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Real~Beginning of the unreal〜  作者: 美味いもん食いてぇ
第四章〜Marine snow〜

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 翌日。


 あてがわれた一室にて、東条は大画面を前に辟易としていた。


 特大ソファに尊大に腰掛けながら、東条は大きな溜息を吐く。

 そんな彼の膝の上で、ノエルが足をぶらつかせる。


「ノエルさんよぉ」


「ん」


「こんなにスペースあんだから、ソファに座ったらどうです?」


「や」


「やかぁ」


 東条は軽く笑い、背もたれに両腕を預け天を仰ぐ。


 彼らと少し間を空けて座るシャルルが、落ち着いた面持ちで二人のやりとりを笑っている。

 その横に、ソワソワしているラファがちょこんと座っている。


 部屋のドアが開き、ガブリエルが入室。彼は東条の隣に腰掛け、両手に持っていた軽食を間に置き、尻尾でグラスにワインを注いだ。


「いやだから、何でお前も近くに座んだよ? せっかくこんなデカいソファなのに」


「え、口寂しくなると思って作ってきたんだけど、食べない?」


 軽食と呼ぶにはかなり手の凝った品々に、ノエルが「食べる」と即答する。


「長くなりそうだったからね〜」


「マジ憂鬱。昼飯もあるんだから食べ過ぎんなよ?」


「ん。うまうま」


「でしょ〜」


 ソワソワしだしたラファに袖を引っ張られ、シャルルが「はいはい」と苦笑する。


「ガブリエーレさん、彼女も混ぜてあげてくれませんか?」


「当たり前でしょ〜よ〜! ほらほら、こっち来て! シャルルっちも! 何遠慮してんの!」


 東条の膝から飛び降りたノエルが、隣をポンポンと叩いてラファを呼ぶ。

 嬉しそうに料理をモシャる女子二人を肴に、男三人はワインで乾杯する。


「なーなー、シャルルはさ、何で人殺してんの?」


「あはは……、単刀直入ですね。苦しんでいる人達を、幸せな場所へと送ってあげたいからですね」


「あーね。死こそ救済的な?」


「少し違いますが、まぁ他人から見たらそう映るのも無理ないですね」


「尖ってんな〜」


「ね〜。この手に触れたら最後、チ〜ンよチ〜ン」


「こっわ。お前絶対手袋取んなよ?」


「あ、これがジャパニーズ『フリ』だよ!」


「変なこと教えんな」


 普通に楽しそうに話す男二人を、シャルルは少しだけ驚きながら見つめる。


「……否定しないのですね」


「ん? あぁ〜、否定ねぇ。……確かに否定するところか」


「安楽死みたいなものでしょ? 背中預けあって戦ったから分かるけど、シャルルっち悪い人間じゃないしね。

 それに俺っちだって襲われたら反撃するもん。軍隊が悪いよ軍隊が」


「選帝者なんてだいたいこんなもんだろ。俺は俺の周囲に被害が及ばないなら、他は大してどうでもいいよ」


「あはは。東条さんって、もっと怖い方なのかと思っていました。とても広い心を持っているのですね」


「おぉ、お前分かる奴だな。肉をやろう」


「ありがとうございます」


「違うよシャルルっち、桐っち頭が()()、だからさ」


 ガブリエルのジェスチャーに、ラファとノエルが吹き出す。


「あ? イカれモンスターもどきが何言ってんだ? お前よりは常識あるわ」


「何言ってんのよ〜。桐っちもこっち側でしょ〜よ〜」


「周りにいる奴が頭おかしすぎて狂ってくんだよ。筆頭お前な。マジお前のせい。おい肩組むな」


 自然に始まる二人漫才。

 色のない目を開け、ラファが楽しそうに微笑む。


「……面白いお方達ですね」


「ええ。僕も不思議な気持ちですよ」


 シャルルの中で、まだ少しあった緊張と警戒が解けていく。


「初めての感覚です。……否定されないというのは、良いものですね」


「ん。ここにいる人間、皆選帝者。皆どこかおかしいけど、少し似てる。だから居心地良い」


「確かに、そうですね。とても居心地が良いです」


「……シャルルさん」


「はい?」


「……皆さんのお顔が知りたいです。教えてくれませんか?」


 色のない瞳を見つめ、シャルルは優しく微笑む。


「喜んで」


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