った。


 姿勢を低くし、左手は鞘に、右手を柄に添える。


 ――抜刀の構え。


「でもまあ、」


 加速。よろける蟹の下を通り抜けざま、刀を一閃。


「脚の一、二本、貰っても構わねぇだろ」


 蟹が後ろに倒れると同時に、左右真ん中の二本がずれ落ちた。


「クククっ、初めてにしちゃあ、なかなかカッコよかったんじゃね⁉︎どうだったよ!」


 東条はビュッと蟹汁を切った後、スマートに刀身を鞘に収めようとして失敗する。


「ノエル爪が良かった」


「あ?ばっかお前、それじゃあコイツが餌取れなくなっちまうだろ。どうせお前の食い意地に反応しちまったんだろうし、静かにさせといてやれ」


 彼は二本の脚を拾い、未だに起き上がれずにバタついている蟹を、漆黒武装した腕で持ち上げる。


「ほれ、ちゃんとくっつけ」


 バシッ、と半ば強引に蟹が定位置に戻った。


「怖がらせて悪かったな。脚再生するまで安静にしとけよ」


「……命拾いしたな」


 去って行く台風を見送る蟹は、意味の分からない二人に冷や汗を垂らすのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] いきなり食欲向けられたかと思ったら脚斬られて元の位置に戻されてと、かに道楽さんは可哀想だw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