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Real~Beginning of the unreal〜  作者: 美味いもん食いてぇ
第3章 出発

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21話 秘密

 

 ――「……」


「……」


 東条は夕焼けの中、背中にある温もりを背負い直し、再び跳躍する。


 自身の背中で、長い間黙り込んでいるノエル。


 背中越しに感じるのは、怒りとも、焦りともとれる、言い様のない不安だ。


「……」


 原因は明らか。明王が口にした、『王』という単語。その言葉を聞いた瞬間、ノエルの態度が急変した。


 思えば、ノエルは明王に対して終始気を張っていた。あれは奴の戦闘力に対してではなく、何か言われたくない事があったからなのかもしれない。


 ノエルの小さな手に、ほんの少しだけ力が入る。


 東条は一つため息を吐き、口を開いた。


「……なあノエルよー」


「……んー」


「お前はバカなのか?」


「……ん?」


 ノエルの顔が上がったのを感じる。


「お前、まだ俺に何か隠してんだろ?」


「――っ」


 隠しようのない悲壮感に、東条は再びため息を吐く。……それがバカだと言っているんだ。


「……ごめん」


 俯こうとするノエルを、東条は背負い直し無理やり顔を上げさせる。


「あのな、そんな事とっくに気付いてるぞ?」


「え、」


「どんだけ一緒にいると思ってんだ」


 東条は呆れたと言わんばかりに首を振る。


「……いつから」


「冒険を始めた時から。厳密には、あの夜テントで話し合った時から、かな」


「……そんな前から」


 ノエルは思い返す。デパートの屋上で、自分の事、過去の事、未来の事を楽しく語った、あの夜を。


「気付いてないだろうけど、お前俺に嘘つく時、少し間があるんだよ」


「え、」


「最近は慣れてきたのか、ポーカーフェイスに拍車がかかってるけどよ、あんときゃ酷かったぜ?俺が質問したら、少し考えてから、思いついた!みたいな顔して話すんだもん。バカでも気付くわそんなもん」


「……」


 まさか自分にそんな弱点があったとは……。ノエルは反省する。


 きっとその所為で、マサには少なからず疑念を抱かせた。それだけは、避けたかったのに。


 彼女は後悔し、迷った。打ち明けるべきなのか、誤魔化すべきなのか。


 恐る恐る、彼を見たノエルの目に映ったのは、


 ……笑顔だった。


「俺は嬉しいんだぜ。その間は、俺の事を大切に思ってくれている証拠だろ?俺もそうさ。お前が大切だ。

 だからそんな事、っどうでも良いんだよ!」


 東条は空に向かって思いっきりジャンプする。突風がノエルの髪を激しく煽った。


「秘密が誠意になるのは、そこに関係が築けていない時だけだ!俺達はその程度の仲だったのか⁉︎なあ相棒!」


「――っ、違うっ」


「そうだろう⁉︎ならそんなくだらねぇ事で悩むな!何度でも言ってやる、俺にとっちゃ、どうでもいいんだよ‼︎」


「――っ」


 東条は鉄塔の天辺にしがみ付き、ノエルを前に抱く。


「ハハっ、なんて顔してやがる」


 夕陽に照らされるノエルの口元は、今にも泣き出してしまいそうな程にウニョウニョしていた。

 ここまで来ても目だけは眠そうなままなのだから、こいつの表情筋は鼻から上が死んでいるに違いない。


「……いつかよ、ポロッと言えちまうくらいになる時が、きっと来るさ。そん時の笑い話にとっとけや。


 ……それかもし、どうしても言わなきゃいけない時が来たら、そん時は迷わず俺に言え」


 東条は漆黒を解き、満面の笑みを浮かべた。



「そんな事か、って笑い飛ばしてやるからよ」



「(ウニョウニョッ)」


 東条はノエルの頭をクシャ、と撫で、小さな足を肩に担いだ。


「おうおう!こんな事話すより、晩飯について話した方がよっぽど生産性があるぜ!おいノエル!今日の飯は何だ⁉︎」


「っ、――ラーメンッ‼︎」


「決まりだぁあ‼︎」


 二人の楽しそうな雄叫びは、立ち昇る水煙と共にオレンジ色の空へと吸い込まれていった。



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― 新着の感想 ―
[一言] 東条が言いたいのは、秘密を開示して誠意を示せるのは、関係が築けていない時だけだからやめろって事な。 もう親密になってるから今更隠し事しなくてもって思って前の感想になったんですが、確かにそれ…
[一言] 「俺は嬉しいんだぜ。その間は、俺の事を大切に思ってくれている証拠だろ?俺もそうさ。お前が大切だ。 だからそんな事、っどうでも良いんだよ!」 マサに拒絶されたくないから悩んで嘘を考えたって事か…
[一言] いやはや…これは第304話でヒロイン扱いされてるだけありますわ…でもこの作者の事だ、どうせまた鬱展開ブチ込んで来るんだろ!?(不信感)
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