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Real~Beginning of the unreal〜  作者: 美味いもん食いてぇ
第3章 出発

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22話

 

 ――翌日、新幹線に乗って大阪に到着した二人は、その足で浪速区周辺、道頓堀を含めたLv5危険区域へ向かっていた。


 予定では浪速を通過した後、和歌山の港に行き、そこからフェリーで徳島に渡るつもりだ。


 東条は一人歩きながら、観光マップをペラペラと捲る。


「大阪っつったら、串カツに、タコ焼きに、……店は全部潰れてるだろうし。……おーいノエル!」


 振り返り、買ったたこ焼きを受け取っているノエルを呼ぶ。


「おおきに〜、怪我せんようにね〜」


「おおきにー」


 彼女は一つ口に放り込み、ハフハフ言いながら走って来た。


「ほひは」


「やっぱ入る前に、名物は食っといた方がいいと思ってな。適当につまんでから行こうぜ」


「ほひゃ。ん」


「サンキュ」


 二人は互いに食いたい物を上げながら、のんびりと歩いて行くのだった。



 ――イカ焼き


「もちもち」


「うまうま」


 この料理は、小麦粉、出汁、イカを練り合わせ、高温で圧縮して作る。

 東京の祭りなどでよく見るイカ焼きとは全く別種の、大阪発祥の料理だ。


 モチモチの生地に、噛む度に香る出汁と小麦、そこに顔を出すイカのコリッ、という食感が何とも楽しい。


 ――豚まん


「ごろごろ」


「うまうま」


 関西定番の土産でもあるのがこの豚まん。


 風味と食感を出す為に、ダイス状にカットされた肉と玉ねぎが暴力的なハーモニーを奏で、それをほんのりと甘く分厚い生地が包み込む。


 皆がこぞって食べるのも頷ける。


 ――お好み焼き


「カリふわ」


「うまうま」


 粉もん代表お好み焼き。

 その種類は星の数程あり、美味いもんをぶち込めば美味くなるを体現した料理である。


 それを可能にするのが万能ソースであり、彼の前では全ての食材が調和するのだ。


 ――串カツ


「さくさく」


「うまうま」


 大阪に来たらこれは外せないだろう。


 熱々の衣を噛めば、中からジュワッ、と溢れ出してくる素材の旨味。

 上品なソースと混ざり合い、舌の上で満足感が躍る。


 そして忘れてはならないのが、


「おいおいノエル、よく読めよ?」


「ん?……二度づけ禁止?」


 そう、大阪ではソースは共有物。

 その為ソースの二度づけが固く禁止されているのだ。


 このルールを破れば最後、その一生を牢屋で過ごす事になるだろう。


「沢山欲しいなら、一度で足りるようにびったびたにしときな」


「ん。面白いルール」


 これでもかとソースに浸すノエルに、店員も客も温かい笑みを浮かべていた。


 ――最後にまたタコ焼き


「タコタコ」


「うまうま」


 丸い生地でタコを包んだだけの食べ物が、どうしてこれ程美味いのか。


 日本中に広がり、タコパという言葉まで生み出したこの料理は、最早伝説と言えるだろう。


 二人は火傷した舌で、食倒れの街大阪を心底楽しんだのだった。



 ――「ケプっ」

「ゲフゥッ」


 そうして膨れた腹をさする東条とノエルが、目の前に聳えるバリケードを見上げる。


 ここが浪速危険区域、近畿で最も危険な場所だ。


 二人は門に隣接した施設に歩いて入って行く。

 常駐の隊員に挨拶し、受付へと進む。


「こんちわ」


「ちゃ」


 彼等を見た受付嬢が、ニッコリと営業スマイルを浮かべる。


「こんにちは、マサ様、ノエル様。本日はどの様な御用件でしょうか?」


「和歌山行くついでに、観光でもして行こうと思いまして」


「観光ですか、ふふっ、畏まりました。組合カードかバッジの提示をお願い致します」


 東条は胸元を捲り、ノエルはポーチを持ち上げ、金と黒に輝くバッジを見せる。


 受付嬢はそこに識別機を当て、頷いた。


「確認いたしました。『冒険者』マサ様、並びに『冒険者』ノエル様、区域内への進入を許可します」


「あざす」「ん」


 二人が去ろうとすると、「少しお待ちを」と受付嬢が呼び止める。


「お二人は、組合支部にお越しになったのは初めてですか?」


「ん?はい」


 受付嬢がカウンターの上にタブレットを出す。


「支部内のパソコンでは、日本中の依頼内容や、出没モンスターの一覧などを閲覧出来ます。勿論この様に私共に言って頂いても構いませんし、組合員専用のアプリを入れれば、自身の端末からでもアクセス出来ます」


「ほぉ〜〜」


「あちらのカウンターでは、武器の貸し出し、点検、販売などを行っております」


「おぉ〜〜」


「二階には食堂、三階にはシャワールームと仮眠室がございます」


「凄いっすね」


 何と充実した施設だろうか。東条はタブレットをスクロールし、依頼内容をざっと見てみる。


 ・トレントの苗木の納品

 ・グレイウルフの毛皮の納品

 ・虫型モンスターの駆除

 ・狒々の殲滅協力

 ・―湯煙ラッコの温泉旅館―設立資金募集。希望ラッコのスカウト、護衛※強制は許さない


(何だ最後の、……とりあえず後で募金しとこう)


 変な奴もいたもんだ、とタブレットを閉じ、受付嬢に返した。


「分かりました。後でアプリ入れときます」


「はい。納品依頼の確認は支部でしか出来ませんので、お気をつけ下さい」


「了解です。では、」


「はい、お気をつけて」


「マサー」


「あ?」


 武器ケースを覗いていたノエルが、こっちに来いと手招きする。


「何か欲しいもんあったか?」


「マサこれ差して」


「……刀?」


 そこに飾られていたのは、prototypeと書かれた現代的なフォルムの刀。正直カッコいい。


「確かに、今の服装にゃ合うな。ノエルはいらないのか?」


「今のノエルはか弱いお姫様。マサはノエルを守る侍」


「おぉー、いいな侍」


 後ろでキャッキャと騒ぐ受付嬢達に苦笑し、東条は職員を呼ぶ。


「これ貰えます?」


「有難うございます。お支払いはどのように致しますか?」


「バッジで」


「畏まりました」


 支払いの後、東条は職員から刀を受け取る。

 モダン的な外装、それなりの重量、黒銀に光る刀身、……いいね。


 東条は刀を腰に差し、ポーズをとる。


「どうよ?」


「ん、カッコいい」


「照れんじゃねーか」


 二人は職員に礼を言い、支部を後にする。


 彦根が作ったという強化ガラスの自動ドアを潜り、危険区域へと足を踏み入れたのだった。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 観光w。まぁ特区出すら最強クラスのマサ等からすれば、Lv5危険区域はそんなもんか。
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