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露店巡り

 にぃに(・・・)たちはお昼ご飯を食べ終わると、すぐに狩りに出かけていった。

 午前中に聞いた情報を実際に確認してくる――などと言ってたけど、たぶん、狩りがしたいだけ。だって、突撃シープがど~の、ビリビリメリノがど~のと食事中に話してたんだもの。バレバレです。


「さて、フェリシア嬢は午後はどうする?」

「うにゃ」


 包み焼き屋のおじさんから聞いた、トニエ神国方面に向かうルートはみっつある。


 ひとつ目は、北の湖ルート。

ハズレ村の東にある渓谷を流れる川の終着地で、このパッジ王国の北東部を占める大きな湖らしい。夏場の避暑地としても有名っぽいね。


 ふたつ目は、南の海ルート。

南と言っても実際には南東方面に広がる海を経由するルート。沿岸沿いをを航行する船で、魔獣領域ふたつと人族領域ふたつを超えて直接トニエ神国に向かえるそう。

詳しいお話は、明日の朝食ラッシュが終わったあとで包み焼き屋のおじさんが詳しい人を紹介してくれる予定です。


 そして最後は高原ルート。

コレは包み焼き屋のおじさんが一番詳しいルートで、高原を突っ切って東にある王都に向かうと、湖ルートか海ルートに流れることができるのがおすすめポイントらしい。湖ルートから海ルートに抜けるためにも使えるそうなので――時間に余裕があるなら、欲張り三ルートmixなんてこともできてしまうっぽい。

正直、個人的にはイチオシです。


「ん~……情報の裏取りを兼ねて、雑貨屋さん巡りをしようかな」


 ついでに、細々とした消耗品の補充や、魔道具の素体にする袋物を買っておきたい。マジックバッグを作りたくて魔道具作成スキルを覚えたというのに、ベースにする袋を用意してなかったんだよね。ウッカリがすぎるけど、黙っていればバレないバレない。


「疲れたら言うんじゃぞ」

「うにゃ!」


 というわけで、午後は雑貨屋さん巡りに決定です。



☆★☆★☆★☆★



 ところで、雑貨とひと口に言ってもその種類はさまざまだ。

扱っているお店の形態だって、露天に屋台、店舗と幅広い。


「お話を聞くなら、露天かな~」


 地べた敷物を敷いた上に商品を並べていることも多い露天なら、屋台や店舗よりもあちこち回ってる可能性が高そうなイメージがある。

まあ、アテが外れたとしても、何日かこの町に滞在する予定なので別の日に屋台や店舗を回ればいい。

 そんなわけで、早速、お買い物&情報収集の開始――と思ったんだけど……


「うーん、町の外って言われてもなぁ……」

「町から出たりなんてしないよ。だって、魔獣が出るだろ?」

「他の街の情報を知りたいなら、むしろ大店に行ったほうがいいんじゃないか? 大きな店ならよその町からも商品を仕入れてるはずだし」


 とまあ、返ってくるのはこんな返事ばかり。

唯一、具体的なアドバイスをくれたお兄さんに不思議に思ったことを聞いてみる。


「なんか、露天を開いてる人って若い人が多いよねぇ」

「ああ、露天は基本的に町の職人見習いばっかだよ。外から来る行商人や野菜売りは台車があるから屋台扱いだしさ」

「だから二十歳すぎの人はほとんどいないんだね」

「そういうこと。二十歳すぎても露店を開いてんのは、職人になれるほどの腕がなかったヤツが趣味として作ったモンを売りモンにしてることが多いよ」


 職人さんになりたい場合、一〇~一五歳までのあいだ工房に弟子入りして腕を磨く。

その弟子入り先で二~三年の間にある程度のものが作れるようにならないと、その時点で師弟関係は終了になる。どうしてもその道を諦められない場合、他の師を見つけてあらためて工房入りすることもあるそうだけど、そういう根性がある人は少数派。学んだ技術は余暇の趣味にして、【加護の儀】で授かった適正に沿った仕事に就くことが多いっぽい。


 なので、職人見習いはほとんどが一〇代半ばくらいの人が多く、練習用に作ったモノを露天で売りさばいているというわけだ。

きっと、売上は次の練習用の素材を買う代金で消えるんだろうな―っていうのがわたしの予想です。

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