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腹減り反対!

 冷めきった薄い麦がゆをすすりつつ、お仲間さんたちの様子を観察する。

見事に、種族も年齢も割とバラバラだ。


 まず、幼児率がやたらと高い。十四人もいるのに、【加護の儀】を受けていそうな十代の子は五人だけ。


 次に、一〇代だと思われる五人の中で、わたしと同じような首輪を付けているのは女の子だけで、他の男子四人は着けていない。

女の子が授かったスキルの危険度が高いのかもしれないけれど――なんというか、服装が男の子たちよりも大分マシなように見えなくもない。

 というか、男の子たちの服装がひどすぎるね。

もしかしたら、貧民街から攫われた子なのかもしれない。

首輪がないのは、まさか【加護の儀】を受けられてなくて、スキルがない……とか?


 改めて男女に分けて見てみると、男の子は全員、ぼろきれをまとっているような状態だ。女の子はそれより少しマシだけど、こちらもやっぱり古着の中でも痛みがひどいものだと思う。

要は、わたし以外の子はみんな、貧困層っぽいってことだね。わたしはほら、この間新品の服を買ってるし……ここ数日の間に手荒い扱いを受けまくったせいで、大分くたびれてきちゃってるけど(涙)。


「おなかすいた……」

「にいちゃん、もっと」

「ぜんぜん足りないよ」

「のど、かわいた」


 お椀に一杯の薄い麦がゆだけで物足りないのは当たり前だ。子供は成長するためには栄養をとらなきゃきけない。体は小さいけれど、たくさん食べる必要があるのだ。

――一部、わたしみたいに体が大きくならない種もいるんだけど、そこは横に置いておく。


 わたし以外の十代組はずいぶんと面倒見が良いらしい。

ぐずり始めた年少者を抱き上げたり、背中をさすってやったりと甲斐甲斐しく世話を焼き始める。

その中でひとり、猫人の男の子がなぜかこっちに近寄ってくるのに驚いて、わたしは目をまたたかせた。


「なあ、お前。さっき、水飲んでたよな」


 まさか気づいてる人がいるとは……

他の子ものどが渇いている可能性があるのは分かり切っていたのに、状況を把握方に集中していてほかの人の状態に気を配ることを疎かにしていたのは確かだ。うしろめたさに視線を逸らすと、肩を掴まれた。


「頼む。チビ達にだけでいいから、分けてくれないか」

「いいけど――」


 今、人さらいは近くにいない。

食事(?)を配り終えるとすぐにどこかに行ってしまったから。でも、食器を下げに戻って来ることを考えると、きちんと魔法を使えているのがバレるのはマズそうなんだよね。

チラチラと扉を見ると、すぐに彼は頷いた。


「人が来たらすぐ知らせる」

「器を全員分集めて」

「よしきたっ」


 集められた器に水を入れると、すぐに空になった器が返ってくる。

お水で空腹を誤魔化せるわけもないのに、それでも泣き声が少し減った。お腹が空いたと泣いていた子も、泣くことで余分な体力を使ったのか眠ってしまったみたいだ。

小さいさんの泣き声は、ひどく胸が痛むね。

ついでに、自分のお腹も鳴いた。


 こんな状態、とてもじゃないけど耐えられないよ。

わたし、今まで食べ物で苦労したことないんだもの。

 故郷のハズレ村は、国の端のまた端っこという超ド田舎にあったけど、その分魔素が豊富で植物の成長が早かった。それこそ、税としてすべての食料を持っていかれても、翌日の朝になれば改めて貯蔵をはじめられるくらいにたくさんの食べ物が採れたのだ。

 フルーツトレントの実が名産だったけど、銀麦もお野菜も育てていたからね。

ぶっちゃけ、食べ物で不安を感じたのはヒガシショユ村にたどり着く直前の何日かだけ。それだって、主食が無くなりそうだってだけで肉と魚はあふれてた。

なんなら、今でも【お庭】の中にあふれんばかりの在庫がある。


 何を言いたいのかっていうと、他人がひもじい思いをしているのも、自分が腹減りで目が回りそうなのも嫌だってことだよ。

だって、育ち盛りですから!


 ただ、【お庭】を出入りするためには、この場にいる子供たちが信用できるか。

協力してもらえるかどうかが問題になるわけで――さて、どうしようか?

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