二日目
にぃにたちの意見は、結局あんまり役に立たなかった。
しょんぼりしつつも商材を作り足していたら、あっという間にネンコの時間。
今日はかかさまが添い寝に来てくれる日なので、ウッキウキで寝床の用意をする。
シーツはビシッとシワもなく。
枕はいっしょに使えるながーいタイプ。
掛け布団は、夏も近いので薄手のもの。
色はどれも青系統で統一です。
『今日も気合入ってるねぇ』
「当然ですっ」
なんせ、かかさまの添い寝はレアだからね。
毎日毎日押しかけてくるにぃにとは違うんですよ、にぃにとはっ!
にぃにってば、一度一緒にネンコしたらそれに味をしめちゃって、あれからほぼ毎日「一緒に寝よう」攻撃を仕掛けてくるようになったのだ。しかも、朝になるとギュッと抱きしめてノドをゴロゴロ鳴らしている。距離が近すぎるし、耳元で騒音攻撃を仕掛けてくるしで勘弁してほしい毎日です。
その点、かかさまは程よい距離感なのだ。
ハグもするけど、やわらかくていいにおいがするし、なによりしつこくしてこない。それにきちんと話を聞いてくれる。
にぃに?
寝る前は何を言っても「うん」「そうだね」「フェリシアはかわいいなぁ」しか言いません。
なにはともあれ、ひさしぶりに甘える機会を得られたかかさまに、今日のことをいろいろ話す。露店が全然売れなかったことも、売買を成立させるための良い方法が思いつかないこともぜんぶぜ~んぶお話しした。にぃにたちに相談したことも、その答えがあんまり参考にならなかったグチも一緒に。
『そう? 的確な意見だと思うよ』
「ええ~っ。でも、解決策はなんにもなかったよ、かかさま」
『実際問題、あの子が言っていたとおりでしょう。魔道具に限らず、道具は使ってみないと便利さがわからないものだからね』
それはそうなんだけど……
なんかかかさまってば、随分と身も蓋もないこと言っちゃってる。
「でも、使うってことは実際に魔道具を買わないとムリだし……」
『ソコは買わずとも手に入れる方法があるから大丈夫でしょう』
「買わなくてもいい方法?」
かかさまの言葉の意味が分からずわたしは小さく首をかしげた。
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明けて翌日。
急遽、朝ご飯を外食で済ませることにして、日が昇りきらない時間に出かけて根回しを終わらせる。
根回しって何かって?
包み焼き屋のおじさんにちょっとしたプレゼントをあげて、気が向いたら宣伝してほしいなってお願いしただけですよ。
宣伝は大事だそうなので、顔の広いおじさんにお任せなのです。
そんでもって、今日の【駆け出しマーケット】はにぃにもお店を出すらしい。
にぃにのお店で扱うのは大小さまざまなナイフなんだけど、どれも品質をFランクでそろえてきている。
やっぱりわたしの魔道具と同じで、素材の質を落として作ったのかな? それとも手抜き?
でも、そんなことはわりとどーでもいい。
今日は、にぃにがはじめて神官服を着ていないのです。なんかもう、違和感がものすごい。
「なんというか……神官服を着ていないと、こう、下着姿で出歩いているような心もとなさがあるね」
わたしがやたらと顔より下ばかり気にしているせいか、にぃにはお耳を伏せて目をそらしつつそんなことを言い出した。
「いや……普通に服、着てますよ?」
「足りない。圧倒的に足りない。そのくせ、なんか暑くて不快」
「あ~……にぃにの神官服。やっぱり魔道具だったんだ」
「え、そうなの?」
「うん。間違いないね」
真冬でも、雪の中をわりと平気な顔で薄手の服着て歩き回っているから変だとは思ってたんだよね。謎がひとつ解けたけれど、着ている本人が魔道具だと知らなかったとは……
さては、かなり高ランクの魔道具だね。
わたしが作れる範囲の魔道具だと、使い切りタイプでなければ定期的に魔石の交換か魔力の補充をする必要があるんだもの。補充なしでも動き続けているということは、かなり高ランクの魔導チップが使われているに違いない。
よくよく見てみると、装飾に紛れて魔石がチラリと覗いている。
間違いなく、魔道具だと思う。
服を魔道具化すると、こんなかんじになるのかと勉強になります。




