チーズ工房
チーズ作りのために、にぃにとふたりで【お庭】に移動する。
貸店舗でもやれなくないけど、衛生状態が不安だからね。
もちろん、作業前にはお風呂でホコリを落としてお着替えしたうえで、三角巾までフル装備です!
「フェリシア、前髪上げて」
「うにゃ」
にぃには三角巾に前髪をしまってから、首の後ろでキュッと結んで、長過ぎる髪の毛を編んでいく。細くてすぐにフワフワと広がってしまうわたしの髪は、お料理の時に広げたままではいられないからね。きれいにまとめるためには、他人の手が必要なんですよ。
わたしの髪をまとめる役を買って出てくれたにぃには「将来、恋人や奥さんの毛づくろいもできないと」なんて言ってたんだけど……
お姉さま方から青くなって逃げ出す様子からすると、その将来は遠そうだ。
「終わったよ」
「うにゃ。そんじゃ、にぃに。かがんで~」
かがんでくれたにぃにの前髪を、三角巾で抑えておくのがわたしのお役目。にぃにがひとりでつけようとすると、何故か前髪が半分落っこちる。
作業中に髪の毛が落ちるのは嫌だからね。
きちんとしまうよ、前髪も。
身支度を終えたら、ミルク工房へGO!
ちなみに、ミルク工房はミルギューをゲットしたときに追加された施設です。(放牧地とミルギュー小屋も追加された)
なんと、チーズだけでなく、バターやヨーグルトも作れてしまう、素敵部屋!
加工・熟成・保存専用の部屋をいくつもまとめて、ひとつの工房なのだ。加工室なんて、作りたいものと同時に増えるらしいよ?
さすが、神さま謹製です。
ホントはお酒も作れるっぽいんだけど、わたしが飲めないので保留中。
「それじゃ、にぃに。いつも通りにお願いします」
「了解。ミルクを温めておくね。今日もミルクパックはふたつ残しでいい?」
「うにゃ」
売れ残ったミルクパックを鍋に放り込み、木串で嚢を破ってから温め始めるのを横目に熟成室へと向かう。古いものから確認していき、長期保存用の苞葉を良さそうなものの上に乗せたら急いで加工室へと帰還する。
「あったまった~?」
「うん。いつもながら、ちょうどいいタイミング」
ここでにぃにと選手交代です。
にぃには、苞葉が置かれたチーズを包んでひとまとめにするために熟成室へ。
わたしは温まったミルクに凝固剤を入れてグルグルしてから、固めたミルクの水切り用に穴を開けた木の実の殻を用意していく。魔獣領域でたくさん拾った木の実は、殻までとっても大活躍ですよ。
中身はもちろん、美味しく食べておりますとも。
ただ、ミルギューを四頭も入手してしまったせいで使用量に対して産出されるミルクが多すぎる。
おかげでチーズ作りに使っている木の実の殻が最近は不足気味なんだよね。水切りが終わったものを洗って使いまわしているのが現状だ。
今度、ヒガシショユ村の桶屋で大きな水切り容器を作ってもらおうかと悩み中。ほら、大きなチーズを一個作るほうが、小さいのを大量生産よりも作業が楽そうなので。
……実際のところはどうか知らないけど、かかさま謹製のチーズ加工室でならイケるんじゃないかな―、と妄想中です。
「フェリシア、殻から出てるのは熟成室にもっていく?」
「整形がまだ―」
「じゃあ、殻の洗浄をやるから、そっちをお願い」
「ありがと」
水切りが上手くされていないものを避けて、熟成室に持っていける状態のものを殻から外す。
殻を洗う作業をにぃにがしてくれることになったから、作業がサクサク進みだした。
「そろそろ、固まってきたよ」
「殻の用意は~?」
「今、終わった」
「そしたら先に、避けた分の殻を木串でつついといて~」
水切りが上手くできてないものは、多分目詰まりしているので木串で穴を広げ直さないといけない。
昨日処理したものと今日処理するものが混ざるのは良くないので、目詰まりを通す作業を先にしてもらうのです。
にぃにが木串で作業を進めている間に、わたしの方は整形終了!
凝固剤で固めたミルクを、洗浄の終わった木の実に詰める作業に取り掛かる。
この作業さえ終わらせれば、あとは出来上がった分にマナラップをしてしまえば今日の作業は終了だ。
「そだ、にぃに」
「うん?」
「かかさまと武神さまに奉納する分は取り分けてくれた?」
「もちろん」
「よかったー! 言い忘れてたよ。気づいてくれてありがと」
「どういたしまして」
この後はお夕飯も作らないといけないからね。
さっさか作業を終わらせないと!
ところで、今回できあがったチーズの初回生産。
なんと七九個もあったんですってよ!
わたしってば、頑張りすぎでは?




