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思ったよりも大繁盛

 神殿子ども教室でお昼ごはんを食べた後、貸店舗に戻ってみると兎人のおねーさんが訪ねてきていた。どうやら、村人への周知も終え、用意した簡易的な看板をもってきてくれたらしい。

 まあ、わたしたちが帰ってきたときには、ピニャーシュさんとそこはかとなくイチャついてたんだけど……

なんとなく、ちょっと怖いのでにぃに(・・・)のことは見ないフリ。いや、いいじゃん。本人たちが合意の上で楽しむ分にはさ。ピニャーシュさんが恋多き男というやつだったのは、かなり意外だけど。

ちなみに、ロイさんはおねーさんが着た時点で、『ヤボ用』でお出かけしたっぽい。


「おかえりなさい、フェリシアちゃん。神殿教室はどうだった?」

「ただいま、おねーさん。すっごく楽しかった! 美味しいご飯も食べれて、すっごく幸せ!」

「そう、それなら良かった」


 軽く雑談したあとは、すぐに本題――ミルギューミルクの販売の話に移った。

 ミルギューミルクの販売は本腰を入れなくても良く、営業日は一日おき。営業時間もお昼すぎから夕方頃まででオッケーらしい。窓口対応だし、わたしがひとりでお留守番している場合でも営業できるね。


「ついでにランチューの卵も販売しようと思っているんですけど、お値段はいくらが適当ですか?」

「ランチューの卵もうれしいわね。値段は……ひとつで銅貨一枚かしら」

「それじゃ、ミルクが銅貨二枚で卵は銅貨一枚で。了解です」


 ミルギューミルクは一日に一頭から二四~九六本、ランチューの卵は一~十個採れる。

ミルギューは三頭、ランチューが四頭いるし、ここまで来る道中で保管した分もあるから――まあ、しばらくは在庫の心配はいらないね。そもそもが雪がちらつく中、買いに来る人が多いとも思えないもの。



☆★☆★☆★☆★☆★☆



 翌日の午後。

受付窓口を開けると、すでに八人のお姉さま方がソコに居た。


「……いらっしゃいませ?」

「な~んで疑問形なんだい、フェリシアちゃん」


 ケラケラ笑いながら片手をパタパタとさせるのは、神殿教室の炊き出しをしているお姉さま。


「まさか、すでに人がいると思わなかったからビックリしちゃって」

「雪が降る中隣村まで買いにはいけないけど、村の中ならそうでもないからね」


 あっはっはと豪快に笑って、お姉さまはミルクを二つと卵を五つ買ってった。この一瞬で、銅貨九枚。なんかビックリです。


 最初の八人のお姉さま方のあともポツリポツリとお客様が訪れて、夕方になる頃には卵は売り切れ。ミルクも一〇〇個以上売り上げた。

さすがに毎回これだけの売上があるとは思わないけれど、コレは嬉しい。山になった銅貨に、ほんのりと喜びを感じるね。


「思ってたよりすごい人だったね……」

「うにゃ」

「僕、全然役に立たなかった……」


 期待以上の売上にニヨニヨしているわたしの後ろで、ドヨドヨションボリさんになっているにぃに(・・・)は、買い物行列の整理を買って出てくれたんだけど……お姉さま方にモミクチャにされて逃げ帰ってきた。オカン世代とはいえ、お姉さま方も女性は女性だからね。こう、トラウマ的な何かが顔を出したんですよ、きっと。


 大神殿に居たあいだのムニャモニャを知らなかったら『だらしない』『カッコ悪い』などと思ったかもしれないけど、ある程度は聞いてるからね……。

にぃに(・・・)はかなり頑張ったほうだと思います。

そんなに落ち込まないでいいんですよ?


にぃに(・・・)は無理して外に出なくていいんだよ。明後日はそういうのをロイさんかピニャーシュさんにまかせてさ、窓口対応お願いします」

「はい……。精一杯、励ましていただきます……」


 というか、明後日は今日ほど来ないと思うので、にぃに(・・・)の出番はないかもしれない。コレ以上へこませるのもなんなので言わないけど。


「余ったミルクはチーズにしちゃわないとね」

「そろそろ食べ頃のが出来上がる頃だっけ? こっちはちゃんと手伝うよ」

「うにゃ。お願いします」


 にぃに(・・・)、作り始めてからずっと出来上がりを楽しみにしてるもんねぇ。

わたし? もちろん楽しみにしていますとも!

そもそも、嫌いな食べ物を作ったりなんかしませんし。

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