その後のこと
神殿からにぃにに依頼された【邪神の傷跡】討伐は、錯乱状態のわたしを背負った状態で行われた。
にぃには、心無い鬼畜生である。
いや、ホントに。
驚いたことに、お荷物を文字通り背負ったその状態で、【邪神の傷跡】の上層部はかなりアッサリと討伐できてしまったのだ。
ぶっちゃけ、ありえなーい! って言いたいところだけど、これホント。
そんでもって【邪神の傷跡】討伐のついでに、わたしの情緒不安定な状態も回復した。
ホントか? って思うよね?
でも、コレもホントの話なのです。
どうやらわたしが情緒不安定担ってた原因のひとつに、にぃにが弱っちい疑惑が入っていたみたいで――まあ、実際に魔獣や邪獣と戦っている様子をみたおかげで、疑惑が解消されたっぽい。
あ、わたしの精神状態が安定したのもあって、中層~下層は【お庭】でお留守番だったよ。
さすがにわたしを背負ったままだと、無傷で攻略するのは無理って言われた。
うん。
にぃに、わたしが思ってたよりずっと強かったんだよ。
なんせ、わたしにはにぃにがいつ攻撃してるのが全くわかんなかったし。たぶん、剣術に関してはオトンよりも腕が立つんじゃないかな?
弓の腕は、まだまだオトンのほうが上だと思う。
なにはともあれ、それまでのわたしは、にぃにが武神さまにコロコロされてるところしか見たことがなかったからね。
そのせいでひどい勘違いをしてたっぽい。
よくよく考えてみると、神さまとニンゲンの力量が同一線上にあるわけがないんだよ。なのにわたしってば、随分と武神さまに失礼な判断をしてたみたいで申し訳ない気分になった。
かかさまは、そんなわたしのコメントを聞いて爆笑してた。笑いのポイント、気になります。
そうそう、それはそれとして。
にぃにが【邪神の傷跡】討伐をしているあいだに、わたしも魔石作成スキルを頑張って鍛えた。【
邪神の傷跡】を討伐するには、最深部にある核を何度も壊す必要があって、一周じゃ終わらなかったので時間があったのだ。
前と違って今回は、にぃにの無事を心配する必要もなくきちんと集中できたからね。
とりあえずの目標にしていたランクCに、無事到達!
あとはもう意識してなくても勝手にランクが上がっていくだろうってことで、魔石作成スキルを鍛えるのは一旦終了することにした。
魔石が自由に手に入るようになったら欲しかったものがあるので、今度はそっちのスキルを習得する予定です。
次の目標は、自作のマジックバッグ!
実戦経験を積むためとかいいつつ、にぃにたちが大量に魔獣を狩ってくるんだもの。
一般的な狩人だったら、獲物の一部を持ち帰るのが精一杯なのに、にぃにの場合は【鍛冶場】に放り込めてしまう。そのおかげで、丸ごと回収してきた獲物が溢れそうなのだ。
さすがに全部は食べきれないし、食用になる部分以外にも皮や角、牙や爪なんかの素材が場所を取る。
かといって、持ち帰る手段があるのに素材の大半を捨てて歩くのももったいなくて、ついつい回収しちゃうんだよね。
ああ、悲しきは貧乏性。……って、よく考えてみると現金もそれほど持ってないね。
とにかく、丸ごと持ち帰ってこれる言い訳&売りに出す時の利便性を考えると、大容量のマジックバッグが絶対ほしい。
でも、そう思うのは当然ながらわたしたちだけじゃないんだよね。
超絶便利アイテムなマジックバッグは、当然ながら大人気のアイテムだ。買うとメチャクチャ高価な上に、在庫がないことでも有名です。たま~に店先に出るものもあるけれど、大抵は容量が少ないものばかり。それではこちらの希望が叶わない。
幸いなことに、わたしはかかさまの神子だからね。
魔道具作成スキルも一般人よりずっと身につけるのが簡単……らしい。頑張って作れるんだったら、『作る』の一択になるのは仕方ないでしょう。
大容量のものを作れるのは魔道具作成スキルランクがB以上らしいから、こっちはかなり頑張ってスキルを上げなきゃいけない。
とりあえず、今は簡単な衣類系の魔道具を作ってる。
消臭とか、防汚とか。
なくてもいいけど、あったらすごく嬉しいやつ。
【邪神の傷跡】討伐後には一日おきのミルクスタンドも再開し、神殿教室に通ったりトリーと遊んだりしているうちに、あっという間に春になった。




