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第四話:『影から見つめる者』

あの日、祭壇に謎の文字が浮かび上がってから、一か月が経った。


学院「焔」は噂で満ちていた。生徒たちは隅々で囁き合い、教官たちは会議で眉をひそめ、闇の派閥は明らかに動きを活発化させていた。彼らは図書館に、廊下に、訓練場に、より頻繁に現れるようになった。彼らは観察していた。探していた。


そしてハルトは、その視線を全身で感じていた。


彼は慎重になった。人混みを避け、注目を集めないようにし、黒いマントが通り過ぎるたびに視線をそらした。しかし彼は知っていた——彼らはもう彼に気づいている。問題は、彼らがいつ行動を起こすかだけだった。


——「疲れた顔してるね。」


リカが図書館でハルトの向かいに座りながら言った。


ハルトは本から顔を上げた。彼は確かにひどい状態だった——目の下のくま、青白い肌、震える手。ここ数日、ほとんど眠っていなかった。


——「大丈夫だ。」彼は嘘をついた。


——「違うね。」 リカは首を振った。 「君は大丈夫じゃない。何が起きてるか分かってる。彼らの視線を感じてるんだろ? 誰かに見られてるって。」


ハルトは沈黙した。それが最善の答えだった。


——「言っただろ。」 彼女は続けた。 「彼らは君を探してる。でもまだ確信はない。確かめてるんだ。観察してる。君が過ちを犯すのを待ってる。」


——「どんな過ちだ?」ハルトが尋ねた。


——「どんな過ちでも。」 リカは身を乗り出した。 「もし君が力の一片でも見せたら——どんなに小さくても——彼らは気づく。そして君を捕まえに来る。」


ハルトは拳を握りしめた:


——「どうすればいい?」


リカは奇妙な目で彼を見つめた:


——「分からない。でも…君を助けられる者がいる。君が会ってる老魔法使い——彼だけが知ってるわけじゃない。もう一人いる。彼は第一層のダンジョンに住んでる。伝説によれば、彼は千年前の戦いの目撃者だという。」


ハルトは固まった:


——「目撃者? そんなのありえない。誰もそんなに長く生きられない。」


——「人間ならね。」 リカは微笑んだ。 「でも彼は人間じゃない。悪魔だ。古く、賢く、危険なほどに聡い。彼は君に真実を語れるだろう。だが君は、それが気に入らないかもしれない覚悟をしなければならない。」


彼女は立ち上がった:


——「魔法なしでダンジョンに行くのは——ほとんど自殺行為だ。でも、本当に自分が誰なのか知りたいなら…君は行くべきだ。」


彼女は振り返り、ハルトを困惑させたまま去っていった。


翌朝、ハルトは決断を下した。


彼はダンジョンに行く。


だがまず、武器が必要だった。そして彼は、どこで手に入れられるか知っていた。


老魔法使いの地下室、鍵のかかった箱の中に、一振りの短剣が眠っていた。誰もその出所を知らなかった——老人は古代都市の遺跡で見つけたと言った。短剣は黒く、見たこともない金属でできた柄を持ち、刃には誰も読めないルーン文字が刻まれていた。


ハルトはそれを手に取った。


短剣に触れた瞬間、それは一瞬熱くなり、その後氷のように冷たくなった。ハルトは奇妙な感覚を覚えた——まるで短剣が自分を知っているかのように。自分を待っていたかのように。


——「それはただの武器じゃない。」 老魔法使いが彼を見つめながら言った。 「それはお前自身の一部だ。あるいはお前がそれの一部か。正確には分からない。だがそれは役に立つだろう。ダンジョンでは、たとえ魔法がなくても魔物を傷つけられる何かが必要だからな。」


ハルトはうなずき、短剣を腰に差した。


——「戻ってくる。」彼は言った。


——「そう願うよ。」 老人は嘲笑った。 「だが忘れるな、ハルト。ダンジョンはただの場所じゃない。生きた存在だ。そこに入る者を感じ取る。そしてそれが、お前が誰であるかを知っている。」


ダンジョンの入り口はソラクの中心にあった。


黒い石で彫られた巨大なアーチが、地の奥深くへと続いていた。入り口には衛兵が立っていたが、彼らは誰も通していた——第一層への入場は、ライセンスを持つ冒険者なら誰にでも開かれていた。


