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おねーさんからの情報

 翌朝、朝ご飯を食べ終えたころに、やっとピニャーシュさんが帰宅した。

さすがにおねーさんと一緒じゃなかったけど、にぃに(・・・)はちょっぴりシラーっとした冷たい視線をピニャーシュさんに送っている。にぃに(・・・)は大神殿であったらしいなんやかんやのせいで、ワンナイトラブ激烈反対派閥なので仕方がないね。


 わたし? 本人たちがそれでいいなら別になんとも……

だって、村にも何人か居たもの。独身なのに、子持ちの女性。その人たちは、旅人が立ち寄るたびに誰かしらが大人の雰囲気ただよわせてお相手を家に連れ込んでいたのだ。お察しというやつである。

子どもは大概、小神殿(わがや)に預けに来てたなぁ……


 ソレはソレとして。

ロイさんは、昨日の晩の件に関しては情報収集的な目的もあるんじゃないかとは言っていた。事実、情報収集の側面もあったみたいで、もどってきたピニャーシュさんから色々とご報告があったよ。


 中でも一番の朗報は、にぃに(・・・)を捕まえに来る人はもういないだろうってこと。

正確にはにぃに(・・・)を捕まえようと思っていた主犯格の人が犯罪者として捕まったから、たとえ国元に連れ戻されても自由に動けるだろうってお話だった。


「大神殿長、捕まったんだ」


 え、主犯格の人って大神殿長だったの!?


「うむ」

「王弟だって威張ってたわりに、随分とあっさり捕まったもんだなぁ」


 おーてーって、まさかとは思うけど、王様の弟的な?

え、そんな人が犯罪者として捕まるとか、祖国は激しくヤバい国だったのでは?


「委細不明ではあるが、神罰が下ったようじゃ」


 ほうほう、神罰って言うとアレだね。

全身の毛という毛が抜け落ちちゃうってヤツ。アレは割と、命に直結するやつなので早々下されるはずのない罰なんだけど……そっか、神罰落ちちゃったんだ。

にぃに(・・・)が出奔する原因に噛んでいた人たち全員に神罰が下ったとなると、にぃに(・・・)の追っ手さんも同じことになってる可能性が高そうだね。一目で犯罪者だと分かるから、町中にはまず入ってこれないし、ふつうのルートでは国境も超えられない。

確かにこれ以降の旅路が、ほぼ安全になったと言って良さそう。ちょっと、ホッとした。


「それから、ヌンツィオ殿がここの小神殿に滞在中じゃ」


 なんか、知らない人の名前が出てきた。


「え。ひとりでここまでたどり着いてるの!?」

「いや。先に家族揃って国を出て、この町に住みついていたようじゃ。ヌンツィオ殿は、こちらに着いてすぐ家族のもとに身を寄せたようじゃな」


 なんか、大事になってる予感。


「こりゃ、他にも国を出ようとする加護者が続出してそうだな」

「だねぇ……」

「ブラン王国の大神殿内で育った加護者は再教育が必要じゃろうし、村をいくつか潰す羽目になるかもしれんの」


 その前に無くなった村もありますよ。

まあ、神官さまや巫女さま(加護者)の全体数が減ったら、村を減らして町の維持に回すしかなくなるんだろうけど。


 とりあえず、ピニャーシュさんが聞いてきた話からすると、なんだか大神殿長って人はアタオカだったけど、王様自体は普通の感性の持ち主っぽい。なので、ブラン王国は一時的に規模の縮小を余儀なくされそうなものの、外交努力次第では大きな損失は出さずに済むかもってことだった。


「ハズレ村があったのって、ブラン王国って名前だったんだ?」

「そうだぞ、お嬢。まあ、ハズレ村で暮らしてる分には国の名前なんて知らなくても問題ないけどな」


 だよねー。

村の大人は誰一人として国の名前を口にしたことなかったし。というか、大体『国の』って言えば通じる環境だったからかもしれない。自国以外の国に接した場所になかったからね。ハズレ村。

あ。今、滞在しているヒガシショユ村の所属国はモリエロ王国と言うそうです。


「というか、お嬢。もしかしたらハズレ村の正式名称も知らないんじゃないか?」

「うにゃにゃ? 正式名称?」

「オウトヒガシヘンキョウハズレヒガシ村ってのが正式名称だ」

「長っ!?」


 そして、位置関係のまんまだね?

ブラン王国のお役人だか王様は、ネーミングセンスというものがカケラもなかったらしい。ちょっとビックリレベルが高すぎだ。


「ちなみに途中まで一緒で、ハズレミナミ村ってのもあった」

「オトナリ村って名前だと思ってた……」


 みんな、そう呼んでいたので。

むむむ……。わたしも相当、ネーミングセンスなし病に侵されてるね。今後、従魔に名前をつけるときには気をつけなくては。え? 今お世話している従魔に名前はありませんが、なにか?


「ところでミルギューミルクの販売の件じゃが、営業は明日以降にしてほしいそうじゃ」

「あ、そうなんだ」


 どうやら、ここでミルギューミルクを売るよって宣伝を先にしてくれるっぽい。

まあ、たしかに最低限の宣伝もしてない状態で買いに来る人なんて居ないよね。ここって今の季節でなければ一等地だけれど、村の人が買い物やお散歩でうろつく場所じゃない。

住人が住んでいるのは北側と南側が多いから、現地住民がお買い物するお店は北西か南西寄りの場所。ほぼ真西にあるこの貸店舗は外れの方にある形なんだもの。


 あ、武具店とか魔石屋さんとかの狩人向けのお店は東門付近にあるよ。東門は魔獣領域側の門だから、狩人向けの賃貸部屋もそっち側だ。


「そしたら今日はみんなお暇だねぇ」

「儂らはそうじゃな」

「うにゃにゃ?」

「午前中に子ども教室があるそうでな。フェリシア嬢も参加可能だそうじゃ」

「おお? 行っていいの?」


 なにをやってるのかは分からないけど、同年代以下の子どもが集まる場所ってことだよね? それは、ぜひとも行ってみたいに決まってる!


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