駆け出しマーケット 初日
商材づくりの合間にピニャーシュさんと屋台に向かい、包みやき屋のおじさんの紹介で猫殺しスープの屋台で南東方面の話を聞いた。
南東には海があって、湖とは違う種類のお魚が獲れるらしい。
自分の店で使っている魚介類は海で獲れたものだと鼻息を荒くするおじさんは、狼人さんだった。猫人だと、魚介スープが出来上がるころにはすべて飲み干してしまうから商売にならないんだってさ。
実際、その言葉には頷くしかない美味しさだったので、是非とも海のお魚を入手しに南東方面に行こうと思います。
美味しいは正義なので!!
包み焼き屋のおじさんに雑談がてら明日から露店を出す予定だと話したら、暇な時間に覗きに来てくれることになった。
やったね!
にぎやかし要員、ゲットだよ。
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その日の夜。
寝る前に販売予定の魔導チップを作り終わったところで魔道具作成スキルのランクが上った。
レベルアップのアナウンスは、いつもかかさまがしてくれる。いつも見守ってくれているのは嬉しいんだけど、実のところ割とおヒマなのかなと思わないでもない今日この頃です。
なにはともあれ、第一の目標にしていたマジックバッグを作ることができるようになったので、まずは、第一関門を突破したことになる。
第二関門は――とりあえず、さらなるランク上げ、かな?
なにせ、マジックバッグを作るために必要な【異空収納】の魔導チップは、Cランクだと百ケログランまでしか入らない。
コレはどんなに大きな容れ物を魔道具化しても同じ。内容量を【増やす】訳じゃなく、【違う空間につなげる】ものなので、入り口の大きさを変えても意味がないのです。
そんなわけで、【異空収納】タイプのマジックバッグは大人の手のひらサイズの巾着型のものが多いみたい。
ちなみに、ポケットや小物入れなんかも【異空収納】型の魔道具にすることが可能です。
要は、物が入ればなんでもいいんだね。
で、だ。
【異空収納】の容量は、魔導チップのランクで変動する。
Gランク = 一ケログラン
Fランク = 十ケログラン
Eランク = 二十五ケログラン
Dランク = 五十ケログラン
Cランク = 百ケログラン
Bランク = 千ケログラン
Aランク = 一万ケログラン
一般的に流通しているのはE~Aランクのもので、ランクが上がるほど内容量が増えるけど手に入れづらくなる。
G・Fランクのマジックバッグは、お財布として使えそうかな?
Eランクはきっと、お買い物の時にあれば便利だね。重い荷物を持たずに済むのは大きい。
Dランクまで行けば、町の近くに出る小型・中型の魔獣を数体なら入れられそう。ウチのランチュー(小型の最大サイズ)なら、十匹は入れられる。
Cランクはまでいけば、ギリギリ中型も入るレベルになるけれど、にぃにが狩ってくる獲物を入れるにはちょっぴり力不足なイメージです。
Bランクまでいって、やっと中型の大~大型の小サイズの魔獣を入れられるようになるかな? という容量になる計算になるんだけど――それでもやっぱり、入れられるのは中型で数体。大型だと一体が限度になる。
やっぱり、大物狙いが多いにぃにたち用を作るなら、最低Bランクは必要だね。
ちなみに、Aランクよりも容量が多いSランク以上になると、神々のご加護が必須なので、作れたとしても身内用、かな。
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「出店の手続きですね。バッジ王国内での露店経験は――ない、と。では、まずはこちらの用紙に必要事項をご記入ください」
露店を出しに行って、露店を出した経験がないと答えたら、なんか登録用紙を渡された。
「露店を出すのに、登録が必要なのか?」
「はい、若年層の出店時には必要になります。こちらの登録は強引な勧誘や引き抜き行為防止を目的としておりまして――」
ピニャーシュさんの質問に返ってきた答えによると、どうやら【駆け出しマーケット】と呼ばれる見習い職人向けの露店では勧誘行為が横行していたのだとか。
おじさんいわく、勧誘自体は問題ないみたいなんだけど、加護の儀を終えて間もない才能に恵まれた子供を怒鳴りつけたり手を上げたりという悪質な勧誘者も多かった。
そんな状態じゃあ、怖くて【駆け出しマーケット】に出店する人がいなくなっちゃうよね。
そこで、出店している職人見習いに直接勧誘することは全面的に禁止。代わりに露店の出店受付で、仕事を探している子と工房の橋渡しをすることになり、そのために必要な情報を登録することになったらしい。
今では、【駆け出しマーケット】内での不当雇用が発生しないように警備の人が見まわっているから、マーケット内は安心・安全です。――というのが、受付のおじさん談。
そんなわけで、記入項目は名前・年齢・取扱品目・所属工房or師の有無。
所属先がない場合は、仕事の斡旋を希望するかどうか。希望条件の項目もあるけれど、これは書かなくても良い。
斡旋を希望しないことも可能で、理由も明記されているとなお良し……と。
まあ、そんな感じのものだった。
わたしの場合、師匠は……かかさまだから有り? かな??
取扱品目は【魔道具】。
どこかの工房で働く予定もないし、斡旋は不要だね。
必要事項を書き込んで受付に返すと、今日の出店スペース番号の札を渡されて、店じまいをする時に札の返却をするようにと告げられた。
「出店番号の札を返却されるときに登録証をお返しします。登録証はバッジ王国内で露店を出される際に再利用できますので、紛失なさらないようお願いいたします」
「失くした場合のペナルティとかって……」
「特にありませんが、何度も同じことを記入するのはめんどうですよね?」
「それは、そうですね」
どうやらこの登録用紙、【露店許可証】も兼ねてるっぽいね。




