↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/138

四日目 選択肢

「というわけで、今日は『ひとりで魔導チップ作れるもん』リトライですっ」


 今日もお隣さんな袋物のお兄さんとついでに反対隣のにぃに(・・・)に向かって、気合を入れて宣言した。


「ずいぶん気合を入れてるけど、今日も、ちっぷ? を作るの?」

「うにゃ」

「フェリシア、やっぱり僕が支えた方がいいと思うんだけど……」


 座椅子をクビになったにぃに(・・・)が、どさくさに紛れて再就職にチャレンジしてくるのに首を振り、どや顔で胸を張る。


「今日はね、生クッションを召喚するから――たぶん、平気」

「生クッション?」

「うにゃ。いでよっ、ランチュータワー!」


 掛け声とともに|【お庭】・・・・に通じる穴が開いて、ランチュウたちがコロコロコロリと転がりだしてくる。わたしが作業後に、いつもの調子でコロンと転がりそうになったら支えさせようという作戦です。これでもう、ちょっぴり危険な座椅子(にぃに)は必要ないねっ。


「え、君って魔道具師じゃなかったっけ!?」


 わたしのイス代わりになったり、背後や左右に丸まるランチュウたちを、お口パッカン状態で眺めていた袋物のお兄さんが目をパチクリしながら尋ねてくる。にぃに(・・・)はガビンですよ、ガビン。


「従魔術もつかえるよ~」


 かかさま(魔神様)は、『魔』がつくもの全てを司る最高位の神様だからね。その神子であるわたしは、かかさま(魔神様)の司る技能ならば普通の人よりも簡単に身に着けることができるのです。

えっへん。


 むしろ、従魔術は【加護の儀】で最初にもらったスキル。

魔石作成や魔道具作成スキルよりもずっと長く使っているんだけど――ランクの高いアイテム(良い品)を数作れば上達する製造系のスキルと違って、従魔との日々のスキンシップや成長を促すことによって経験を積むタイプのスキルだから、なかなかランクアップしないんだよね。まだ、やっとBランクだし。


 ちなみに、体を動かすのが苦手なわたしのこと。戦闘系のスキルにご加護があっても使いこなせない。

いや、あるんですよ。

魔法系の神様のはずなのに、武術系のスキルってやつが。

【魔纏舞闘】(まてんぶとう)っていう、武術か踊りかよく分からない名前のやつ。実際に使っているところを見せてくれたことがあったけれど、わたしには到底マネできない美しく舞うような動きだった。なぜか、武を司る武神さまが押されていたのが今でもナゾです。


「えっと、それは家業由来的な……?」

「うにゃ。ウチの村はフルーツトレント農園が主産業だったのです」


 んでもって、ミルギューやランチュウを自家消費用に育ててた。ハズレ村には、低レベルの従魔師と魔樹師が多かったんですよ。

 ちなみに魔樹は魔物な樹木の総称で、魔樹術は魔樹のみを使役できるスキル。魔獣専門の従魔術は、魔畜術というスキルになる。なので従魔術は、樹木も魔獣も従えられる上位スキルということだね。


「ちょっと、うらやましいなぁ……」

「うにゃ?」


 『なにがだろう?』と、にぃに(・・・)とふたりで顔を見合わせる。


「選択肢があるのが、さ」


 袋物のお兄さんの家は、代々革小物を扱うお店をやっていて家族み~んな【革細工】スキルを授かっているらしい。そんでもって、たまにほかのスキルも授かってたらな~なんてことを思ったりもするっぽい。


「別に、革細工が嫌いなわけじゃないんだけどね。それしか授かってないから、選択肢がある人がうらやましいなって思うことがあるだけなんだけど」

「なるほど……」

「素質をEランクで授かっちゃうと、手当たり次第にほかの適性を探すのも……ね」


 加護者でなくても、Eランクの素養があればスキルをAランクまで育てることができる。

そこまで伸びる技量があるのなら、ほかの適性を探す気にならないっていうのは分からないでもない。

 それに自分の家で販売している物を作れるのが分かっているなら、ほかのスキルを模索するための時間を捻出するのも難しそう。


「そう考えると、わたし。すごく自由にさせてもらってるんだねぇ……」

「まあ、トニエ神民国に着いたら神殿で勉強するんでしょ。そうなると――」

「どのていど、モノづくりをする時間がとれるか分からないねぇ」


 そうでなくとも、ミルギューミルクの処理でそこそこの時間をとられてるし……それを考えると、ほんと、今のうちしかアレコレ自由に試せる時間はないのかも。


「フェリシアの場合、巫女に農家に魔道具師……と、選択肢が多すぎるような気もするね」


 魔石師もイケるし、水魔法だって得意だよ。

そう考えると、たしかにお仕事の選択肢がすごく多く見えるね。


「にぃに(・・・)だって、魔法鍛冶とか狩人とか神官以外のお仕事選べるでしょ?」

「転職するなら狩人かな。魔法鍛冶は気が向いたときなら楽しいけど、仕事にするのは無理。嫌な思い出が多すぎる」


 そういえばにぃに(・・・)って、大神殿で小銭稼ぎのためにひたすら武具を作らされまくったんだっけ。そりゃあ、お仕事にするのは精神的にきつそうかも。


 にしても――多すぎる選択肢も、やっぱりちょっと困るかも。

だって、自分に向いたものを探すだけで、いくら時間があっても足りなくなりそうだもの。むしろ、それ一本でやっていけることが確定している袋物のお兄さんは恵まれてる方なのでは?

武神さまは重度のマザコン

そして、双子と称される魔神さまは母親似

ママン相手に戦闘行為のできない武神さまにとって、魔神さまは組手の相手としては最悪です

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。