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にぃにへの手紙

 グラジオラスさま


 わたしの迂闊な行動の結果、ご心配おかけしていることを大変申し訳なく思っています。

後悔しても遅いのですが、わたしはあの日、不意に思い立って宿の裏手にある雑貨屋に向かいました。ほんの目と鼻の先にある店だったので、すぐに戻れるだなどと考えるべきでなかったのは今なら理解できるのですがその時には思い至らず、現状に繋がることになったのは本当に悔しい気持ちでいっぱいです。


 わたしを拐した犯人についてですが、捕まる直前に口にしていた言葉からモリザイカイ町の駆け出しマーケットに出入りしていた猿人ではないかと思います。

「魔道具師見習いの娘っ子じゃないか」と言っていたので……

駆け出しマーケット以外に人前で魔導チップを作ったことはないので、間違いないでしょう。


 攫われたあとに目が覚めると睡眠薬入りの食事を与えられて、ほとんどの時間を眠ったまますごしていたようです。睡眠薬が投与されなくなったときには、すでに海の上を移動中。同じように攫われたり借金のカタに自由を奪われた未成年者が同じ部屋に閉じ込められていました。

最高年齢は十三歳でしたが、ほとんどが加護の儀前の子供たちばかりだったので、抵抗する力のない子供が狙われていたようです。

また、五人居た十歳を超えた者たちも、ひとりを除いて加護の儀を受けられずにいたようです。加護の儀が有料で、払えるお金がなかったのが理由だと聞いてとても驚きました。

普通はお金をもらわないと加護の儀を受けられないものなのでしょうか?


 わたしと、加護の儀を受けられていたもう一人の女性は、スキルや魔法の使用を抑制する魔道具を付けられていましたが、幸いなことに何度も試行すればどちらも使用可能でした。そのため、食料に不自由することもなく――また、ピニャーシュと合流できたため、現在はわたしを含めた被害者全員が自由の身となっていることをここにお知らせいたします。

まずはソルベル王国へ向かい、その上で合流したいのですがいかがでしょう?


 また、出過ぎたまねだと承知の上ですが、十歳を超えていた四名の加護の儀を執り行いましたことも併せてご報告申し上げます。加護の儀の結果、猫人のマルコが刀神さまの、兎人のカルロが裁縫神さまのご加護を授かっております。


 わたしが保護した子供のリストは以下の通りです。


 誘拐被害者

 ・アリーチェ 熊人 女 四歳  トウチー村出身

 ・ギド    熊人 男 七歳  トウチー村出身

 ・ジュリア  羊人 女 七歳  オウトニシノ村出身

 ・イバン   羊人 男 七歳  オウトニシノ村出身

 ・シルビオ  羊人 男 八歳  オウトニシノ村出身

 ・マリア   猫人 女 八歳  モリザイカイ町


 ホリテツ村出身の孤児

 ・ミケーレ  猿人 男 七歳

 ・ドメニコ  猿人 男 十一歳

 ・パオロ   猫人 男 九歳

 ・マルコ   猫人 男 十歳  刀神さまの加護

 ・ダニーロ  狐人 男 九歳

 ・カルロ   兎人 男 十二歳 裁縫神さまの加護

 ・ルカ    鼠人 男 十三歳


 借金奴隷

 ・サラ    狼人 女 十三歳


 それとなく聞き取り調査をしたところ、誘拐被害者六名は親元に戻りたいようですが、孤児七名と借金奴隷の女性に故郷に戻る心づもりはないようです。


 追伸

 ピニャーシュが傍にいてくれるとはいえ、保護しなければならない人を抱えた状況に不安と責任を重く感じます。同じ状況とは言えないでしょうが、五年もの間、大神殿で頑張った兄さまは本当にすごいと尊敬の思いを強くしました。


 フェリシアより

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