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経営会議

 今日の売り上げは千九百一ラーメだったらしい。


「肉串が二百本以上も売れたことを考えると、ずいぶんと控えめな金額ですが――やはり、魔道具がひとつしか出なかったのが金額に出ているんでしょう」


 集計を終えたクリスさんからのご報告に、わたしは目を丸くした。


 ちなみに今は、わたし・にぃに(・・・)・クリスさんの三人で経営会議をしているところです。

明後日のお休みが終わってから販売品目にお惣菜を追加することになったので、取扱品目を再検討する的な?

正直、別に減らすものはない気がするんだけど。


 なにはともあれ、驚きポイントは串焼きの総売り上げ数ですよ!


「え、串焼き、そんなに売れてたの?」

「はい。スープ類の合計を大きく上回る売り上げでした」


 なんか、スープ&ホットミルクも、合わせると百杯以上は売れてるらしい。

パオロが作り足すたびに味の調整をしているけれど、売れた量を気にしてなかったのでビックリです。思った以上に量が出ていたよ。


「クリス、テイクアウトが売れてるのは分かったけど、店内販売の方はどんな感じ?」

「悪くはないのだと思いますが、テイクアウトの売れ行きが良すぎるのでちょっと見劣りがする感じでしょうか」


 苦笑交じりに報告されたのは、『むしろこっちが普通だよね』と言いたくなる販売量。

にぃに(・・・)のリサイクル武器が毎日ひとつずつ以上売れてるのは、むしろ上出来なんじゃないかな?

ダニーロの呪符が、思ったよりも順調に売れているのがちょっと意外だ。

保存食――と言っていいのか分からないんだけど、とりあえず保存が利く食べ物として出している燻製肉やチーズもそれなりに売れている。これなら種類をもう少し増やしても、たぶん対応できる……かな。


「もし余裕があったら、魔法薬も出せないかな」

「ということは――」

「今日の時点で、コンスタントにそこそこ(Eランク相当)の魔法薬が作れるようになってきたよ」

「おおお~!! にぃに(・・・)、すごいね!!」


 照れくさそうにはにかむにぃに(・・・)の背中を登り、頭をワシャワシャかき回す。

がんばった子は、たくさん褒めなくては!


「フェリシア、興奮したのは理解した。でも、落ち着いて」


 いえいえ、興奮してませんよ。

ただ、褒め倒しているだけです。


「ああ……もう、ぜんぜん落ち着く気配がないね?」

「仕方ありませんね。しばらく好きにしていてもらいましょう」

「まさかのイケニエ発言!」


 わたしがにぃに(・・・)を褒め倒し終えたころには、すっかり魔法薬の取り扱いについて決定してしまっていた。


「にぃに(・・・)~、わたしも販売リストに入れてほしいものあるんだよ~?」

「いや、フェリシアはお惣菜で手一杯でしょう」

「私が作るんじゃなくて、ダニーロにお願いする予定の魔道具があるんですよ」

「へえ?」

「どのような魔道具をお考えで?」


 にぃに(・・・)が、『なんのかんので自分も手を出すんでしょう?』的な顔で見ているけどキニシナイ!


「軽量ベルトと、マジックバッグ。どっちも、ランクDで」

「マジックバッグはともかく、軽量ベルトは初耳です」

「カルロたちと相談して考えたんだもの。当然だと思います」


 国神さまが、『狩った獲物を丸ごと持ち帰る人は少ない』って話してくれた時から考えてたんだよね。

『持ち帰れる重量なら、持って帰って来るんじゃない?』って。


 なので、重い獲物を持ち帰るための方法を考えてました!!

獲物を吊るすためのヒモを、【軽量化】の魔道具にしちゃえばいいんじゃないかと。


「Dランクの【軽量化】で、本来の重さの八分の一まで軽くなるの」


 獲物の足をそのまま魔道具で括ってもいいし、なんなら複数の獲物を縛ったヒモを纏めるために使ってもいい。

どんな形でも、担ぎ棒にひっかけるのが魔道具であれば重量を軽減できるんだから。

――てな話を、ふたりにツラツラと語って聞かせた。


「なぜ、そのようなものを作ろうと思われたのですか?」

「国神さまが、高ランクの魔獣素材があれば、修練場に出現する魔獣のランクを上げられるって言ってたからですよ。にぃに(・・・)、修練場に入るのすごく楽しみにしたでしょう?」


 なのに、ランク制限で入れなくなるのはあんまりだと思ったんだよ。


「素材が潤沢に手に入るように頑張れば、国神さまも、にぃに(・・・)たちだけでも例外を作ってくれるかもな~という打算もあります」


 あとは、もうひとつ。

修練場に行くよりも、外で狩りをした方が稼げるようになればお客さんも増えるかな~的な理由があったんだけどね。今の時点で、テイクアウトコーナーはいっぱいいっぱいになってるので、こっちの理由は黙っといた。


「ということは、マジックバッグも同じ理由ですか……」

「うにゃ。括り紐――軽量化バンドからのランクアップ品として、ちょうどいいでしょう?」


 軽量化バンドについては、ある程度の量を流通させたい。

なので、空いてる時間にわたしが作ってしまう予定だけどそこまでは言いません。過保護なにぃに(・・・)が「ダメ!」って言いかねませんから。

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