ハルトにはライセンスがなかった。


しかし彼には短剣と、決死の覚悟があった。


衛兵たちが別のグループに気を取られている隙に、彼はアーチの影に身を滑り込ませた。


ダンジョンの第一層は、冷気と湿気で彼を迎えた。壁には苔が生え、空気は土と金属の匂いが混ざっていた。遠くから戦闘音が聞こえた——冒険者たちが魔物と戦っているのだ。


ハルトは前へ進んだ。


彼は数時間、ダンジョンを彷徨った。


剣で切り裂かれる骸骨、魔法で焼かれるスライム、松明の光から逃げる犬サイズのネズミを見た。彼は影に隠れ、魔物を避け、注目を集めないようにした。


しかし第四層で、すべてが狂い始めた。


彼はオークに出くわした。


オークは巨大だった——ハルトの二倍の背丈、筋肉質な腕、長い牙。棘で覆われた棍棒を担ぎ、ハルトを見たときには極めて不機嫌そうだった。


——「小さい人間。」 オークが唸った。 「迷子か?」


ハルトは答えなかった。ゆっくりと短剣に手を伸ばした。


オークは笑った:


——「戦うつもりか? 魔法もなしで? 笑える人間だ。」


棍棒を振りかざした。


ハルトは間一髪でかわした。一撃が地面を打ち砕き、石の床が割れた。ハルトは横に転がり、短剣を抜いた。


オークが再び振りかざし、ハルトはまたかわした。正面からの勝負では勝てないと分かっていた——オークはあまりに強い。しかし彼は老魔法使いの言葉を思い出した:「ダンジョンでは、魔物を傷つけられる何かが必要だ。」


彼はオークが再び振りかざす瞬間を待ち、前に飛び込んで相手の脚を狙った。短剣が肉を裂き、オークは痛みで咆哮した。よろめき、バランスを崩した。


ハルトは待たなかった。倒れたオークを飛び越えて走り出した。


彼は振り返らずに走り続け、行き止まりに辿り着いた。


目の前の壁は古代のルーン文字で覆われていた。かすかな青色の光を放っており、ハルトはこれがただの壁ではないと悟った。これは扉だ。


そしてそれは彼のために開いた。


ルーン文字が輝きを増し、石の壁が溶け始め、通路が現れた。ハルトは中に足を踏み入れ、小さな部屋に辿り着いた。部屋の中央には老人が座っていた。


しかしそれは人間ではなかった。


肌は暗い灰色で、頭には小さな角が生え、瞳は琥珀色の光を宿していた。彼はハルトを見ると微笑んだ。


——「待っていたよ。」 悪魔は風のささやきのような声で言った。 「君が来ることを知っていた。問題はいつかだけだった。」


ハルトは短剣を握りしめた:


——「お前は誰だ?」


——「俺の名はゼン。」 悪魔は答えた。 「俺はそこにいた。千年前。君が死ぬのを見た。そして君が転生するのを見た。」


ハルトは固まった:


——「俺が?」


——「君だ。」 ゼンはうなずいた。 「君は闇の君主だった。世界を破壊し、死と混沌をもたらした。しかし最後には負けた。英雄に殺された。そして記憶を失い、転生した。」


ハルトは首を振った:


——「それは嘘だ。俺はただの人間だ。」


——「そう思っているだけだ。」 ゼンは嘲笑った。 「だが、その短剣を見ろ。見覚えがあるだろう? まるで最初からそこにあったかのように、君の手に馴染んでいないか?」


ハルトは短剣を見た。ルーン文字が輝いていた——彼の心臓の鼓動と共鳴するように。


——「それは君のものだった。」 ゼンは言った。 「闇から鍛えられた武器だ。それは主人を認識した。そして今——君がすべてを思い出すのを待っている。」


ハルトは短剣を下ろした:


——「なぜ俺を助ける?」


——「待ちくたびれたからだ。」 ゼンは微笑んだ。 「世界は退屈になった。再び闇が立ち上がるのを見たい。だが…」 彼は身を乗り出した。 「…気をつけろ。学院には、真実を知る者がいる。奴は悪魔じゃない。人間だ。そして奴は、君が目覚める前に君を滅ぼそうとしている。」


——「誰だ?」ハルトが尋ねた。


ゼンは首を振った:


——「それは言えない。しかし奴は分かるだろう。時が来れば。奴は影から現れ、君を殺そうとする。覚悟しておけ。」


ハルトは拳を握りしめた:


——「覚悟はできてる。」


——「そうか。」 ゼンは嘲笑った。 ——「さあ…行け。もう十分長くここにいた。君の不在はもう気づかれている。」


ハルトが学院に戻った時には、もう遅かった。


彼の部屋には灯りがついていた。彼が入ると、誰かがここに来た形跡があった。ベッドの上に置かれたメモ。彼はそれを手に取り、読んだ:


「我々はお前が誰であるかを知っている。明日の夜、市外れに来い。一人で来い。さもなくばお前の秘密は全てに明かされる。」


ハルトは紙を握りしめた。


誰が書いたのかは分からなかった。しかし彼は一つだけ確信していた——時が来たのだ。


彼はもう隠れることはできなかった。

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