神殿子ども教室
というわけで、やってきました神殿子ども教室!
初日の今日は、なぜかにぃにも一緒です。
「お久しぶりです、グラジオラスさま」
「久しぶり、ヌンツィオ。元気そうで何より」
昨日に引き続き案内役を買って出てくれた兎人のおねーさんに連れられて神殿子ども教室の扉をくぐると、年若い犬人の神官さまが一直線に駆けてきた。どうやら彼が、にぃにと仲が良かった神官様らしい。
にぃにに会えて嬉しいのか、クルンとお空を向いてカーブしている尻尾がすごい勢いでブンブンしてる。お目々もキラッキラだね。
ソレに対するにぃにの気取った返事がちょっと笑える。
「フェリシアちゃんでいいのかしら?」
「はい。今日はよろしくお願いします」
ヌンツィオさんの後からのんびりとやってきた狐人の巫女さまに問われて頭を下げる。オカンよりも少し年上――四〇代に差し掛かったくらいの落ち着いた雰囲気の女性だ。
「今日は様子見でしたね。気が向いたら、滞在中はいつでもきてくださいね」
「はい。ありがとうございます」
そのまま巫女さまに黒板の前まで連れて行かれて自己紹介。
名乗りつつ確認してみると、男女混合で二〇~三〇人くらいはいる。男女比は七:三といったところかな?
最小年齢の三歳さんが六人で、最高年齢の九歳は四人いた。
年齢別に島分けされてるから、わたしは九歳の島に席をもらうことになる。
「僕は、ジョス。よろしくね」
ジョスは狐人の男の子。巫女さまの面影があるから、息子さんかな?
狐人に多い金褐色のショートヘアーで、穏やかそうな面持ちだ。
「トリーよ」
トリーは猫人で、ちょっと気が強そうな女の子だね。セミロングでポインテッドカラーが特徴的。
「レオルドです」
レオルドは犬人の男の子で、たぶんヌンツィオさんの弟さん。だって、めちゃくちゃ似てるもの。
少し癖のあるショートヘアーは灰褐色で、可愛い系の顔立ちだと思う。なんか、かかさまが好きそうなタイプだ。
「アルドだよ、よろしくね」
アルドは鼠人の男の子で、わたしと対して変わらない背丈であることに親近感を感じる。毛先だけが薄茶に色づくセミロングの白髪が特徴だね。顔立ちはまぁ……ふつう?
「フェリシアです。新参者だけどよろしくお願いします」
男三:女二という状態になったので、六人がけのテーブルに同性同士で並ぶことになった。子ども教室では配られた問題を同じテーブルのメンバー全員で頭を突き合わせて相談しながら解いていくスタイルらしい。わたし的にはとっても新鮮だ。
ハズレ村では、黒板に書かれた問題をそれぞれが解くスタイルだったので。
もちろん、出された問題を解くだけなんてこともなく、雑談に費やされる時間のほうが多いのはある意味お約束という感じ。
「ねぇねぇ、フェリシアってどこから来たの?」
ワクテカしながら聞いてきたのは、猫人少女のトリー。男の子たちも興味津々で、目を輝かせて答えを待っている。
「ブラン王国端っこにあるオウトヒガシヘンキョウハズレヒガシ村ってところ」
「「「長っ!?」」」
ホント、ソレ。
「なにそれ、変な名前ね」
「だよねー」
トリーの感性に、全面的に同意です。
「あんまりにも長い名前だから、村の人はみんなただのハズレ村って呼んでたよ」
「その略し方もちょっとどうなのよ……?」
ホント、ソレ。
元の名前もひどいけど、略し方もひどすぎるよね。
「実は、わたし。正式名称を知ったの今朝だった」
「そんなことあるの?」
男の子たちがそろって笑う。わたしも笑う。というか、もう笑うしか無いよね~。だって、ホントのことだもの。
「ホントに国の端っこだったから、田舎も田舎でね。ヒガシショユ村が都会すぎてビックリしてるところ」
「あ、分かる。僕の住んでた村より都会っぽいもの」
レオルドは、どうやら王都近郊の農村暮らしだったっぽい。ハズレ村よりは拓けてたかもしれないけど、農村だったら雰囲気はきっとあんまり変わらないのかも。
そして、やっぱりヒガシショユ村は規模的には町にちかいんじゃないかという疑いが持ち上がってきた件について。
「えー、ここだって国の端の方だよ?」
「ここも結構な田舎だと思ってたけど、上には上があるのね」
「いや、ソコは下には下があるじゃない?」
「バカにされても腹も立たないレベルで違うよ」
まぁ、ヒガシショユ村は今のところ、年に一度くらい遊びに来られればいい雰囲気なんだけど。個人的にはハズレ村の、ゆったりのんびりした時の流れかたが好きだった。
「あ、ごめん。馬鹿にするつもりじゃなかったんだ」
「ううん、へいきー。とりあえず、続きしよ! ほら、巫女さまがこっち見てるよ」
「あ、ホントだ。ヤバ、怒られるっ」
おしゃべりで盛り上がりすぎたからか、巫女さまの視線を感じて慌てて課題を再開する。一緒にせっせと課題をこなしたおかげで、割とすんなりと馴染むことができた気がする。
これなら、明日からも通ってもいいかも。




